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【ダウン症児と私22】摂食外来の結果、予想以上の発育と発育遅れが混在

もうすぐ 3歳になるユキトくんは、食事が上手に食べられない状況を改善するために、摂食評価外来を受診しました。今回は、1カ月後に診察結果と必要な訓練の説明を受けたときのお話です。理学療法や作業療法の先生が、ひとつずつ丁寧に説明してくれたことに、気付かされたことも多かったようです。

 

食べるための準備段階、感覚の過敏と鈍感に初めて気付く

Q.摂食外来では、必要な指導や訓練を見極めてもらえるそうですが、検査でどのようなことが分かったのでしょうか。

A.まずは、食べるための準備ができているかの説明で、ユキトの口腔や顔面の感覚は、過敏な部分と鈍感な部分が混在していると言われました。私はまったく気が付いていなかったのでびっくりして、先生の説明にうなずくだけでした。また、注意散漫できょろきょろして食事に集中できない傾向があることも指摘されました。

 

発育レベルにショック、でもはっきり分かって安心したことも

Q.前回の連載で行なった、遠城寺式発達検査の結果はどうでしたか?

A.検査の日に、臨床心理士さんの質問に答えた結果、6つの項目でそれぞれ発育段階が何歳何カ月くらいなのか分かりました。 

  • 移動運動、0歳11カ月
  • 手の運動、0歳7カ月
  • 基本的習慣、0歳7カ月
  • 対人関係、0歳8カ月
  • 発語、0歳4カ月
  • 言語理解、0歳1カ月

 

全般的に評価が低く、この結果には、ただただショックでした。

 

Q.身体的な発達についても調べたのですか?

A. はい、口腔機能の発育について詳しい結果が出ました。

  • 月齢:離乳中期(7~8カ月)
  • 調理形態:舌で潰せる固さ
  • 口腔運動機能:唇をしっかり閉じたまま顎の上下運動、舌の上下運動、顎の上下運動ができる
  • 咀嚼能力:数回もぐもぐして舌で押し潰して咀嚼する
  • スプーンから飲むことも上手になりつつある
  • 口腔内、周囲の形態に問題あり:高口蓋、上顎が狭い

 

まずは、ユキトの摂食レベルがはっきり分かったことが嬉しかったです。私が思っていた以上に食べられそうな状態だったことにも安心しました。ただ、「高口蓋」は聞いたことがなかったので、ショックでした。口の中の上側が高いために舌が上顎にとどかず、口の中で食べ物を動かしにくいということでした。

 

食事にどんな工夫が必要かが分かる

Q. これまでユキトくんは、食べられないことが心配でしたが、食事の摂取量などについても診断はあったのでしょうか。

A.はい。検査を受けたときのエネルギー摂取量は約800kcalでした。よく食べさせていたミルク、プリン、ヨーグルトなどでカロリーは足りているので、お腹が空いて困っているわけではないことが分かかり、一安心しました。ただ、食事内容に偏りがあるので、栄養状態がよくありませんでした。そこで、茹でて潰した野菜などにしっかり味付けして与えるようにと、指導を受けました。ビン詰めの離乳食は味付けが薄いので、食べてくれていない可能性があるため、家族の食事を利用して味付けのしっかりした食べ物に置き換えていくことになりました。

 

Q.食事中に、口の中へ手を入れてしまうことや、喉を鳴らすことなどは、どのように訓練していくことになりましたか?

A.手を使って遊ぶ食事環境を作りながら、自分で食べることを目指すことになりました。また弟がいる状態で、私がユキトの食事を介助するのは困難なため、児童デイサービスを利用して私以外の人のサポートを受けることになりました。これまでの福祉幼稚園や訓練施設は、全てユキトと私で一緒に通っていたので、ユキトは、このとき初めて私を離れて1人だけでサービスを受けることになります。初めての母子分離で不安というよりも、自宅での食事介助が困難になっていたので、プロの方にお昼だけでも頼ろうと、藁にもすがる思いでした。

 

ダウン症の基礎知識22:食事の訓練は根気よく

ダウン症の子どもは、一般にあまりたくさん食べないことが多いので心配になりますが、無理強いしても上手くいかないそうです。1度食べなくても2~3日後にもう1度出したら食べることもあるので、調理方法や味付けを変えて繰り返しお皿に出し、根気よく付き合っていくことも大切です。スプーンを押し出して嫌がるようであれば、まずはスプーンを唇や舌に当てて、慣れさせてあげるというスモールステップが重要だそう。ユキトくんのように検査で敏感な部分と鈍感な部分が分かると、食事訓練の試行錯誤に役に立ちますね。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。