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【これからは予防の時代15】乳ガンリスク要因になる「生活習慣」

今回は、乳ガンリスクがあると言われている生活習慣をご紹介します。月経や家族歴と違って、生活習慣によるリスクは自分の意志で減らすことができます。遺伝的に乳ガンの心配がある方は、生活習慣によるリスクを減らすことで、発症を防ぐことも可能です。ぜひ知っておいてください。

 

アルコールによるリスクは摂取量と比例関係

アルコールの摂取は、閉経の前後にかかわらず、乳ガン発症リスクを増やすと言えます。左側のグラフのように「摂取量に比例してリスクが増える」ので、少量でもリスクが発生します。その一方で真ん中のグラフのように、少量の飲酒なら心疾患や脳梗塞のリスクを減らすことができます。また、右側のグラフのように、アルコール量が一定を越えないとリスクになりにくい疾患も有ります。

 

つまり、アルコールを全く飲まない女性は、心疾患リスクが減らない代わりに、乳ガンのリスクも増えないのです。しかし、乳ガンのリスクが低い人であれば、心疾患リスクを減らしたほうがいい場合もあります。ですから女性は、飲酒によるリスクと利点を知り、家族歴などを踏まえたうえで、自分自身で飲酒の程度を判断していくべきなのです。

 

喫煙は主流煙だけでなく、副流煙も!

喫煙が、乳ガン発症リスクを増加させることもほぼ確実です。さらに喫煙が良くないのは、受動喫煙でも乳ガン発症リスクが増加する可能性があることです。ご本人が喫煙していなくても、ご主人が喫煙していればリスクが増加してしまうのです。

 

サプリメントで予防ができるというエビデンスはない

最後にサプリメントです。サプリメントを服用すると乳ガン発症リスクが減少する、という十分な根拠はありません。「世界ガン研究基金(World Cancer research fund、ロンドン)」と「アメリカガン研究協会(American Institute for Cancer Research、ワシントンD.C.)」の報告書によれば、何らかの食品を摂取することでガンが予防できる、といったことは勧めていません。

 

一部の疫学研究では、サプリメント摂取によって乳ガンリスクを減少させるという研究結果もあるのですが、多くは無関係、もしくはリスクが増加するという研究結果もあるのです。

 

食品として摂取した場合には、ガン予防に効果がある栄養素もありますが、サプリメントとして大量に摂取すると有害だったり、場合によってはガンの原因になることもあるようです。おそらく、体内に必要な栄養素には下限と上限があって、上限を超えると有害になるのだと考えられます。

 

 

高島裕一郎(医学博士)

予防医学を専門としている医師です。医療の高度化でさまざまな病気の原因がわかるようになりました。これは同時に、いろいろな病気を予防することができるようになってきたことを意味します。生活習慣病やガンなど、生活のなかで予防のできる病気と、その予防方法について、お伝えしていこうと思います。日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会認定医。