藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

小さな手でも握りやすい「あざらしスポンジ」で食器洗いが楽に!

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
マーナの「あざらしスポンジ」

筆者は体格こそ大柄の部類なのだが、手が小さい。ピアノを習っていた時分にオクターブが届きにくく自覚した。毎日の無意識的な、ちょっとした動きにこの手の小ささがジワジワと響く。

料理の際に頻用するのはいわゆるペティナイフ。好みの銘柄もあるが基本的にどれでも一番安全に取り扱えるサイズ感だ。それから仕事にも使うペンは買う前の試用が欠かせない。特に愛用する4色ボールペンは色数の分だけ太くなりがちだが、商品によってその直径や持ちやすさがだいぶん変わる。だから買い替えの時期には文具売り場で1時間近く吟味する。

思うに手に持つものに限らずあらゆる道具というものは、自分専用のサイズで本来あるべきなのだろう。ただ、そうもいかないから、汎用品の中からちょうどいいものを見分けなければならない。

そういう「道具」の中で、何でもいいどれでもいいと捉えられがちなものが食器洗いスポンジだ。筆者が愛用しているのは、マーナの「あざらしスポンジ」。別に、わざわざ「あざらし」デザインでなくてもいいだろうという微笑と嘆息は感じる。なんでもいいじゃんそんなもの、皿が洗えればいいんでしょそんなもの、と……。

でもね、これは毎日のことなんです。

生きているから、生活している。生活、すなわち生命活動。ご飯食べる。茶碗や皿が汚れる。使い捨てじゃなければ当然、洗う。1人なら1枚でも5人なら5枚になる。

5人家族で、ご飯茶碗が5個、箸10本、味噌汁のお椀が5個、大皿2枚、取り皿5枚、小皿5枚、湯飲み、コップ……あと鍋とフライパンと小鍋とザルとお玉とシャモジくらいのボリュームを「1回」で洗わなければいけない毎日なんです。

だからその道具のサイズも機能もちょうどいいに越したことない。本当に。そして筆者の小さい右手にジャストフィットするこの「細長い」感。ついでにシッポは茶碗の糸底にもピッタリ。

キュッキュッ! キューキュー!

握りやすく折り曲げやすいフォルムが特徴

もう30数年前、確か筆者が高校に入学する前に課題として読了を課されていた岩波新書の「豊かさとは何か」(暉峻 淑子、1989年)という本がある。名著にありがちなことだが、内容を忘れてもそのタイトル自体が秀逸で忘れられない。以後数十年にわたり、頭の片隅に残り続ける。「豊かさとは何か」。

問われ続けるその問いに、まれに「これかな?」という回答が降りてくる。非常に非常にささいなことだが……「こんな愛らしくて使いやすい道具で洗い物をできるなんて、なんて豊かなんだろうか!!」。

筆者は希望するのである。こういうものを使い続けられる世の中であれかしと。願わくば、孫子の代までも。

3層構造になっている
藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。