老師オグチの家電カンフー

輝け! 第3回「イグ家電大賞」2025が決定

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
第3回「イグ家電大賞」(2025) by Satoru Oguchi

人々を笑わせつつ考えさせる研究に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」が発表されました。なんと、今年も日本人が受賞(牛にシマウマのような模様を施すと寄ってくるアブなどの吸血昆虫が半分になるとの研究)しており、これで19年連続だそうですよ。というわけで、今年もユニークな家電に贈られる「イグ家電大賞」(2025)を発表します。

物理学賞:「ゴリラのひとくち」

ドウシシャ「ゴリラのひとくち GRJ-2501BK」

昨年の「スーパーゴリラのひとつかみ」に続き、ドウシシャが2年連続の物理学賞。ダンベル級約2kgのジョッキで、物理的に飲み過ぎを抑制し、筋トレも行なえます。見た目も重量もまさに鈍器。これで楽々と飲んでいる人とケンカにはなりたくないですね。

化学賞:純水器「水シミZERO」

サンコー「水シミZERO CHMP25SBL」

水道水に含まれる塩素やミネラルをフィルターで取り除くことで、洗車後に残りがちなボディの水シミを防ぐ純水器。価格は23,800円と安くはありませんが、愛車をピカピカにしておきたい日本人の要望に応えた製品です。海外だと硬水で日本よりミネラルが豊富だと思うんですが、気にしている人はいるんでしょうか?

経済学賞:「ミライ人間洗濯機」

サイエンス「ミライ人間洗濯機」

大阪・関西万博で展示された全自動入浴装置が、数量限定で販売されることに。購入したいという問い合わせが多数あったため、販売に踏み切ったそうですが、価格は発表されておらず、同社のサイトから問い合わせる必要があります。中古車の「ASK」や、お寿司屋さんの「時価」的な? 値段がわかった人はこっそり教えてください。これを自宅に設置するための費用も気になるところです。

医学賞:「便スキャン」機能搭載ウォシュレット一体型便器

TOTO「ネオレスト LS-W/AS-W」

落下中の便をスキャンし、色や形、量を計測、データをアプリに自動転送する便器。転送されたデータから週間・月間のレポートが作成され、生活面のアドバイスも提供されるそうです。便は健康のバロメーターと言われますが、自分の出したものを見てチェックするのは心理的な抵抗があるもの。見ずともデータが取れるのは便利ですね、便だけに。

生理学賞:「猫舌ふーふー」

ユカイ工学「猫舌ふーふー」

食器のフチに引っかけて、熱い飲み物や食べ物を風で冷ましてくれるアイテムです。クラウドファンディングでは2,000万円以上の額を達成し、一般販売されることになりました。小さな子供のいる家庭でも重宝されているとか。コロナ禍以降、ラーメン店で口で「ふーふー」するのが憚られることもあるので、こちらを持参して使うといいかもしれないですね。

文学賞:「チョコレート魔法瓶」

ピーコック魔法瓶工業「チョコレート魔法瓶」

魔法瓶の構造を利用し、夏場でもチョコレートを溶かさずに持ち運べる専用容器。気温40℃の環境で、チョコレートが溶けないとされる25℃以下の温度を約12時間キープできるとか。チョコレート、冷えていた方がおいしいですしね。文学賞なので、一句詠んでみます。「紙を剥き 口へと急ぐ 夏のチョコ」。

平和賞:ロボットアーム搭載ロボット掃除機

Roborock「Roborock Saros Z70」

床に落ちた靴下やティッシュを見つけると、ロボットアームが出てきて拾って片付けるロボット掃除機。これ、展示会で見せるだけのプロトタイプじゃなくて、実際に米国や韓国では販売されているんですよ(日本発売は未定)。なぜ、平和賞なのかって? ロボットアームが爆弾処理ロボットを連想させますし、床に落ちている靴下などにキレることもなくなるので、家庭が平和になりそうじゃないですか。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>