ぷーこの家電日記

第398回

美味しさとカロリーの間で揺れ動くお菓子作り

10月も半ばというのに全然暑くて、まだまだ毎日半袖Tシャツで過ごしていて夏気分。「暑くない!?」なぁんて言っていたんだけれど、家の中が暖かいだけだった。夕方買い物に行こうとして、いつも通り半袖のまま出かけたらかなり寒くて、「私はワンパクな小学生か!?」と、ちょっと恥ずかしくなった(笑)。思いのほか、かなり秋だった。

今週末から全国的にかなり冷えるらしくて、体がついていかなそうで不安。いや、いったい何を着たら良いか分からずに焦っている。緊急事態宣言も明けて、東京の状況も落ち着いてきていた今、ほぼ在宅で仕事をしてきた私も、ぼちぼち仕事で外に出ることも増えてきそうだ。もう「外出初心者セット」みたいな、洋服セットとか売って欲しいなぁ(笑)。

この1年半、ガラッと生活が変わって、働き方も変わったし、暮らし方もずいぶん変わった。私が1番変わったところは食生活だなぁ。飲食店への時短要請や在宅勤務で家にいることが増えて、料理に割く時間がかなり増えた。もともと料理は結構好きだしやっていたけれど、平日のランチは外で食べていたり、夜も結構外食が多かったのが、ほぼ自炊に移行し、通勤時間がなくなった分の時間はそのまま料理する時間に使われるようになった気がする。美味しい食材にもたくさん出会い、それを美味しく食べるために工夫したりと、「好きこそものの上手なれ」という通り、食べることが大好きなので料理もますます上達した気がする。

「料理が好き」と言うと、20代のころまでは「女子力アピール」などと、意味の分からない言いがかりを付けられることもあり、ただの趣味なのに「料理が好き」と口に出すのもはばられた。女子力って言葉大嫌いだ。服装だって趣味だって、別に人のためにやっているワケではなく自分が好きでやっているだけだ。

それが30代後半くらいからそんなことも言われなくなって楽になり、オタク的な性格が相まってご飯やつまみだけでなく、豆板醤やオイスターソースやポン酢など、調味料も作るようになり、「料理と言うより加工だね(笑)」などと笑われたりしながら今に至る。

料理をいつから好きになったかは覚えていないけれど、大学生になって一人暮らしするまでは、ほとんど料理したことがなかった。キッチンは母親の城という感じで、ご飯の準備のお手伝いは、やんわりと拒絶されていたような気がする。

ご飯はほとんど作ったことがなかったけれど、お菓子作りはかなり好きで小学生のころからいろいろ作っていた。毎日のご飯の準備をするのは家事で、お菓子作りは趣味という感じなのか、母も適度に教えてくれたり適度に放っておいたりしてくれ、よく作っていたなぁ。母がパンやお菓子はとてもよく作る人で、何か分からないけれど資格的なものも持っているらしく、型や材料は常にたくさん家にあったし、個包装する袋などもかなり豊富で、お菓子作りに興味がある子ども時代の私にはかなり天国だった。

お菓子作りにハマるきっかけといえば、図書館で借りた本だった気がする。ロングセラーでいまも人気の「こまったさん」「わかったさん」シリーズの童話は楽しかったなぁ。不思議な世界に迷い込み、そこで繰り広げられる物語と共に、美味しそうな料理とレシピまで分かっちゃうという本にかなり心踊った。こまったさんはお料理、わかったさんはお菓子、どちらも魅力的なクッキング童話で、「マドレーヌ」という魅惑的な知らないお菓子に感動したことを覚えている。

あとは記憶がうっすらすぎて思い出せないのだけれど、小学生向けの漫画のようなレシピ本に心躍って図書館で借りてはチャレンジしていた。そして高校生になる頃には、ケーキ1ホールをぺろっと食べられるくらいの食欲と代謝を手に入れて、好きなお菓子を作っては大いに食べまくり、学校に持っていっては部活の時間にみんなで食べたりしていた。

それが大人になると、お菓子より酒のつまみを作ることが多くなっていき、さらに高校生の頃のブラックホールのような食欲も落ち着き、代謝も落ちて食べたら太るようになってきて、お菓子を作っても材料の砂糖やバターの量にゾッとして怖くなりなかなか作れなくなってしまった。友人や同僚にお裾分けしようにも、「手作りお菓子は迷惑だ」と思っている人が少なからずというか、かなりの比率でいるらしいという事実をネットで知ってしまって以来、お菓子作りはほぼ封印。

それでも年に数回は作りたくなる。特に美味しい果物が多いこの季節に、ケーキやパイなどを作りたくなるのだ。美味しい果物って、そのまま生で食べないと勿体ないなって思うのだけれど、野菜も果物も結構加熱した方が好きな物も多い。そして今年も果物を前にお菓子作りたい熱がやってきてしまった。生のプルーンを使ってチーズケーキを焼いてみたら、あまりにも美味しくて思わず小躍り。久しぶりにホールで平らげてしまいそうなくらい美味しかった。

夫が想像していたよりも遥かに喜んで嬉しそうに食べていて、お菓子っておつまみとはまた違う幸せがあるよなぁと思った。その夫の姿を見ていると「太るから」と言わず、ときどきはお菓子作りしようかなぁ。と思ったり。いや、食べたくなったら美味しいケーキを1ピースずつ買えばいいんじゃないか? と、お菓子作りと言うか摂取カロリーと葛藤しながら、ただいまアップルパイの準備をしている所であります(笑)。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。