暮らし

[ダウン症児と私55]子どもだけで通う「単独クラス」を体験

ベビーカーに乗せてばかりいたら、一時は歩かなくなってしまったユキトくん。今回は、再び積極的に歩くようになり、歩ける子が親と離れて通う「単独クラス」を体験したときのお話です。これまで、ナナさんとユキトくんは一緒に幼稚園に通っていましたが、年長さんになったら、1人で通うことになります。「単独クラス」の初体験、どんな様子だったのでしょうか。

 

年長は、子どもだけで通う「単独クラス」への進級が決まる

5歳の誕生日を迎え、新しい年度でユキトは、歩ける子が親と離れて子どもだけで通う「単独クラス」に進級できることが決まりました。歩かなくなってしまった時期はとても心配しましたが、家でも公園でも、なるべく意識的に歩かせるようにしたことで、何とかまた歩き始めたので安心しました。単独クラスへの進級も決まって、とっても嬉しかったです。今回は、単独クラスでの生活について体験をさせてもらったときのお話をしようと思います。

 

リュックを背負い、外履きを履いてバスで登園

単独クラスは、通園バスに乗ってリュックを背負って登園します。ただでさえ歩くのが不安定なのに、リュックを背負って歩けるか心配でした。できるだけリュックを軽くするために、水筒のお茶を半分だけにしたりしました。

今までは、ベビーカーで登園していたので足は裸足や靴下履きでしたが、ほかの子は外でもきちんと歩ける外履きを履いたので、ユキトを外でもしっかり歩かせなくてはと思いました。

幼稚園の玄関で外履きから上履きに履き替えます。体験の日、玄関にある椅子に座らせて上履きを履かせようとしましたが、ユキトはすぐにイスから立ち上がってしまいました。仕方なくその日は、ベビーカーに乗せた状態で、上履きを履かせました。

 

自分のことは自分でする、トイレはまだ苦手

不安定ながらもなんとか歩かせて教室に着くと、それぞれのカゴに連絡帳、水筒、歯ブラシ、コップ、おしぼりなどを全部自分で入れて、名札を着けて、シール帳にシールを自分で貼ります。自分の名前とマークが書いてあるタオル掛けに自分でタオルを掛け、教室の後ろにある各自のロッカーへ自分でリュックを置きます。母子クラスで母親がやっていたことも、単独クラスでは自分でやらなければなりません。

朝の準備を終えると、リングタオルをタオル掛けに掛け、トイレに行きます。排泄は、半年前から幼稚園のトイレで練習していますが、やはりユキトは手こずってしまいました。座るのを嫌がったり、便器に足を入れたり、床でハイハイしたり、スリッパで遊んで舐めそうになったり、まだまだ時間が掛かりそうでした。ここは、気長に練習していきたいと思います。

 

ホール遊びに夢中!大好きなトランポリンから離れない

トイレのあとは、ホールで遊びます。単独クラスは、母子のクラスと違って全員が歩きもしっかりしていて、走り回れる子どもばかりなので、バタバタとしています。ユキトがびっくりして萎縮してしまわないかととても不安だったので、ホール遊びは半年前から慣らしをさせてもらっていました。そんな心配をよそに、ユキトはニコニコして笑顔で遊び始めました。

ホールには、ブロックや車、ぬいぐるみ、おもちゃの電車、絵本、トランポリン、滑り台、平均台などが出してありますが、ユキトは大好きなトランポリンに一目散に向かいます。歩きが苦手なユキトですが、トランポリンを見付けると急にしっかりして、まっすぐ早足で歩いて行きました。目標物があるとこんなにもしっかりと歩けるのかとびっくりしました。

一目散に向かったトランポリンでは、ユキトはうつ伏せで寝てじっとしています。しばらくするとお友だちがやって来てトランポリンで飛び跳ねてくれます。ユキトはトランポリンにへばり付いて、とても楽しそうに声を出して笑っていました。

 

トランポリン好きを逆手にとって、歩く練習も

トランポリン以外にも、たくさんのおもちゃや遊具があるのに、ユキトはトランポリンから全く動こうとしません。ほかのおもちゃでも遊んで欲しいと思って、ユキトを抱っこして移動させるのですが、ユキトはまた急いでトランポリンに上がってうつ伏せで寝て、友だちが来てくれるのをじっと待っています。

何度移動させても戻るので、これは歩く練習になると思い、わざと私がトランポリンから離れたところ連れていき、トランポリンまでユキトを歩かせ続けました。ホールでの自由遊びが終わったら、朝の会をして、午前の活動に入ります。今日は砂遊びでした。そして給食を食べたところで体験は終了。いつもの母子クラスに戻りました。

 

楽しく遊ぶ姿や給食の姿を見て、安心

トイレや砂遊びでは、ユキトはスリッパや砂を口に入れそうになって大変でしたが、ホール遊びは楽しんで歩く練習ができ、給食も問題なく食べられたので安心できました。新年度からは頑張って単独クラスに通いたいと思いました。

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。