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【ダウン症児と私7】初めての自宅での子育てと通院は、不安がいっぱい
2016年 8月 3日 11:30
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生後2カ月と2日で病院を退院したユキトくん。今回は、やっと始まったユキトくんとの自宅での子育て生活について、伺いました。「新米ママ・ナナさん」にとっては「初めての子育て」というだけでなく、ダウン症の合併症のために病院通いも続く日々。普通とは違う子育てと、ダウン症の合併症に、いろいろ頭を悩ませます。
「夜泣きしてくれない」子育てが始まる
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Q. 自宅での子育て生活はどんな感じで始まりましたか?
A. 入院中に何度かファミリールームに泊まって一緒に過ごし、一時帰宅も経験したとは言え、家庭での生活は不安いっぱいの毎日でした。「ミルクが欲しい」と自分からは泣かないので、わたしが時間を確認し、寝ているユキトを起こしておっぱいとミルクをあげました。夜泣きで起こされるママが多いと思いますが、我が家はその逆で、私が起こさないと起きてくれません。なかなか飲んでくれないので、1日8回の授乳が7回になったり6回になったり、足りているのか不安になりました。また、筋力が弱いので便秘になりやすく、綿棒でおしりを刺激する「綿棒浣腸」を毎日しなければなりません。綿棒浣腸でも出ない場合は、液体の浣腸を注入していました。それ以外は比較的おとなしく、寝てばかりでした。当時の私は大変だと思っていましたが、6カ月目くらいまでのユキトはあまり泣かず、今考えると手がかかりませんでした。
耳、心臓も含め3つの科に通院
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Q. 病院への通院はその後も続きましたか?
A. はい。退院前の精密検査では耳が聞こえてないこと以外に、心臓に穴が2つあることが分かりました。「心室中隔欠損」と「心房中隔欠損」でした。どちらも、ダウン症の合併症ではよくあることだそうで、成長するとふさがる可能性があるということで経過観察になりました。そのため、心臓の検査に「循環器科」、耳の検査に「耳鼻科」、総合的な診察に「小児科」と、産まれた病院の3つの科を受診することになり、週に1度はどこかの科へ通院する生活が始まりました。
心臓の穴は大丈夫?専門病院に通わせたい
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Q. 合併症があることに、不安はありましたか?
A.我が子がダウン症なので、不安で、不安で、しかたありませんでした。心臓の穴はどうしても心配で、「心臓手術の症例数の多い専門病院に行きたい」と思うようになり、ネットで情報を調べたり、友人の看護師に相談したりしました。担当の小児科の先生に話すと、「ユキトくんの心臓の穴はとても小さく、成長とともにふさがる確率が高いので、今の段階で心臓専門病院には行く必要はない。ダウン症専門医がいる小児医療センターの遺伝科で見てもらうのがいいだろう」とのことでした。そこでさっそく、小児医療センターの遺伝科の紹介状を書いてもらいました。
本格的な外出は5月までお預け
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Q. 病院通い以外は、ずっと家にいる必要がありましたか?
A. ダウン症の赤ちゃんはRSウイルスに感染すると危険な状態になるので、ウイルスの流行る冬場の外出は制限されていて、ほかの子どもがいる場所は、病院以外はなるべくいかないように注意されました。ですので、3〜4月は、積極的には外出はせず、「5月になって専門医に診てもらえる」ことを楽しみに毎日を過ごしていました。
ダウン症の基礎知識7: 合併症のなかでも多い心臓疾患
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ユキトくんは精密検査で、2つの心臓疾患が見つかりました。
- 心室中隔欠損
左右の心室を隔てる壁(心室中隔)に穴(欠損)があり、左心室から右心室へ血液が流れ込む - 心房中隔欠損
左右の心房の間の壁(心房中隔)に穴(欠損)があり、左心房から右心房へ血液が流れ込む
こうした心臓の形に異常がある「先天性心疾患」は、ダウン症でよく見られる合併症で30~50%のダウン症の子にあると言われています。治療は、自然にふさがる期待のある場合は経過観察になり、重篤な場合は手術や薬物療法がとられます。