藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

「アタックどこでもお洗たく」心配性の災害対策グッズその15

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
アタック どこでも袋でお洗たく

人間は2種類に分けられる(気がする)。回っている洗濯機を永遠に見つめていられる人間と、そうでない人間とにだ。

筆者は前者である。先日も、ついうっかり洗濯機の前に十数分立ち尽くしてしまったばかりだ。

一昨年買い直した縦型洗濯機は蓋が半分透明なので、上から運転中の中身を眺めることが可能だ。洗濯機の中にはバスタオル(5人分)や、娘たちのフワフワのフリースパジャマ上下(3人分)、下着(5人分)やら何やかやが入れられ、力強く回転していた。

眺めながら、ボーッと「洗濯機ってすごい偉大」とか考えていた。バスタオルもフリースパジャマも、見てくれはフワフワして可愛い風でいる癖に、あいつら水に濡れると異常に重たくなる、邪悪な存在だということを筆者は思い知っていたからだ。

フリースはちょっとしたペラいタオル程度ならいい。しかし膝掛けや上着などになってしまったら、もう終わりだ。手で洗おうと水で濡らした瞬間に世界を敵に回す。大袈裟だと思うならぜひ手洗いしてみてほしい。

一番上はもう成人しているので記憶としても遠いのだが、娘たちが幼い頃はそんなこんなでだいぶん洗濯物の手洗いを強いられるシーンがあった。おむつに始まり、食べこぼしのほか、体調不良時の地獄のような粗相もあった。いかに洗濯機が偉大でも派手な汚れを付けたまま放り込むわけにはいかない。ドラム式洗濯機を頻用していてすら「タライ」と「洗濯板」に助けられていた日々があったのだ。

と、筆者は職業的な好みもあり過日「タライ」と「洗濯板」を使っていたものだが、今どき万人に勧められるようなグッズではない。場所も取る。趣味性が高すぎる。

とはいえ「洗濯物の手洗い」が必要な場合、どうしたらいいのだろう。洗面器だってどこの家にもあるというわけでもないだろう。というところに今日日「どこでも袋でお洗たく」がフィットするのだった。

中には洗濯袋1枚と、液体洗剤が3袋
パッケージ裏に使い方が記載されている

例えば、洗濯物量にもよるが、5Lまで入るこの袋の3L程度まで水を入れ、1ml程度の洗剤を投入して溶かす。

そこに衣類、女性一人分の1日に出る下着類くらいを入れる。

浮かんでくる布ものをしっかり洗濯液に浸し、袋の空気を抜きながらチャックを閉じる。そうして袋を倒して軽く揉むように洗う。力一杯、ガシュガシュ洗うような使い方では、ない。

上方のキャップから汚水は排水でき、再度そこから綺麗な水を注いでキャップを閉めたら、揉み洗いで、濯ぐことができる。最後に袋ごと水を切って洗濯は終わる。といった塩梅で使うことのできる道具である。

残念ながら嵩張る例のフリースパジャマ上下までは入らないサイズ感だが、子供の衣類数着や化繊で薄手の女性下着一式、男性ものでも下着類なら1日分程度は現代の液体洗剤とのセットで1回でも十分に洗える。比較的省力にだ。

袋自体あまり嵩張らないので防災備蓄品の一つとして用意しておいてもいいのだろう。とはいえ洗濯物の手洗いの経験が一度もないままだと、いざというとき途方に暮れるような気もするので、前もって一度二度の練習はしておいたほうがいいと思う。あと、正直洗濯そのものというより「つけ置き」と相性がいいと思う。

とはいえ何はともあれの手洗いを経験することで「洗濯機が使える状況」というもののありがたさを改めて感じることができるはずだ。

筆者は本稿を書くにあたって、久しぶりに数回の「手洗い」をしながら、いかに普段何も考えずに服を買ったり着たり洗濯したりしているかをしみじみ思い知って、少し呆然としてしまった。本当に何も考えていないことが、手を使ってみると、わかってしまった。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。