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「乳ガン」経験者325人調査、「生活の不安」と「お金・仕事の変化」

乳ガンと診断されたら、自分の体調、家族や仕事など、今まで通りに行かないことが出てきます。今回は、乳ガン経験のある女性325人へ生活、お金、仕事について聞いた調査結果をご紹介します。乳ガンにかかった人の多くが、自分の体調だけでなく、今後の生活を左右するお金の面でも大きな不安を抱えていたことが分かりました。

 

乳ガンになったときの不安は「再発や転移」「仕事」「家族」

ライフネット生命保険が、乳ガンにかかったときに仕事をしていた325人へ行なった「乳ガン経験者へのアンケート調査」で、「乳ガン罹患時、不安に思ったこと」を尋ねたところ、82%の人が「再発や転移」と回答しました。そのほかでもございませんが「仕事(58%)」や「家族への負担(56%)」も半数を超え、自分の体だけでなく、今の生活へのさまざまな影響を不安に思った人も多いことが分かりました。

 

困ったのは「外見のケア」「治療の相談」など、家事にも影響

また「乳ガンの罹患後、生活で困ったこと」を聞くと、乳ガン経験者の2人に1人が「外見のケア(48%)」を選ぶ結果に。続いて多かったのは「治療や体調の相談(42%)」「買い物(38%)」「通院(37%)」でした。自由回答には、「術側の腕が上がらず、洗濯物を干すのに苦労した」「味覚異常がひどくなり、料理をしても味付けの加減が全く分からなくなった」など、家事への影響を挙げる声も寄せられました。

 

サポートサービス利用の壁、6割が「費用面」

乳ガンにかかった人へ、利用したい生活のサポートサービスを聞くと、「入院や通院のときの保育サービス」「食事作りのサポートや食事の宅配」「買い物代行」「出張美容院」などを求めていることが分かりました。そこで、これらのサポートサービスについて「利用の壁(ハードル)となるもの」を尋ねたところ、6割の人が「費用面」と回答。また、約4割の人が「手続きが簡単かどうか」や「サービスの利便性」を挙げました。

 

罹患後の「平均年収288万円」、罹患前から20%減少

次に、乳ガンの経験者全員へ「罹患前と罹患後の年収」を聞いたところ、罹患前の平均年収は358万円だったのに対し、罹患後は288万円と20%減少したことが明らかに。このうち「収入が減少した」という人に絞った場合、罹患後の収入は43%も減少したことが分かりました。

 

年収が減った理由は「休職」「業務量のセーブ」「退職」

そこで、年収が減ったと回答した170人へ「年収が減った理由」を尋ねると、多い順に「休職(33%)」「業務量のセーブ(29%)」「退職(29%)」という結果に。入院や通院などの治療を続けるために、仕事を休んだり辞めたりしなくてはならないことが、収入の減少に直結している状況がうかがえます。

 

収入減で「医療費」「生活費」苦しく、教育費削減の家庭も

また「収入が減って経済面で困ったこと」を聞くと、入院費・手術費・薬代など「医療費(56%)」や、食費・水道光熱費・日用雑貨など「本人や家族の生活費(49%)」と回答する人が多く、どちらもほぼ2人に1人が困ったと回答しました。子どもがいる家庭では教育費も悩みの対象になっていて、「子どもの塾や通信教育を止めた」という回答もありました。

 

生活の工面は、貯蓄取り崩しや節約、公的制度や保険給付で

さらに「収入が減り、どのように日々の生活を工面したか」を聞いたところ、節約の面では「貯蓄の取り崩し(59%)」「本人や家族の生活費の節約(54%)」が半数を超えました。また、給付の面では高額医療費制度、傷病手当金、雇用保険、障害年金といった「公的制度の利用(49%)」や、生命保険、医療保険、がん保険など「民間保険からの給付(45%)」が半数に迫りました。

 

罹患後、復帰した仕事への向き合い方はどう変わった?

続いて、乳ガンにかかったあと、仕事を再開した299人へ「仕事復帰後、仕事への向き合い方はどう変わったか」を尋ねたところ、4人に3人が「ライフワークバランスの考え方(76%)」が変わったと回答。「周りのスタッフへの気遣い(54%)」が変わった人は、半数を超える結果となりました。

 

勤務先のサポート制度に4割が「満足」、「制度ナシ」も4割

乳ガンの経験者全員へ「罹患時の勤務先で利用したサポート制度の満足度」を聞いたところ、「満足(16%)」と「どちらかと言えば満足(29%)」を合わせて、45%が満足していると回答。一方で、「サポート制度自体がなかった」という人も44%に上りました。企業に導入してほしいサポート制度の一例として、「体を休めるための休憩スペース」「治療での長期休暇から復帰後の次年度の有給休暇付与」「復職後、元のポストに戻れる制度」「フレックスタイムの導入」「患者の家族が取れる看護休暇」などの声が寄せられました。

 

勤務先のサポート、3人に1人が「使えない雰囲気」感じる

また、「仮に制度があっても使えない雰囲気があったか」を聞いたところ、「あった(17%)」と「どちらかと言えばあった(17%)」を合わせて34%となりました。3人に1人の人は、勤務先にサポート制度があっても使えない雰囲気を感じていたことが分かりました。

 

環境が整えば、「職場の同僚にもカミングアウト」が8割

もし周囲の理解など環境が整ったら「自身ががんに罹患していることをどこまでの人に伝えたいか」を尋ねると、9割を超えたのは「パートナー(97%)」「兄弟姉妹(93%)」「子ども(93%)」「親(92%)」で、ほとんどの人が家族へ伝えたいと考えていました。また、「友人(90%)」「職場の上司(88%)」「職場の人事担当(82%)」「職場の同僚(78%)」といった回答も多く、周囲の理解や環境が整えば職場の人へもカミングアウトしたいという意向が強いようです。

 

まとめ

乳ガンにかかると、自身の体を心配しながら、仕事の休職や退職で経済的な不安も抱えている人が多いことが分かりました。結婚、妊娠、出産とライフステージが変わることの多いqufourの読者にも、乳ガンは決して他人ごとではない病気です。公的制度や給付制度を始め、勤務先でもサポート制度が整ってきているなかで、周囲の理解がどこまで高まるかが今後の課題と言えそうです。

 

◇ライフネット生命保険、乳がん経験者へのアンケート調査結果を公開
http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2017/6833.html

 

qufour(クフール)編集部

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