10分こそうじ
住みやすい部屋の見つけ方。広さや収納だけじゃないチェックポイント
2023年2月13日 07:05
春から新生活! 年度の区切りに、進学や転勤などで新居にお引っ越しされる方も多いのではないでしょうか? 整理収納アドバイザーとしてご新居の収納相談を受けることがありますが、今回は私が普段お伝えしている「住まいを選ぶ際の基準」をご紹介します。暮らしやすい間取りや各スペースの広さを一緒に考えてみましょう。
生活の動作を意識した間取り
住まいを選ぶ際の基準として1つめに挙げられるのは「生活の動作・動線」。
生活の動作とは、生活を行なうための体の動き。家具家電や日用品、衣類や食品など、ありとあらゆるモノの置き場所は、この動作から見た使いやすさを基準に考えるといいでしょう。
生活の動線とは、家の中で人が行動する道筋のこと。特に重要なのは、生活の中で頻繁に行き来する場所同士を結ぶ距離が長く複雑であれば、モノが溜まりやすく、ストレスを感じてしまうということ。この動線をなるべく短く、シンプルにすることが、快適でストレスフリーな生活を送ることに繋がります。
生活の動作や動線を考慮して間取りを選ぶためには、その家で過ごすイメージをしてみるのがポイント。
生活動線:家での行動パターンを具体的にイメージ
AM:朝の身支度
起床し、着替えや身支度、朝食を済ませ、玄関から出る。
・寝室→トイレ→クローゼット
・洗面所→キッチン→ダイニング
・廊下→玄関まで
それぞれの動線ができる限り、スムーズであることが理想です。長い廊下を歩いたり、階を上下しなければならない、ドアの開閉が多いと手間がかかります。
移動が楽であることも住みやすさに繋がりますので、部屋を選ぶときに広さだけでなく、この点も意識したいところです。戸建ての場合は特に、家族構成に合わせたトイレの場所や数など、設備に関する点も朝の身支度に影響してきます。
PM:帰宅後の行動
帰宅して玄関で靴を脱ぎ、洗面所で手を洗いリビングでくつろいだり、着替えたりする。もしくはそのままお風呂へ直行、という方もいるのではないでしょうか。生活習慣は様々なので、ご自身のパターンをイメージしてみてください。
・玄関→手洗い場
・玄関→クローゼット
・玄関→洗面所・お風呂
という風に、どの生活動線を優先して間取りを選ぶかが決まってくるかと思います。玄関は家族以外の人が立ち入る場所でもありますので、プライバシーの確保も考えつつ、間取りを選びたいものです。
生活動作:ストレスを減らせるかがポイント
間取りを考える際には、生活する上での動作も意識する必要があります。効率的に家事や身支度を行なえることは、それだけでストレスのない快適な空間といえるでしょう。
特に、使用頻度の高いキッチンや水回り、収納は使う人の動作に着目して選びましょう。身体にあった高さ、広さ、収納形態が、考えるときのポイントとなります。
私たちは、日頃からどこでどのような動作をしているでしょうか?
キッチン
「食事を作る・食べる・片付ける」
毎日と言っていいほど、使用するキッチン。食事作りや後片付けの頻度、使う人数、構成など、どんな人がどのように家事を行なうかは、とても重要です。
家族の中でも特にキッチンを使用する人の身体に合わせると、ワークトップの高さ選びの参考になるでしょう。一般的にワークトップの理想の高さは「身長÷2+5cm」とされています。
最適な通路幅は家族の人数によって変わりますが、100〜120cmあれば、複数人で使っても窮屈さを感じにくいとされます。広過ぎても逆に使いにくくなるので、食器がすぐに戻せるシンクと食器棚の距離感など、具体的な動作をイメージすると、考えるべきポイントが見えてきます。
家族が多ければ、冷蔵庫の位置はキッチンの奥まったところより手前にある方が、家族同士がぶつかることがないでしょうし、食事を食卓までスムーズに配膳したいとなれば、キッチンカウンターがあった方がいいかもしれません。食事の支度から片付けまでのストレを軽減できるよう、普段どんな動きをしているか? または、理想とする動作・動線を叶えるような間取りを選びましょう。
洗面所
「衣服の着脱、顔を洗う、整髪、洗濯」
限られたスペースで、多くの動作をする洗面所も使いやすさを追求したいところ。入浴をする度に着替えを別部屋から持ち込むより、ここに収納があれば便利でしょう。
家族の身支度時間が重なるのであれば、各人の使用するモノを人別に置けるようにするなど、少しの工夫で動作がしやすくなります。
そのほか、洗面所では洗濯の動作が楽にできることが重要ポイント。汚れ物を溜める位置から洗剤を入れる動作まで、ちょっとした工夫は毎日の負担を軽減します。さらに、干して乾かす場所がどこなのか? 乾燥機の使用も含め、少なくとも2カ所はイメージしたいところ。
最近の戸建てでは、家事室を設けるお宅も多いですが、収納場所が近いことも大切なこと。家事室で洗濯物を畳んでも、収める場所が遠いと意味がないかもしれません。
収納
「出す・入れる」
大容量のクローゼットやパントリーがあっても、出し入れの動作が簡単でなければ使いにくさを感じます。
特に、奥行きや高さがありすぎる収納は、入れっぱなしになっているお宅が多いのも事実。そうならないよう、収納用品やラベリングを施すなど、様々な工夫を行ないますが、お部屋を選ぶときに収納の大きさだけを重要視しないのがポイント。適所に収納場所を設置している間取りが理想です。
クローゼットの奥行きは、男性用ハンガーのサイズから見ても、60cmもあれば十分使いやすいといえるでしょう。
生活を具体的にイメージして部屋を選ぶ
このように、暮らしやすい住まいを実現するためには、広さや収納の多さだけでなく、ご自分の生活をイメージして、生活動線や動作を踏まえた間取りを選ぶこと。そうすれば実用性に優れた快適な住まいになることでしょう。