走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

着地から蹴り出しまでスムーズに動くサッカニーの「キンバラ 12」
2021年5月10日 08:00
サッカニー(SAUCONY)はアメリカ発祥のスポーツブランド。日本ではABC-MARTが総代理店となっており、復刻モデルのカジュアル向けスニーカーが好調なこともあって、日本でも注目度が増している。
ランニングシーンでの存在感は本国アメリカに遠く及ばないものの、最近は高機能プロダクト群のエンドルフィンシリーズが、日本でも好調なセールスを記録している。
そんなサッカニーのランニングコレクションにおいて重要なポジショニングにあるのが、キンバラ(KINVARA)。様々なレベルに対応する機能性に優れた1足で、リーズナブルな価格設定も嬉しい。
現在ではサッカニーランニングを代表する1足となった「キンバラ」は、2010年に初代モデルが登場した。それは2008年に、サッカニーの契約トライアスロン選手のリンジー・コービンが、当時の同社デザイナーであるクリス・マホニーに対して、あるリクエストを行なったことが「キンバラ」誕生のきっかけとなった。
それは、トライアスロンの最終パート、長距離走で使えるシューズが欲しいということ。
単にフラットで軽ければ良いというわけではなく、かと言って分厚いソールではダメというオーダーだった。試行錯誤の末に誕生したスペックが、4mmオフセット、すなわち踵からつま先までの高低差が、当時の業界の常識としてはかなり少ない4mmという構造だった。
こうして誕生した初代「キンバラ」を履いた彼女は、見事、参加したレースで表彰台に上った。コービンをはじめとして、他のアスリートからも絶賛された「キンバラ」は、市販されると瞬く間にヒットし、多くのファンを抱える名作となった。
当時オフセットの少ないスペックの先駆けでもあった「キンバラ」の登場は、ランニングシューズ業界においても多大な影響を与えた。以降、「キンバラ」は自然な着地感を提供するナチュラルタイプのランニングシューズの代名詞となり、ランナーからの高い支持を受けることに成功。「ランナーズワールド」を始めとした各メディアから賞を獲得することになった。
そんな「キンバラ」であるが、時代の変化にも伴い、スペックを徐々に変化させ、今回紹介する「キンバラ 12」では、自然な走行感にプラスして、充分なクッション性も提供する1足となった。
まず足を入れてみると、203g(26.0cm)という軽量性と、アッパーのフィット感の良さを感じる。軽量性に関しては、ミッドソールに使用されているPWRRUN(パワーラン)とPWRRUN+(パワーランプラス)の軽さ、加えて、アウトソール部分のラバー使用を必要最低限の面積に抑えたことが、大きく貢献している。
最近は履いて立っている状態でも高いクッション性を足裏に感じるシューズが少なくない。だが、このモデルでは素材の沈み込みはほとんどなく、安定性が良さそうだ。
実際に走り始めると、まず感じるのは着地から蹴り出しまでのスムーズな動き。足裏感覚を適度に感じられる点は従来の「キンバラ」シリーズ同様だが、着地時の衝撃吸収性は明らかに向上していることが理解できる。また、走り出す前に想像した通り、着地時の安定性は高いレベルにあった。
「キンバラ」を履いたこの日は、6分30秒~5分00秒/kmくらいまでのペースで走ったが、幅広いペースに対応してくれた。「キンバラ」は元来トップアスリートからの要望で企画開発されたモデルだったので、以前はある一定以上のレベルのランナーに向くシューズであった。
だが、この「キンバラ 12」を含むここ数シーズンのモデルは、ビギナーランナーが履いても快適に走れるようになった。
アメリカでは$110で販売されているが、日本ではそれよりもかなり安い9,790円で販売されているのも嬉しいところだ。