ぷーこの家電日記

第558回

寒い冬に猫団子がうらやましくて仕方がない

今週は東京もものすごく寒かった。あまり外に出ないということもあるし、どちらかというと暑がりなので、「今年は暖冬だなぁ。むしろ冬が来ない」くらいに思っていたけれど、今週は間違いなく冬と言っても過言じゃない。内臓がガタガタ震えるくらいに寒いし、手袋しても指が冷えるし、耳が痛い。久々に「これは寒い!」と文字通り震え上がった。でもこの寒波を過ぎるときっと少しずつ春に近づくはずだと思いたい。

これだけ寒いと、布団から出るのも外に出るのも本当に億劫で仕方がないけれど、こんな冬の唯一の楽しみは、「猫との距離が近くなる」ことである。我が家には3匹の猫がいる。それぞれ全然柄も性格も違う可愛い猫。その3匹の猫に囲まれながら共に暖かいお布団に包まれて寝る。それが私の冬の楽しみ……になるはずだった! それが3匹とも人間と共に寝るのは断固拒否なのである。

そもそも3匹中2匹は家庭内野良猫状態。人間が好きではなくほぼほぼ寄りつかない。1匹だけ、三毛猫は一応飼い猫らしく飼い主からは逃げたりしないし、むしろ膝の上で寛ぐのだけど、暑がりなのか布団の上では寝ても自分の上に何か掛けられている状態が嫌いで、布団の中には絶対に入らない。そして私が寝るときに気まぐれでちょっと腕枕でゴロゴロしたりしても、5分もせずに、「それじゃ!」と自分の好きな場所に移動してしまう。

睡眠時にベッドの上に猫の姿はゼロ。猫たちに囲まれて、重たくとも苦しくとも例え寝返りが打てなくとも、窮屈な幸せを感じて過ごしたい! という憧れはこれまで果たせぬまま。それでも毎年冬が来る度に淡い期待を抱いてしまい、あっさりと振られてしまうのである。3匹は固まって寝ていたりするのに。くぅ! 私もあの猫団子に入りたい。

我が家に来てそれぞれ7年半、7年、5年経つ3匹。これだけ経つのに、これだけ一緒にいるのに、一緒に寝るどころか懐いてもくれない。1番ビビりでパニックを起こしやすいキジ猫なんて、本当に気まぐれ程度に私にちょっかいをかけてくることはあれど、基本は家のどこかに引きこもっているし、夫の前にはほぼ姿さえ現さず、「今週は全く見てないなー」などとよく言っている。

どれくらいビビりでパニックを起こしやすいかというと、公園で野良をしていた子猫時代、捕獲器に入って保護されたのだけど、捕獲器の扉が閉まったのに驚いてパニックを起こして飛び上がり、捕獲器内で強打して頚椎を損傷。そのまま半身不随になってしまったくらいなのだ。

損傷の具合が結構深刻で、ずっと寝たきりかもしれず、飼い手も見つかりにくいよねと「じゃぁ、うちに来るか?」と私がスカウトして我が家にお越しいただいたのだけど、子猫の回復力は目を見張るものがあって、あれよあれよと歩けるようになり、走れるようになり、人間が好きと思っていたのに、動けるようになった途端、人間に反旗を翻し野良と化してしまった(笑)。

その時の名残か後遺症か、走り方が独特すぎて、人間の気配を感じて逃げる姿が可愛くてつい笑ってしまうのだけど、パニックを起こしやすい性格は相変わらずなので、爪切りの時などは気をつけなければ家中ひっくり返しかねない状況になる。

我が家の元祖家庭内野良猫の白黒猫は、とにかく三毛猫が大好きすぎてずっと一緒にいたいし、いつも大声で「おねーちゃーん! おねーちゃーん!」と呼んでいる。三毛猫が私たちの膝の上にいる時は、ちょっと遠くから恨めしそうにこちらをじーっと見て、三毛猫がフリーになるのを待っている。三毛猫ねぇちゃんはそれに疲れて時々膝の上に避難しているのだと思うのだけど(笑)。

そんな3匹、これからもずっと変わらないんだろうなぁと思っていたのだけど、少しずつ変化していっているし、今年の変化は結構大きかったようで、私としては大感激している。

元々飼い主に懐いていた三毛猫は、ますます甘えん坊になっていつも私に話しかけてくる。何を言いたいか半分くらい分からないのだけど、めちゃくちゃ話しかけてくる。そして外出から戻って「ただいま」と言うと玄関まで迎えに来てくれるようになった。尊すぎて拝みたい!

人間が苦手な白黒猫は、「大好きな三毛猫に近付いたら、うっかり気付けば膝の上に乗ってしまった」というていで、私の膝の上に乗ってきて、私が撫でると思い切りデレデレゴロゴロ甘えるようになった。でも「ついうっかり」なので、散々撫でを堪能したあと、ハッと我に帰ったように逃げていく(笑)。それでも膝の上に乗るのは気持ちがいいと覚えたようで、「ついうっかり」を繰り返し、私との距離がグッと縮まった気がする。

1番の自由人のキジ猫は、相変わらず1人で好き勝手に日中どこかで過ごしているけれど、先日洗濯物をしまおうと寝室に入った時に、布団の中から慌てて飛び出ていった。そう、お布団の気持ちよさを知ってしまったのである! 我が家で唯一布団に入る猫が誕生したのだ。

「どうぞどうぞ。お布団どうぞ!」と私が言っても全く寄りつかないけれど、私は知っている。私がいない間、毎日布団の中でぬくぬく過ごしていることを。仕事から帰って布団を触ると温かい。「犯人は近くにいるぞー!」と、にやにやしながら叫びたくなるくらいに嬉しい。

少しずつ進化を続けている我が家の3匹の猫。今年は無理でも来年、いや再来年、もう少しかかってもいい! 寒い冬の季節に一緒にお布団で寝る日は来るのではないかと、やっぱり期待し続けてしまう! こうやって上手いこと人間を肉球の上でコロコロと転がしてくる猫って、やっぱり賢いし最強だなと尊敬しているのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。