10分こそうじ

子供の独立で起きやすい暮らしの変化 実家は「物置」になっても大丈夫?

年に一度の大掃除より、日々の“小”掃除。整理収納アドバイザーとお掃除スペシャリストの資格を持つ筆者が、1日の終わりに10分でできる掃除や片付けのポイントをお伝えします
子供が巣立った後の暮らしについて考えてみましょう

子供が独立して家の中が少し静かになった。洗濯物は減って、使わなくなった部屋がひとつ増えた。それなのに、なぜか家の中はスッキリしない。物はそのまま、むしろ増えている気さえする。そんな状態に心当たりはありませんか。

「今は使わないだけ」「そのうち、子供が戻るかもしれない」「捨てるほどでもないし……」そう思いながら、空いた部屋が“とりあえず置いておく場所”になっていく。整理収納の現場で多くのご家庭を見てきましたが、これは50代以降、子供が独立したご家庭でよく見かける光景です。

でも、これは片づけが苦手だからでも、だらしないからでもありません。背景には、子供が巣立ったあとに生まれる心の変化があります。

子育てという大きな役割がひと区切りついたとき、生活のリズムが変わったり張り合いがなくなったりして、気づかないうちにぽっかりと穴があいた感覚が生まれることがあります。子供の物が家に残っていることで、「まだ親でいられる」そんな安心感を保っている方も、少なくありません。

「それでもいい」と思い続けることの、ちょっとしたリスク

問題は、物が多いことそのものではありません。その状態が、長く続くこと。雑然とした状態が続くと、子供部屋だった場所は少しずつ「物置」になっていきます。困ったら、とりあえずその部屋へ。そんな使い方が習慣になると、物はさらに増えていき、子供の方にも、「とりあえず、実家に置いておこう」という気持ちが湧いてきます。

また、いざ「片づけよう」と思って独立した子供に「これ、捨てていい?」「取りに来て」と伝えても、スムーズに進まないことも多いものです。せっかく訪れたライフステージの変化なのに、次の暮らしへ進むきっかけにならないまま、止まってしまうこともあるのです。

子供が独立する時期こそ、「親の片づけ」

この時期の片づけで大切なのは、一気に整えることでも、子供の物を思い切って捨てることでもありません。まず向き合うべきは、子供の物ではなく自分の物です。自分の服、自分のバッグ、自分の趣味の物など「今の私に、必要なものは?」と考えてみましょう。

自分の物から整理するのは、暮らしの主役を家族から少しずつ「自分」に戻していくため。子供の物は、気持ちが追いついてからで大丈夫です。この順番を間違えないことが、片づけを途中で止めない一番のコツです。

空いた部屋を「物置」にしないための「用途決め」

部屋が空いたとき、何もしないのが実は一番危険です。おすすめなのは、ざっくりでいいので用途を決めること。

  • ストレッチするだけの部屋
  • 洗濯物をたたむ専用スペース
  • 趣味の道具を広げる部屋

「使う理由」があるだけで、物置化は防げます。

子供の物は、「量」と「期限」を決めて保管する

「全部残す」か「捨てる」か、ではなく、枠を決めて残すという選択もあります。

  • シーズンオフの服は、衣装ケースひとつまで
  • 漫画や思い出の物は、ケースに入れて保管(湿気・ホコリ・日焼け対策も忘れずに)

半年、1年など、保管の期限を決めておくと、「今は持っておく」という判断もしやすくなります。

漫画や思い出の物はケースに入れて湿気やホコリ対策を
山善「中が透けないコミック収納ケース」を使用

親と子、それぞれの次の暮らしへ

一生のうちに、平均3〜4回といわれる引っ越し。それは、持ち物と向き合う大きなチャンスです。子供にとっても、実家に物が残っていることは楽で安心な一方、自分の暮らしを整える機会を逃してしまうことにもつながります。

家族のライフステージが変わるときの片づけは、親が子を忘れるためのものではありません。家が少し静かになったと感じたら、それは「終わり」ではなく、次の暮らしが始まる準備期間。今の自分に合った量、今の暮らしに合ったスタイルに整えることは、これからの時間を軽やかに生きるための土台づくりです。

片づけは、過去を手放す作業ではなく、これからの自分を大切にする選択。子供が巣立ったあとの暮らしは、「選び直す」ことで、もっと心地よくなっていきます。

丸 マイ

整理収納アドバイザー、クリンネスト(お掃除スペシャリスト)講師。個人宅の整理収納サービス「mawaru暮らし」主宰。片づけ苦手主婦だった自身の経験から、楽に片づく収納提案を行なっている。ほかにも、子供からシニアまで幅広い層へ片づけや掃除の楽しさを伝える講師としても活動中。