老師オグチの家電カンフー

iPhone 11の発表直前だけど、あえてiPhone XRを買う

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 昔のインターネットを懐かしむ、「インターネット老人会」という言葉があります。ワタシも「Mosaicをー」「ネスケがー」「Trumpetでー」などと話すことがあるので、若い人には明治生まれの老人に見えるかもしれません。もっともネットの世界では、パソコン通信を自分で立ち上げていた戦国時代レベルの“老人”もまだご存命であります。

 いや、そろそろ「スマホ老人会」って言葉が出て来てもいい頃なんじゃないかと思ったんですよ。「iPhone 3GS出てすぐに買ったぜ」からの、「俺はW-ZERO3をー」「IBMのサイモンがー」などと続くマウンティング合戦。おつかれさまです。

 そんなスマホ老人たちは、まだ最新モデルに興味を持ち続けているんでしょうか。昔のようなワクワクありますか? もう枯れてきてません?

 というのも、こないだiPhone XRを買ったんですけど、これまでにない消極的な機種変更です。しかも、iPhone 11(仮称)の発表を目前にしたタイミング。そのぐらい新機種への興味が薄まっています。蒸気機関車から電車、新幹線への変遷を見てきたから、細かい進化はどうでもよく感じる、老人目線でしょうか。5Gってのも来るらしいですが、自分へのメリットは想像に過ぎず、リニアモータカーぐらいのイメージです。

映画「ブレードランナー」は2019年という設定。監督のリドリー・スコットは有名なAppleのCM(1984)を作ったし、GoogleのAndroidとか、Nexusって、この映画か原作からとってるよな

 スマホの買い替えに消極的になったのは、価格面も大きいです。かつては、MNPを使ったキャリアの乗り替えや、発売から1年ほど経てば、0円に近い価格で買えたiPhoneも、最近は全然安くならない。

 これまでずっと2年ごとに新機種に変えてきましたが、今回はiPhone 7から3年ぶり。正直、iPhone 7のままでも問題なかったんですが、娘が格安SIMで使ってるiPhone 6が落ちまくって使い物にならないというので、自分の7を娘に譲る家庭内リユースを目的とした買い換えです。

 購入したのは、iPhone XRの128GBモデルで、色は(PRODUCT)REDすなわち赤。au内の機種変で約11万円台、キャッシュバックが1万円(au Wallet)。36回払いで月々3000円弱の支払いです。自分の場合は、通話とデータ通信のプランを見直したことにより、月々の支払額は500円~1000円ぐらいのアップに収まりました。機種変えなくても、料金プランは定期的に見直した方がいいですね。

 超いまさらですが、iPhone XRいいですね。画面広くて老眼の身にやさしいですし、カメラも良くなった。Face IDもラクチンです(個人の特殊事情ですが、数十万人に1人らしい指紋パターンが壊れている人間なので、指紋センサーはすぐ認証できなくなる)。

 正直、2つ前の機種、iPhone 8でもiPhone Xでも、性能的には十分だったはずで、それほどスマホは成熟した製品になりました。旧モデルなら行列に並ぶことも、混んでるショップに行くこともありません。

 とはいえ、今度出るiPhone 11が、この選択を後悔させるようなすごい機種であることも、まだ密かに期待しています。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>