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【マロンの見た男女の差4】料理自慢の私の料理、主人の箸が進まない…

新宿2丁目BAR「まろん・ぐらっせ」のマロンよ。今回は、人が生きていくうえで重要な「衣食住」のうち、「食」について問題をかかえる奥様からの相談よ。私も食べることが大好きな「お料理大好きオカマ」だから、他人と「食」を共有するときっていろいろ考えるわぁ。それが毎日のこととなるとなおさらよね。私個人の経験といろいろなお客様から聞いた事をもとに、今日も答えさせてもらうわね。妻って大変!嫁って本当大変!

 

料理自慢の私の料理、主人の箸が進みません

新婚で主人の両親と同居しています。主人は、義母の作ったごはんはモリモリ食べるんですが、私の作ったごはんはお箸が進まないようで、美味しいとも言ってくれたことがありません。私は某有名料理学校も卒業して、自分で言うのも何ですが、料理の腕にはそこそこ自信があります。そして義母の作ったごはんは、お世辞にも美味しいとは言えないお味……。私はどうしたらいいでしょうか?(東京都・31歳・女性)

 

本当は長所のはずの「お料理上手」があなたの不幸の始まり

私、子どものころから食べることが大好きで、料理も小さいころからやっていたのね。凝ったものこそ作れないにしろ今でも毎日家ご飯を作っているわ。若いころはこだわりも自信もあって、今回のあなたみたいに悩む機会もあったの。

20代のころお付き合いしていた彼へ、毎日自信満々で料理を作ってあげたんだけど、彼の食があまり進まないし、ほとんど毎回ダメ出しされる毎日。彼のダメ出し通り作ると、私には決して美味しいと思えないものが出来上がるんだけど、彼はそっちの方が良いみたいで私の自信はそのとき砕け散ったわ。

彼が好きなのは、シャバシャバな水のようなカレー、お味噌が少なくて底が透けて見えるような味噌汁、砂糖もみりんもほとんど入れず醤油も少量で味気ない煮物だったの。納得のいかない私は「何でだろう?」って思ってたんだけど、実は彼の父親が糖尿病だったから、糖尿病に合わせて作ったご飯を家族そろって食べていたのね。

 

男の人って家で食べたい料理と、外で食べたい料理が違うみたい

それでも納得いかない私は「このマザコンが!」って、自分の信じる味付けの料理を食卓に出し続けたわ。その結果、彼は私の作る料理をあまり食べなくなって、そのうち味気のない料理を自分で作り始めたの。「これじゃ、料理の下手くそな嫁と一緒じゃない?」ってプライドが傷ついたのを覚えているわ。

そんな彼も外で食べるときは普通の味付けのものを食べるのよ。だから「私の味付けの料理も食べて」って言ったわ。そしたら「家では家でしか食べられない味のものが食べたい」って言うのよ。その味っていうのが実家の味らしいの。結果、母親が作った物を食べたいと思うらしいのね。

 

味の好みは人それぞれ、こういうこと感じない?

お客様でも、外で良い物ばかり食べてる人も、家では質素で素朴なものを好んで食べてる人が多いわ。ちゃんと美味しいものを判断する舌は持ってるみたいなんだけどそれは外食のときだけで、家では「何で?」ってものを好んで食べてる。理由を知りたいと思っていろいろ聞いてたどり着いた答えは「子どものころのすりこみ」。

特に「カレー」とか「味噌汁」とかよく食卓に並ぶもの、あと「お雑煮」とか「郷土料理」みたいに田舎ならではの料理や味付けのもの。そのあたりが「実家の味」としてすり込まれてる人が多いのね。そしてどんな料理自慢さんでも、その人の舌が覚えている実家の味付けには勝てないのよ。「本当に厄介!」って思うけどね。でも、何十年もかけてすり込まれた「美味しいと感じる味」はあなたと出会ってからの数年では塗り変えられないのよ。悔しいけどね。

 

私の場合は頑張ることをやめたわ。だって損じゃない?

昔はお店でもお通しや簡単な料理を出してたから気付いたんだけど、10人全員に美味しいって言われる料理は難しいけど、1人だったらその人を調べてしまえば簡単に美味しいって言わせることができるのよ。それこそ実家でどんなものを食べていたか?具体的には味噌汁やカレー1つとっても出汁、よく食べた具材、具材の大きさ…その辺をそろえるだけでも簡単に美味しいって言ってくれるわね。

あと相手の出身の土地を参考にして味の濃さや具材を変えたりするの。凝った難しい料理より、ずっと簡単に喜んでくれるようになるわよ。過去に、私の彼に納豆と漬物と焼き魚だけで良い人がいて、本当楽だったこともあったわw。作り甲斐はないけどね。

だからお母さんの料理をサンプルにして、ササって作ってしまえばいいのよ。確かにプライドは傷つくかもしれないけど、私思うの。頑張って苦労して毎日喜んでもらえない料理を作るより、楽して簡単で喜んでもらえる料理を作る方が、作り甲斐があるなぁって。料理を作る労力も報われるわよ。作ってあげる相手が喜んでくれなきゃ作ったことも料理も無駄になっちゃう。それは嫌でしょ?

だからこれからは、お姑さんの作るあまり美味しくない料理も参考にしながら傾向と対策を練ることをおすすめするわ。技術に頼った美味しい料理より、相手のことを思いやる「愛のある料理」を作ってあげましょう。それが外で食べる料理と家で食べたい料理の違いなのかも知れないわ。

 

 

マロン

新宿2丁目Bar「まろん☆ぐらっせ」のオーナーママ。いろんな人と会い、ウンザリするほど人を見聞きしながら「まろん☆ぐらっせ」は20年、夜のお仕事に入ってからは30年近くになる。こんな自分の経験でも誰かのお役にたてればと思う今日この頃。座右の銘は「男は度胸、女は愛嬌、オカマは最強!」。