老師オグチの家電カンフー

アベノマスクの除菌にも最適!? ペン型のオゾン水生成機を使ってみた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
「Water Magician」。クラウドファンディングサイト「Kibidango」で目標額の1,223%(約660万円)を集めた(現在は終了)

明治生まれの祖母(故人)は、やたら衛生意識が高く、「夜店で食べるな」「人混みに行くな」と言うような人だったんですが、今考えると100年前のスペイン風邪の影響かもしれません。

1923年(大正12年)の関東大震災時に女学生だったと聞いたので、スペイン風邪(1918年〜1920年)の流行は小中学生ぐらい。日本国内だけで38万人とも45万人ともされる死者を出したので、危機感は今以上だったはず。手洗い、消毒を徹底、外に出るときはマスクをするといった行為が、100年前にも推奨されており、若かりし祖母の人格を形成したわけです。

さて、マスクの品薄は解消されつつありますが、衛生意識は引き続き高く持っていたい昨今。効果のほどはまだわからないですが、除菌アイテムとしてオゾンなどにも注目が集まっています。ということで入手してみたのが、「Water Magician(ウォーターマジシャン)」なる製品。水道やペットボトルの水に1分間本体を浸けておくだけで、高い除菌効果を持つというオゾン水を生成できる機械です。クラウドファンディングサイト「Kibidango」では、目標額の1,223%(約660万円)を集めました(現在は終了)。

水を直接電気分解して作るオゾン水は、菌・ウイルスの除去効果を持ちながら、人体への刺激や環境負荷が小さいとされます。Water Magicianの場合は、USBで充電し、コップと水さえあれば場所を問わず生成できるのが特長です。

温度計のようなケースが付いてきます
充電はUSB(Type-C)で
ボタンを押すと水を電気分解してオゾン水となる。低電圧での生成なので有害なオゾンガスの発生を抑え、安全性が確保されるといいます

アルコールなどに比べて弱点があるとすれば、数十分から数時間で水と酸素に分解されてしまうので、保存が利かないことでしょうか。使用する度に生成することになります。といっても、コップに挿してボタンを押すだけなので、さほどの手間ではないです。

帰宅時の除菌用として玄関先に置くならアルコールジェルのほうが楽ですが、ドアノブなどの除菌や掃除に使うならオゾン水の方がメリットはあるでしょう。オゾン自体は自然と消えるので、残留物の心配がないし、コストもほぼゼロ(水道水とわずかな電力だけ)です。

スプレーできるガラス容器とペーパータオルを使い、家のあちこちを拭いています。ウイルスは目に見えないので、見えないなりに、効果がありそうなことを粛々とやるのみです。なぜ日本人の致死率が低いのかも今ははっきりとはわからないわけですし。

ちょうどアベノマスクも届いたので、これもオゾン水で除菌してみました。二つ折りにして付属のコップに入れ、Water Magicianを稼動。泡がマスクを包み込んでいます。ニオイなどが残留しないのも口や鼻に当てて使うマスクには最適かと。

あとは、やさしく手で押し洗いしてすすぎ、陰干しで自然乾燥。乾燥機を使ってしまうと縮んでしまいます。給食マスクと揶揄されるアベノマスクですが、思い起こせば、小学校の給食当番で使っていたマスクは小さいどころか、おまんじゅうのように丸まっていました。どんだけ雑に洗われていたんでしょう。雑菌もいっぱいだったと思います。

コップのほか、スプレーとして使えるガラスビンに直接挿してもオゾン水の生成は可能。水の量が少ないほど濃度の濃いオゾン水となります
アベノマスクを除菌! (政治的な意味はありません)
水ですすぎ、陰干しします
ビフォー・アフターで縮んだ写真が撮れれば面白かったんですが、ほとんど縮むことはありませんでした
電動ハブラシの除菌にも良さげです。コップに入るようなものなら何でも。入れ歯もアリかな

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>