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ケルヒャー「空飛ぶ高圧洗浄機」ドローンが人の代わりに危険な高所作業
2025年5月14日 15:04
ケルヒャージャパンは、ドローン技術のスタートアップ企業であるスカイコードと業務提携し、ドローンと高圧洗浄機を組み合わせた「空飛ぶ高圧洗浄機(正式名称:高圧洗浄ドローン)」を開発。5月末より最初の事例に導入され、高所などの清掃に対する新たなソリューションとして社会実装を目指す。
従来、高所や傾斜面の清掃には、危険な高所作業や足場の設置が伴い、大きな労力とコストがかかっていた。例えばビル外壁の洗浄はクレーンやゴンドラを用いて行なわれるケースが多く、作業員にとって墜落などの事故リスクを伴う非常に危険な作業と指摘されているという。
「空飛ぶ高圧洗浄機」はドローンを活用することで、危険な高所や傾斜面の清掃作業を省力化し、作業時間の短縮やコスト削減につなげられる。また、高速道路脇の法面(のりめん)や橋梁上部、屋根上の清掃など、足場を組めない・組みにくい現場での清掃にも対応。さらに太陽光パネルの洗浄や、温水高圧洗浄との組み合わせによる雑草駆除、除雪サポートなども可能になるという。
ケルヒャーは歴史的建造物や文化財の洗浄ノウハウをもち、スカイコードはドローンを用いた撮影や洗浄など、すでに商用運用の実績がある。業務提携では、スカイコードがケルヒャーの高圧洗浄機に最適化したアダプターを設計・製造。あらゆるドローンにケルヒャー高圧洗浄機の噴射ノズルを搭載できるようにしている。
洗浄にはケルヒャーのノウハウと、スカイコードのドローン操縦技術を活用。洗浄対象物や現場環境に応じて最適な洗浄方法やノズル選定・水圧・飛行ルートを設計し、作業時間を短縮しながら、ムラのない美しい仕上がりを実現する。
実際のドローン操縦はスカイコードのプロパイロットが行なうほか、導入先で自由に運用できるように操縦研修なども用意する。具体的には、現場での安全かつ効率的な運用を実現するための「オペレーションガイド」を整備し、あわせてプロパイロットによる実践的な操縦・運用研修プログラムを提供。講習は、スカイコードの保有する専用のドローンスペースにて、十分な実地訓練を行なうという。
「空飛ぶ高圧洗浄機」による洗浄は、5月末に第1号案件がスタートするとのこと。新たな清掃ソリューションとして、社会実装を目指していくとしている。
家庭用は高圧洗浄機だけでなく家ナカで使えるアイテムも
「空飛ぶ高圧洗浄機」が展示されていたのは5月13日に開催された「ケルヒャーフェア 2025」の会場。販売店などのパートナーを対象とした本フェアでは、業務用と家庭用の清掃機器が披露されたほか、2025年に創立90周年を迎えるケルヒャーの今後の展開についても語られた。
業務用機器で一際目立っていたのは、ロボット掃除機(床掃除ロボット)「KIRA CV 50」。1時間あたり525m2の清掃が可能で、6%の傾斜も登っていける。高さ30cmと業務用としてはコンパクトでさまざまな場所の清掃に対応するほか、専用アプリで清掃のスケジュール化や複数台の一括管理が可能となっている。
この「KIRA CV 50」と床洗浄ロボット「KIRA B 50」は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する「中小企業省力化投資補助金」の対象製品。対象となる中小企業・小規模事業者は各製品の導入費用の最大2分の1の補助を受けることが可能となる。
また、要望の多かった業務用製品のレンタルにも今後対応していくとコメントしており、企業にとっては助成金やレンタルの活用で、導入の負担が軽減されることになるだろう。
家庭用製品では、「ケルヒャーといえば高圧洗浄機」のイメージがあるように、日本では高圧洗浄機が占める売上金額の割合が依然として大きい。今後はインドアで使えるクリーナー製品を拡充し、業務用とあわせて、高圧洗浄機だけではない「清掃ソリューションのグローバルブランド」を目指していくとのこと。
家庭用インドア製品の新ラインナップとしては、4月発売のカーペットリンスクリーナー「SE 3」がある。カーペットやソファ、車のシートといった洗いにくい布製品を水洗いするアイテムで、業務用技術を投入したパワフルな吸引により、洗浄した布製品が素早く乾くことが特徴。
このほか、参考展示として日本未発売の水拭きスティッククリーナーも出展されていた。固形のゴミも液体も一気に吸い取る設計で、ブラシの自動洗浄機能も搭載する。
家庭用アウトドア製品では、コードレスのモバイル洗浄機市場が成長しており、同社もこれまでバケツ式やハンディタイプを展開してきた。安価な中国ブランドも多く参入しているカテゴリだが、「ケルヒャー基準で満足していただける」新製品を今後も投入していくという。