ぷーこの家電日記

第449回

美容院が苦手すぎる私、ついに動き出す

唐突ながら、私は美容院が非常に苦手だ。決して嫌いなわけではなく、行ったら気分は上がるし後悔したこともない。むしろ毎度「気分最高!」となるので、「好きなのでは!?」と思ったりするのだけれど、それでもやっぱり大の苦手だ。苦手になったきっかけというか1番の要因は、度重なる引っ越しで行きつけの美容院を失ったことだろう。

最初のハードル「予約」。前もって予定を入れるのは美容院に限らずもともと苦手だ。ドタキャンなんてするつもりはサラサラないのだけれど、ドタキャンをしてしまう可能性を作ってしまった時点で不安になってしまう。「急な(仕事なんかで避けられない)予定が入ったらどうしよう」とか、「その日本当に空いていたっけ?」と無駄に不安に駆られるので、予約を入れて予定通りに行動するよりも、「今日暇?」くらいに急に誘われたりするほうが気が楽なタチ。

そして「髪の毛を切りたい!」という衝動で動くタイプなので、メンテナンスをするために予約を入れて行くよりも「今行きたい。すぐ行きたい」みたいになってしまうので、余裕を持って美容院に予約するという行動と相性が悪い。その予約という第一段階で脱落しがち。「今度暇な時に行くかー」な感じで、先送りしてしまうのだ。

次に、というか苦手な本丸が、美容院で過ごす時間だ。リラックスできる居心地の良さを追求したような空間だけれど、キラキラとおしゃれで眩しくて、私には場違いな感じで「申し訳ございません」みたいな気持ちでとにかく緊張する。行き慣れていない所だとなおさら。

何よりも美容院での普通? マナー? 御作法? 的なものが分からない。シャンプー台で横になっている間、「この手は伸ばすのか腹の上で組むのか?」とかって分からないし、シャンプー台を倒すときに「楽にしてください」と言われても、首の力を抜くなんて慣れてないのでちゃんと力が抜けているかも分からないし、本当に力抜いたら頭重すぎないかと心配にもなる。シャンプーしてもらった後に髪の毛を拭いてもらう時に、耳の中にタオルを入れられると「きゃー! 耳掃除してないー!」と恥ずかしさ満点だ(笑)。

シャンプーひとつでこんなにソワソワ緊張しているのに、「人にシャンプーされるの最高! めっちゃ気持ちがいい!」という気持ちが同居しているのが本当に不思議。シャンプーも好きだけれど、私はヘッドスパがめちゃくちゃ好きだ。常に全身凝っていて、頭も同じくガッチガチ。頭皮からマッサージしてもらうのが爆睡してしまうほど最高に好きだ。そしてつい寝落ちしてしまった時は「やばい! いびきとかかいてなかったかな」って不安になるので、感情が忙しい(笑)。

いざ髪の毛を切るときは、本当に相性。会話すること自体は苦痛ではないのだけれど、それでも場違いな空気を感じている自分が気軽な感じでキャッキャ話すのは結構なエネルギーを使うのだ。その中で心地良い会話ができる人もいれば、こっちがなんだか一生懸命に合わせて頑張ってしまう時もあり、きっと私が疲れた時は相手も何を話せば良いか分からず同じく疲れてて、本当に相性だなというか、何が正解か分からない中で、接客業って本当に大変だなぁと、「なんかすまん」と心の中でお祈りしてしまう。

パーマをかけるときなんかは時間がかかるので、「お飲み物お持ちしますが何にしますか?」とかって言ってくれたりするのだけれど、正気を保つために「あ、ビールください」とか言いたいくらい(笑)。ただ、カットやパーマでロッドを巻くときなんかの施術をじーっと見ているのは大好き。技術職って本当にすごいなぁカッコいいなぁって思いながら、ハサミ使いやロッド使いを鏡越しにひたすら見ている。あまり見すぎても悪いかなとも思うけれど、ひたすらずっとガン見。雑誌なんて読む暇ないほど見てしまう私。

コロナ禍に入ったばかりの頃、その時点で結構美容院に行ってなくて「そろそろ髪の毛をどうにかしたい」と思っていた。でも髪を切るなんて不要不急だし、もともとこれだけ苦手なわけでますます縁が遠くなってしまった。何ならノリと勢いな感じで夫に切ってもらったりしてやり過ごしていた(「セルフカットならぬ夫カット。スリリングで楽しいおうち時間」)。やっぱり素人なのでプロとは程遠い。このざっくり切ったヘアスタイルを美容院に持ち込むのはびっくりされるかなぁと、色々動き出して落ち着いてからも、ますます遠ざかってしまった。

そんなこんなで寝かすこと発酵させること3年。伸び散らかした髪の毛をぎゅっと縛りながら、「そろそろちゃんと」欲が高まってきた。そしてもう一つ、終の住処じゃないけれど、終の美容院を探したいという希望。面倒だな苦手だなって今までは適当にやり過ごせていたけれど、もうそろそろ45歳、白髪も出てくるだろう。幸いこの歳まで全く白髪がない。今年になって初白髪(候補の色素薄めの)1本を見つけたのだけれど、きっと今後一気に増えるはずだ。緊張せずにメンテナンスできる環境を作らないと大変なことになる!

ということで……検索に検索を重ね、3年ぶりに行った美容院! 緊張ドMAX! どんな髪型にしたいかよりも、ちゃんと過ごせるかという一大プロジェクトだった(笑)。でもでも、おしゃれながらに全然キラキラしてなくて、技術力高めで、帰った後の疲れもほぼなく、過去1位といっていい程に気に入った。しかも家から徒歩1分くらい! 青い鳥とはこういうことを言うのかー! これで私の美容院苦手症候群(そんな言葉はない)は払拭されるんじゃないだろうかと、思っているのであります。今年中にもう1回は行っちゃうぞーっと!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。