走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

プーマの新開発ミッドソールが軽快な走行感! 「リベレイト ニトロ」

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!
プーマ「リベレイト ニトロ」(13,200円)

ここ数シーズン、ランニングカテゴリーにおいてはあまり元気がなかったプーマだが、2021年春はカーボンプレート内蔵の「ディビエイト ニトロ」を始めとして、その機能性の高さから注目を集めるラインナップが揃った。今回は優れたクッション性と軽量性をリーズナブルな価格で実現した「LIBERATE NITRO(リベレイト ニトロ)」を紹介する。

プーマとスポーツの関連性でいくと真っ先に思い出されるのはサッカーだろう。これまでにペレ(ブラジル)、ディエゴ・マラドーナ(アルゼンチン)といった世界の伝説的なプレーヤーを筆頭に、日本ではカズこと三浦知良、ゴンこと中山雅史といったサッカー選手がプーマのサッカーシューズを履いたことで知られていた。

そんなプーマだが、陸上競技カテゴリーでも数々の実績を上げてきた。最も有名なのは100m、200mの世界記録保持者であるウサイン・ボルト(ジャマイカ)。世界中を驚愕させた彼の走りを支えたのは、プーマの陸上スパイクであり、最近では9秒97という100mの日本記録をマークした、日本が世界に誇るスプリンター、サニブラウン・アブデル・ハキームもプーマと契約し、同社のシューズを着用している。

このように短距離で存在感を見せてきたプーマだが、それと比較すると長距離ランニングの分野では地味であったと言わざるを得ない。「ファース500」のような名品も存在しただけに、もっとシェアを伸ばしてもよいと思ったのだが……。そして、ここ数シーズンはリリースアイテムも少なく心配していたところに、「誰でも履けるみんなの厚底」を標榜する「ディビエイト ニトロ」を発表し、早くもランナーの間で話題になっているように、2021年はプーマランニングが躍進しそうな予感がする。そんなプーマのラインナップにおいて個人的に最も注目したいのが、「リベレイト ニトロ」である。

アッパーには水はけのよいモノメッシュアッパーを採用。この素材は軽量性にも優れる

リベレイト ニトロはスポーツシューズのミッドソールに使用されることが多いEVA(エチレンビニールアセテート)と比較して、46%の軽量化を実現した新開発のニトロフォームを使用。この素材は軽量なだけでなく、優れた反発性とクッション性も確保しており、独特なフワフワした感覚が足裏に感じられる。サイズ27cmで184gというからレーシングシューズ以外では最軽量の部類に入ると思う。

ミッドソールに採用された新開発のニトロフォーム。革新的なプロセスを通じて窒素ガスを注入することにより、高い反発性とソフトなクッション性を両立

まず足を入れてみると、その軽さはすぐに感じられる。ソフトながらしっかりと反発し、足裏を押し返してくるようなニトロフォーム独自の特徴も体感することができた。実際に走り始めると、立っている状態よりもさらにソフトな感覚があるが、ミッドソールが沈み過ぎることがないので、蹴りだしの際の足の動きを助けてくれ、そのために軽快かつ効率よくペースアップができる。

一方で着地時の衝撃吸収性も高いレベルにある点は有り難い。またアウトソールのグリップ性も高く、耐摩耗性の高いラバーコンパウンドを広い面積に配しているので、長い付き合いができそうなのも嬉しいところだ。このようにプーマのリベレイト ニトロは、新開発のニトロフォームの機能性をフルにフィーチャーすることで、軽量性、クッション性、反発性を高次元で確保しており、税込で13,200円という買いやすい価格のシューズと思えないほど、機能面のトータルバランスに優れた1足となっていた。

あらゆる路面に対応する抜群のグリップ性を持つPUMAGRIPアウトソール。耐摩耗性にも優れるので、長い付き合いができそうだ
南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間52分00秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。