藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

古いシミ汚れまで「剥がれた!」業務用食べこぼし洗剤がくれた癒し

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
アイメディア「クリーニング屋さんのおしゃれ着にも使える食べこぼし洗剤 70g」

世界の謎のひとつに、「子供が好む食べ物はだいたい邪悪なシミになる」というものがある。みんな大好きカレーライス然り、ウインナーをケチャップで炒めたもの然り。

そう、あのケチャップと油! 赤い色素と油とのマリアージュの恐ろしさたるや、邪悪さの極みであるファンデーションの比ですらない。ただ近年、巷に蔓延るリップティントという化粧品の類には、ほのかな恐ろしさがある。かく人生とはシミ汚れとの戦いの連続なのである。

とはいえそもそも、そうそう多くの人はシミ取りに励んだりしないだろう。何かきっかけさえなければ。そして複数のシミ取りを使い比べる機会も普通はないだろう。筆者のような仕事をしていてすらそうそうないのだが、先般10種類以上のシミ取りを使い比べる機会があり、その際もっとも気に入った商品が今回ご紹介する「業務用食べこぼし洗剤」なのである!

もちろん「服にはシミが付くもの」と割り切って生きるのも、生き方だ。しかしそんな風に思いきれず、「なんとかなんないのか、このシミ……」とボヤかずにいられないなら、この洗剤、試してみる価値はある。

ラベル裏面

ポイントは、とにかく実験デモで付着させた普通の食べこぼしシミ(ケチャ油とか醤油とかティントとか)がスルッと落ちるうえに、中性なのでおしゃれ着にも使えちゃう点だ(これはとても大きい)。そして値段が安すぎず高すぎずなのも良い。全体のバランスが良くて優秀。

しかし筆者には考えがあった。「付着してから相当の時間が経ってしまい、何度も洗濯や漂白しても歯が立たなかった」変性タンパク系のシミ汚れにどれほど効果があるのか? この実験にどこまで耐えられるのか? それこそがシミ取り洗剤の真の能力なのではないか。

同社のシミ取り系洗剤のラインナップの中でも、この商品の特筆すべき点は界面活性剤の含有量が36%と群を抜いて高い点にあった。食べこぼしに対して、グワっと覆ってグワっと浮き上がらせてゴソッと落とす感が、シミ落としをしながら体感できたのだが、「古いシミ」に対してはどうなのだろうか。

成分表示に「界面活性剤36%」とある

さっそく家でも実験だ。ブツが家族の下着類なので詳細な表現は避けるが、複数回の実験の結果、「これはもう捨てるしかない」というものを数枚復活させることに成功した。

まず一度洗濯して繊維の隅々まで水分が行き渡っている状態で、この食べこぼし洗剤をたっぷり塗り込んで成分を浸透させ、乾燥させないように30分〜1時間置いてから「繊維から汚れを剥がすように」つまみ洗いをして、もう一度普通に洗濯機で洗濯をする。

「繊維から汚れを剥がすように」そう、剥がれる。剥がれるのだ。これが!!! 楽しい!!!

今の世相が「放置系」掃除や洗濯に傾いでいるのは知っているけど、たいていおかしな汚れやシミというのはこちらの何らかの「やらかし」が原因だ。やらかしを放置で始末するのはいささか虫が良すぎるから、少しだけ手間をかける。その努力が結果となってしっかり現れる。だから達成感がある。

あるいは「付着してから時間が経ってしまった落としきれないシミ」というのは、別の何かのメタファのような気もする。掃除・洗濯は一種の瞑想だというのは筆者のうちなる信条なのだが、古いシミを剥ぎ落とす一連の作業は、独特な角度から筆者を癒した。500円弱で体験できるこの癒し、率直におすすめだ(服も綺麗になるので言うことなし)。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。