老師オグチの家電カンフー

腕時計嫌いのためのApple Watch講座

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 3代目Jソウルこと「Apple Watch 3」を買って約2カ月がたちました。Jはジョブズ、ソウルは魂の意味です。すみません、思いついたまま書いてしまいました。今回は、腕時計嫌いの目線から、Apple Watch 3を買って良かった点をお話しします。

「Apple Watch Series 3(GPS + Cellularモデル)- 38mmスペースグレイアルミニウムケースとダークオリーブスポーツループ」購入価格49,464円

 たまにシャレでチープカシオやフランク三浦を買う私ですが、基本腕時計はしない主義です。その理由は、次の3つです。

理由その1:必要性が薄い

 時刻はスマホなどでわかる。これが腕時計離れ最大の理由でしょう。折りたたみ式のガラケーでも、外側に時計表示の液晶が付いてましたよね。あれで、腕時計しなくなった人も多いのではないでしょうか。

 しかも、スマホは時刻を確認する以上に、メールやメッセンジャー、SNSの通知で頻繁に見ます。しかし、この確認作業のためにスマホを手に取り、そしてついついSNSやニュースアプリで無駄な時間を費やしがちじゃないですか。

 Apple Watchはスマホへの通知を手元で見られるのが第1の機能ですが、これによりスマホを見る時間を減らせます。スマホがポケットなどに入った状態でも、腕を見れば通知内容がわかる。結果として歩きスマホも減らせます。

 さらに細かい話ですが、食事や飲み会の時、テーブルにスマホを置くことも減りました。トイレに行くときも、以前は電話がかかってくる不安からスマホを持っていきましたが、Apple Watch 3は通話にも対応したので置きっぱなしでOK。便器にスマホを水没させる事故も元から防げます。

経路案内のために歩きスマホすることも減ります。地図も表示できるけど、流石に小さくて歩きながら見るのは危険ですね

理由その2:肩が凝る

 これは個人的な体質かもしれませんが、重めの腕時計は肩が凝るんですよ。腕時計でそれなりの製品は重量感ありますよね。Apple Watch 3のアルミニウムケース38mm(時計本体)は28.7g。バンドは同時にリリースされたナイロン製の「スポーツループ」を選んだのですが、本体との合計は実測値で約36g。バンドは留め具が面ファスナーで、無段階の調整が簡単なので、リラックスしたいときは緩めにしています。今のところApple Watch 3のせいで肩が凝ることはありません。

38mmのアルミニウムケースとスポーツループ(バンド)の組み合わせで約36g。メタルのバンドよりも軽いぐらい

理由その3:階級やTPOがウザイ

 腕時計は、着ける人のセンスや経済力を表すアイテムです。仕事上でステータスが大事な人にとっては重要でしょうが、個人としては興味ないんですよね。人の腕時計を見て勝った負けたと思うの、面倒くさくないですか?

 モテるためのアイテムとして使えるって人もいますが怪しいですよね。銀座のクラブでは、ホステスのお姉さんは腕時計で客を判断すると言われていますが、銀座のクラブ行かないし。まぁ、客の男が腕時計自慢するから、ホステスさんも自然に知識が身についちゃったんじゃないでしょうかね。

 さらに腕時計は高ければいいというわけでもなく、TPOにあわせて選ばないといけないらしく、さらに面倒くさい。調べたところ、本当のフォーマルのドレスコードは「腕時計なし」が正解のようです。昔の貴族は自分で時間なんて確認しなかったでしょうし。でも、腕時計業界はそれ言ったら商売にならないから言いませんよね。

 Apple Watchはテクノロジー製品ということもあって、そういった階級意識から脱しているように見えます。私の知っている、年収が億を超えている人もApple Watchを買っていました。200万超えモデルだけど見た目はそんなに変わりませんね。

 あと、高級腕時計は値段が落ちにくいので資産になるって話もあります。ロレックスを中古で買って10年で10万円値段が上がったとか。Apple Watchはどうかわかりませんが、初代iPhoneの未使用品は100万円の価格で取引されているそうで、マニア向けに高騰狙うならテクノロジー製品も捨てたもんじゃありませんよ。

 などと、高級腕時計の悪口を書いてきましたが、この先思わぬ大金が手に入ったら、超高級腕時計のパティックフィリップやランゲ&ゾーネを買っているかもしれません。

小口 覺

雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作、企業サイトのコンテンツ制作を手がけるライター。日経MJの発表した「2016年上期ヒット商品番付」では、命名した「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」が前頭に選定された。

Webページ「有限会社ヌル/小口覺事務所」
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