ぷーこの家電日記

第346回

食い気vs面倒臭さ!!! 今年も栗とのバトルに挑む

先週のコラム「預かり犬から飼い犬に。我が家の老犬その後」に、たくさんの「良かったね」「長生きしてね」というコメントを頂いて、非常に感激した「おかーちゃん」でございます。誰の目にも留まらず、人知れず消えていったかもしれないこの子が、こんなにたくさんの人に存在を知ってもらい盛大に祝ってもらえるなんて! きっと本犬も感無量でしょう。昼寝に勤しみながら、研ぎ澄まされた臭覚で美味しいものを求め、朝(夜中だぞ)は早起きに精を出し、今日も箱入り息子を満喫しております。大変感謝感激雨霰! 冒頭に、お爺さんワンコのヘソ天昼寝写真とともに、ありがとうです!

さてさて、そんなお爺さんワンコもお布団を掛けてほしがる秋になって参りました。急に来たな秋! まぁもう10月なので、完全に秋なんだけれど、つい最近まで暑い日も多かったものだから、余裕で半袖なんて着て外に出たら、「寒っ! 私はなぜ半袖なんて着ちゃったんだろう」と即後悔した。長袖をいろいろ引っ張り出さなければいけない。

買い物に行っても、きゅうりやピーマンなどの夏野菜が減って、サツマイモや梨など、秋の色に移行してた! この季節になると私の心を掴んで離してくれないのは栗である。昔から栗大好き。そしてこの栗、めっちゃくちゃ美味しいのと同じくらいめっちゃくちゃ面倒なのだ。

なので、栗が並ぶこの季節、出会うたびにいつも悩む。そして結局誘惑に負けて買ってしまう。栗の皮を剥きながら、「はぁ、何でこんなに面倒な物を買ってしまったんだろう」と溜息を吐きつつ、食べた瞬間に幸せすぎてその後悔が一気に昇華され帳消しになる魔力が恐ろしい。

本当に面倒なので、「何だこれ、スカスカじゃん!」みたいな失敗をすると大暴れしそうになる(笑)。若いころにそんな悔やみきれぬ買い物の失敗をして学習したし、今は逆にそんなに粗悪な栗はなかなか売っていないのかも!? とはいえ、「美味しい栗を堪能したい!」と、今年は「栗の王様」とも言われる品種「利平栗」をたっぷり2kg購入したのであります。焼き栗、栗ご飯、栗の渋皮煮の3点セットは毎年欠かせない。

2kgと言えば結構な量。最初の5個くらい剥いた時点で「はぁ、私は何でまた……」といつもの後悔が襲ってきた。夫が仕事から帰ってきて、必死に皮を剥いている私の姿を見て、「本当にこういう苦行みたいな面倒臭そうなことが好きだよねぇ」なぁんて言うもんだから、「食べるのが好きであって、これは好き好んでやっているわけではないのです!」と言うけれど理解はされない(笑)。

途中で止めると面倒臭い気持ちに負けそうだったので、数時間かけて一気に皮剥きを終わらせる。遅くなったので一晩冷蔵庫でお休みになってもらい、翌日渋皮煮をせっせと作った。あく抜きしながら煮てはお湯を捨て、煮てはお湯を捨てを数回繰り返してから、渋皮の表面の太い筋や繊維を1つずつ綺麗に取り除き、最後に砂糖とともに煮て出来上がりだ。こんな面倒臭くてこんなに美味しいものを考えたのは誰だよ? って気持ちになる(笑)。

味をなじませるため、その日は鍋のまま寝かせておいた。翌朝が楽しみだ! そして翌日そんな栗を目ざとく見つけたのが夫だ。鍋の蓋を開け「これ食べていいの?」と言うから、「どうぞどうぞ。めっちゃ美味しいのできたよ」と言うと、大粒の栗2個をお皿に出して、「美味しい!」と言いながらポイポイと食べてしまった。思わず「あ、あぁ……」と声が出そうに。そしてその翌日はポイポイポイポイと4個一気に食べてて「ひ、ひぃ……!」と声が出た。もう少し慎重にというか、味わって食べてほしいような、好評で嬉しいような、そんな心の声が漏れ出たのだ。

そしてそんな私の姿は、私の子どものころの母の姿そのもの。美味しすぎて大好きすぎる渋皮煮をもぐもぐ食べる私を「ちょっ! 今日はここまでー!」と母が全力で制してた(笑)。今なら気持ちがわかりすぎる。たくさん作って冷凍して、お正月のおせちにも入れようかななぁんて思っていたけれど、今年は瞬間でなくなってしまいそうだ。

夫は今まで「嫌いじゃないけど、そこまで大好きでもない」と言っていたのに、どうやら今年の利平栗で開眼してしまったらしい。「今ならまだ第2弾作るの間に合っちゃう!?」「いやいや、もう面倒臭いわ」の葛藤で揺れる秋の夜長。あぁ、どうしよう!

こんなに面倒でも、つい手を伸ばさずにいられない栗の魔力。そう言えば体調が優れなかったり仕事が忙しすぎた年は栗をコトコト料理する時間的余裕も気持ち的余裕も持てなかったなぁ。「面倒臭い。面倒臭い」と言いながらも、来年もまたコツコツ皮を剥いてコトコト煮ていたい。栗は秋の味覚であるとともに、私の元気のバロメーターなのかもしれない!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。