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【これからは予防の時代13】乳房の構造を理解して、乳ガンの発生メカニズムを知る
2016年 7月 13日 06:00
![](https://asset.watch.impress.co.jp/img/kdw/docs/1161/734/2PvmHczmibQ4UcnNhgI4xZYS0p3AqYaH.jpg)
今回は、乳房の構造を解説し、乳ガン発生のメカニズムについてご説明していきます。また良性疾患のなかで、中等度にガンになりやすいもの、軽度にガンになりやすいものをご紹介しますので、理解を深めていただけると思います。
ガンのメカニズムは乳腺でも同じ
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第11回で、ガンのメカニズムを説明したときに「遺伝子が突然変異した細胞が一定量増えるとガンになる」とお伝えしました。細胞は一定の確率で突然変異を起こすので、細胞増殖が盛んな細胞はガンになりやすいことも触れました。
増殖性疾患と異型
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乳腺は小葉に分かれ、乳管でつながっています。乳ガンは、90%が乳管から、5〜10%が小葉から発生し、脂肪(図では、乳房内脂肪組織)からは発生しません。乳腺でも、疾患によっては細胞増殖が激しくなるものがあり、これを「増殖性疾患」と言います。また正常細胞と違う細胞がある状態も、突然変異が起きやすくなるため発ガンのリスクが増大しますが、この状態のことは「異型」と呼びます。
ガン化しやすい「異型乳管過形成」
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良性乳腺疾患の1つに「異型乳管過形成」というものがあります。乳管過形成は乳管の細胞が増生した状態、つまり、ガン細胞ほどではないものの増殖が盛んで、ガン遺伝子の突然変異が少しある状態です。また異型とある言葉通りこちらもガン細胞ほどではなくても正常細胞と比べて形が変化した状態で、ガン遺伝子が少し突然変異した状態であると考えられます。乳ガンになるのに必要なガン遺伝子の突然変異はありませんが、少ないもののガン遺伝子の突然変異が認められるため、中等以上にガン化しやすいと言えます。
ガン化の可能性が軽度な疾患
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「異型乳管過形成」には、「過形成」と「異型」の両方がありましたが、過形成だけで、異型のない疾患もあります。このような疾患は、異型を伴う場合より少ない数のガン遺伝子の突然変異がある状態と考えられ、軽度にガン化しやすい状態と言えるのです。