ぷーこの家電日記

第397回

切り花がある生活で季節を感じたい

10月に入った。「暑さ寒さも彼岸まで」というけれど、まだ全然暑い。私が多少暑がりというのもあるけれど、暑い日が多くて、夏が勘違いして帰ってきた!? と驚く。毎日まだまだほぼ半袖で過ごしている。夕方になると少しヒヤッとするけれど、まだまだ全然半袖で大丈夫だ。食べている物の季節感と体感する季節感がずれていて、不思議というか、今も「秋の先取りだ!」なぁんて思ったりするけれど、「あ、秋真っ只中じゃん」と気づくのだ。今年もきっと秋ものを着る機会がほとんどないまま、急に寒くなって急に冬になるんだろう。といっても、ここ2年ほとんど出かけることもないんだけれど。

特段出かけなくても、食べ物で四季を感じている。それが無かったら、私の生活はもっと平坦で濃淡の無い毎日だっただろう。かなり昔の若い頃、一人暮らしの私は、毎日仕事で夜かなり遅く、しかも疲れて帰って寝る生活が続いていた。その頃は切り花をよく買っていた。きっと現在の食べ物と同じような理由だったんだろう。ただ疲れて寝るだけの生活に、ちょっとした季節感とか彩とかが欲しかったんだと思う。

花はとても癒される。家事がとても苦手なので、忙しいと散らかり放題の家で、それを見るとさらにげんなり疲れるって感じの酷い生活をしながら、場違いの切り花はちょっとホッとできる空間で、そして何だか少しだけ「丁寧に」暮らしている感じがして、そうしている自分が好きだったというのもある(笑)。

鉢植えは何度か買ってみたけれど、すぐに枯らしてしまうし、その鉢を持て余してどうすれば良いのか分からないのですぐ諦めた。まさか将来自分の趣味が家庭菜園になって、野菜だのハーブだの育てている人間になるだなんて、1mmも考えていなかったころだ(笑)。人間変わるもんだなぁと思うけれど、実家の庭にはいつも季節の花であふれていたし、私もかろうじて切り花を買って癒されていたということは、根底には植物との生活が好きだったんだろう。

今では畑で野菜を育てたり、ベランダで花を育てたりして季節を感じている。室内にある花も空気が明るくなってとても好きだ。そんな私が室内に花を全く置かなくなったのは、猫を飼い始めてからだ。肉食動物の猫にとって、有害となる植物はかなりある。もちろん大丈夫な植物もあるのだけれど、花束を買った際に安全か危険かを全部調べる手間があるし、もし間違えていたらと考えると、いっそのこと「植物NG!」で過ごしたほうが間違いないと思ったからだ。猫に有害でない花でも、夜中の運動会のドタバタで花瓶を倒して大惨事になる様子が目に見えている(笑)。猫に合わせて生活すること、それが我々下僕と化した人間には絶対的な任務なのだ。

ところが、この頃私の前に心躍るものが現れた! 先日送られてきた新米の箱の中に、稲穂が同封されていたんだ。ものっすごくテンションが上がった。普段東京のマンションに住んでいて、近くに田んぼなんかないし、家で見るのは玄米か白米。別に都会人ぶっているわけではないが、稲穂をそっと同封してくれる心遣いと稲穂の香り、そして秋という季節を閉じ込めた感じに無性にテンションが上がったんだ。これはこの季節ぜひとも飾っておきたい! って思った。そういえば以前、猫飼いの友人が壁掛けの一輪挿しを素敵に使っていた! と思い出して、早速「壁掛け 一輪挿し」と検索してぴったりなものを見つけて即購入!

チープながら何にでも合いそうで可愛い一輪挿しだ。稲穂を挿してみると、一気にそこが秋だ! ススキも良いけれど、稲はとても良い。季節だけでなく「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と、何だか教訓めいたものすら感じる。今回、切り花ではなく素敵な稲穂がきっかけだったけれど、壁掛けだったらまたお花のある生活が楽しめていいなぁ。そして一輪挿しとはいえ、もう少したくさんのお花も飾れる。季節季節のお花を飾って、楽しんでいきたい。

お花屋さんで自分で選んで飾るのも良いけれど、今人気のお花のサブスクリプションサービスなんてのも気になる。毎回どんなお花が届くか分からないだけにワクワクするなぁ。サービスがたくさんあって、どう選べば良いかちょっと分からないけれど、寒くなるまでは稲穂の恵みに感謝しながら迷いつつ、秋を満喫しようと思っているのであります。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。