藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

最新の防虫剤は臭くない? 柔軟剤程度に香る「ムシューダ NOTE」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
ムシューダ NOTE

寒暖差激しいこの春先の、急に寒さが戻ってきたある日。

バスに乗り合わせた隣席の老婦人の、仕立ての良さそうなツイードジャケットから「樟脳」のにおいが漂ってきて、「うわっ、おばあちゃーん!!!」という懐かしい気持ちで、胸がいっぱいになってしまった。

樟脳……若い人は読めますか? 「しょうのう」と読みますが、脳は関係ないです。

樟脳はクスノキから抽出される古い防虫剤の主成分で、今年50歳になる筆者の祖母世代が愛用していたが、母世代はもうあまり使っていなかった。多分、価格の問題だったのだろうか。筆者の子供時代のタンスの臭いはナフタリン、ないしはパラジクロロベンゼンのそれで、これはかなり独特に強いにおいだった。

決して快適ではないこのにおいのインパクトたるや。おかげで「くさい」という理由で以て防虫剤を一切使っていないという知人が、筆者世代では実は結構多い。一方であまり大きな声では言われないが、衣類が虫食いでやられてしまったり、カビやダニを発生させてしまっている知人も存外に多い。

他言無用で個人的に相談を受け、対策をお知らせすることもしばしばあるのだけど、「でもやっぱり防虫剤は使いたくない」と本当によく言われる。においについての感受性は個人的なものなので、いやというものを無理に使わせるようなことはしたくはない。

そこで個人的な事情に合った対策をあれこれ考えて伝えたりはするのだけど、虫やカビの出る出ないも個人的というか、家の立地条件などによるところが大きいので、なかなか一筋縄ではないと感じている。

そういった防虫剤界(?)では最新の防虫剤のひとつがこの「ムシューダ NOTE」と言えるだろう。いわゆるイガやコイガ、ヒメマルカツオブシムシのような「衣類を喰う」虫のほか、衣類に湧きがちなダニに対しても効果するタイプで、カビ発生までもを抑える今様のニーズを完璧に押さえ切っている。

そしてにおいが、臭くない。多分この香料を嗅いだだけでは防虫剤のものだとは思わないのではないだろうか。せいぜい柔軟剤くらいに感じる。むしろ柔軟剤よりも弱いかもしれない。これで効くのか不安になる程度に、におわない。

使い方も何の難しさもなく、クローゼットに適宜吊るすだけである。イメージ的には幅一間(約180cm)のクローゼットに3個(1箱分)で、1年間保つ。

主成分はプロフルトリン。無香で他の防虫剤との併用も可能だ。

きっと筆者の孫世代は、衣類から「おばあちゃんのにおい」を嗅ぎ取ることはないだろう。でもこれが、時代の要請なのだろう。

箱から出したところ。1箱に3個入っている
主成分はプロフルトリン。においも臭くなく、1年間効果を発揮する
幅一間(約180cm)のクローゼットに3個(1箱分)を使用する
藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。