第12回:イザという時の明かり「常備灯」はどれが良い?


 東日本大震災から1年。これをきっかけに防災グッズを用意している人も多いだろうが、イザというときにのために備えておきたいのが、部屋の壁などにセットしておける「常備灯」だ。

 懐中電灯でも良いのだが、すぐに出てこないことが多い。ウチにも本格的なキャンプ用から100円ショップで買った安物まで何本もあるハズなのだが、結局どこかにあるかよくわからない(苦笑)。

 でも常備灯は違う。常に同じ場所に置いておけるので、場所が覚えやすい。また、べースユニット(土台)から抜けばすぐに電気が点くなど、緊急時向けに便利な機能を備えたものが多い。最近では、光源が消費電力の少ないLEDになっているだけでなく、停電や地震で自動的に点灯するなど、進化も目覚ましい。

 その一方で、市場にどんな常備灯があるのかよくわからない。Googleで「常備灯 比較」や「常備灯 人気」なーんて検索しても、それらしい記事は1本もない(笑)。そこで、我が家電ラボの出番だ。これまで聖域……いや、ニッチ過ぎて誰も比較しなかった常備灯を、さまざまな角度から検証し、どれを選んでおくのが良いのか、調査してみよう。

 「常備灯なんてどれ買っても同じだよ!」とディスプレイの向こうでつぶやいているアナタっ! 実際に使ってみると、明るさも使い心地も全然違いますよ! 実験した筆者も常備灯にも向き不向きがあったのか、と驚かされた!

 分からんことは、自分で調べる、やってみる!

 Do it oneself!

 それが実践! 家電ラボのポリシーだ!


エントリーした常備灯はこの7機種

 今回テストする常備灯は全7製品。(1)汎用性の高い単三乾電池が電源で、(2)消費電力の低いLED式、(3)価格は実売1,000円台、高くても2,000円台で手軽に買えるもの、の3点を条件に集めた。ただし、比較の意味も込めて、充電池内蔵タイプ、豆電球光源タイプも用意している。まずはエントリーした製品を順番に紹介していこう。

【1】富士通「インテリア常備灯 NE122F-W(H)」

 今回取り上げる7製品のうち、唯一光源が豆電球式の常備灯。電池も大きな単一形を使用する。ベースユニットにセットすると、インターフォンにしか見えないデザインが特徴だ。果たしてほかのLED電球タイプとはどのような違いがあるか。

土台から抜くと即スイッチがONになる。また蓄光塗料が塗られており、暗闇でも場所が分かるようになっている光源は豆電球の中でも明るいクリプトン球
電池は単一型を2本使うので、単三型を使う他のものに比べるとズッシリ重い電池の交換はネジを緩めるが、コインで回せるのでドライバーなしでOKだ

光源豆電球(クリプトン球)
電源単一乾電池×2(別売)
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
56×51×210mm
重さ368g
付属品取り付け用ネジ2本
連続点灯時間19時間
実売価格1,200円程度
※サイズは、固定具も含めた状態。以下同じ※※重さは固定具から取り外した本体と電池の重さ。以下同じ


【2】パナソニック「エボルタ付きLED常備灯 BF-BE01K-W」

 スリムなLED光源の常備灯だ。電池は単三形×3本のアルカリ乾電池(エボルタ)が標準で同梱されており、連続70時間利用できる。LEDは一般的な直径5mmの砲弾型。夜になると、蓄光塗料の丸いサインが光る。

同梱の電池と見比べても、かなりスリムなのが分かる。「常備灯」の下にある丸い部分に蓄光塗料が塗られているLEDは砲弾型で、中央がレンズになっていて光を絞り込んでいる電池交換はスクリューキャップ式になっており、簡単に交換できる

光源砲弾型LED(5mm)×1
電源単三乾電池×3(添付)
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
35×40×210mm
重さ128g
付属品取り付け用ネジ2本
連続点灯時間70時間
実売価格1,900円程度

【3】東芝ホームアプライアンス「LED常備灯 KFL-321(W)」

 とにかく小さくスリムな常備灯。マジックペンほどの大きさで、逆に小さすぎて心配になるほどだ。キャップとLED本体の間にある緑色の部分が「蓄光リング」で、暗闇で勝手に光ってくれる。

大きさはスティックのりと同じ。内部を照らすPC用常備灯として重宝しそうだもちろん土台も小さくコンパクト。インテリアを壊さないという点では一番だ
LEDは5mmの砲弾型となっていて、レンズで集光している緑のリングには蓄光塗料が塗られている

光源砲弾型LED(5mm)×1
電源単三乾電池×2(別売)
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
22×27×151mm
重さ73g
付属品取り付け用ネジ2本
(細いプラスドライバーが必要)
連続点灯時間30時間
実売価格1,000円程度
 

【4】旭電機化成「インテリア常備灯 APL-3207」

 壁に取り付けるのではなく、机の上に置いておくタイプの常備灯だ。机に伏せて置いておくとテーブルライトとして、手に持つと懐中電灯として使える。スイッチのON・OFFは回転してネジを緩めたり締めたりするロータリー式となる。

ギリギリ読書できる程度の明るさ暗闇で光っているぶんには「インテリア」っぽいがが、明るいところで見るとちょっと安っぽい
ネジの溝が浅く、落とすとすぐに電池が外れてしまうのは残念LEDは5mmの砲弾型が6個。レンズによる集光などはなく、ラッパ型のカサで反射させている。連続利用時間は8時間と短めだ


光源砲弾型LED(5mm)×6
電源単三乾電池×2(別売)
大きさ(直径×高さ)50×217mm
重さ90g
付属品なし
連続点灯時間8時間
実売価格2,000円程度

【5】ライテックス「懐中電灯付LEDセンサースリム ASL-030」

 多機能型の常備灯で、遠くを照らすスポット光と、手元を広く照らす卓上ライトの切り替えが可能。また人の動きを感知するセンサーがついているので、廊下を横切ったり、地震などでビックリして起き上がったりすると、自動的に20秒間点灯する、賢い常備灯だ。ちなみにライテックスはブランド名で、発売元は株式会社プロトになる。

台座は自由に向きが変えられるようになっている。両面テープでの取り付けも可能だが、ガラスの用に表面がツルツルな壁でもないと強度が不足する。ネジ止めがお勧め電池は単三を3本利用する。懐中電灯時は連続35時間利用できるが、卓上ライトの場合はLED2灯を点灯するため、利用時間は25時間になる。またセンサーを常時ONにしておくと、およそ1年間で電池交換が必要になるスイッチを「センサー」位置にすると人間の動きを感知してテーブルライトが光るようになっている。写真下の丸い部分がセンサー
LEDは5mm砲弾型を採用し、レンズとの組み合わせでかなり明るく照らせるストラップを通す穴もあり、首からぶら下げて持ち歩くこともできる

光源懐中電灯時:砲弾型LED(5mm)
テーブルライト時:砲弾型LED(5mm)×2
電源単三乾電池×3(別売)
大きさ(幅×奥行き×高さ)50×76×195mm
重さ174g
付属品取り付け用ネジ2本
コンクリート・石膏壁用プラグ
連続点灯時間35時間(懐中電灯時)
実売価格1,600円程度

【6】生方製作所「ピオマ おしらせライト」

 ほかの製品と比べると価格が1,000円ほど高いが、震度4以上の地震の揺れを感じると、自動的に点灯する点が特徴。救助を求めたりする場合に便利なフラッシュライト(閃光点滅)モードも備える。また、電池が切れると赤いフラッシュライトが点滅するなど、まさに災害用に作られた常備灯だ。

平べったいがとてもにぎりやすい電池ブタのネジは、ドライバーを使わないと外せないが、その分電池が飛び出ることはなさそう。電池切れた場合は電池切れを示すサインもあるLEDはチップ型で1Wを採用しており、レンズで集光していないため光は拡散する
スイッチは押しボタン式で、明るく点灯→暗く点灯→フラッシュライト(点滅)→切りに切り替わる電池切れになると赤いLEDが点滅するので、交換時期がひと目で分かる木の壁にネジ止めできるほか、石膏壁に取り付けられるピンが3本付属している

暗闇で相手に場所を知らせたり、救助を求める場合などに便利なフラシュライト機能

光源1Wチップ型LED×1
電源単三乾電池×4(別売)
大きさ(幅×奥行き×高さ)42×19×167mm
重さ155g
付属品取り付け用ネジ2本、石膏壁用ピン3本
連続点灯時間30時間(Hi利用時、Low利用時は60時間)
実売価格2,800円程度

【7】ツインバード「停電センサーLEDサーチライト/ナイトライト付 ホワイト LS-8555W」

 乾電池式ではなく、充電式のニッカド電池を内蔵した常備灯。いつもコンセントに差し込んでおけば、イザというときに電池切れの心配がないのが特徴だ。また停電時には自動的に点灯するほか、夜になると自動的に常夜灯(足元灯)が灯るなどの機能がある。

見た目はちょっと大きなパソコンのマウスの形をしているが、これも常備灯電池は専用だが交換可能になっているニッカド電池。乾電池にくらべると電圧が低いため、明るさは少し暗め。連続利用時間は1時間となっている(強モードの場合)LEDは0.5Wのチップ型。反射板により集光している
明るさは強弱が切り替えでき、弱モードでは8時間の連続利用ができるストラップの取り付け穴もあるので、首から下げて持ち歩きもできるセンサーONの状態であたりが暗くなると足元灯(オレンジ砲弾型LED×3)が点灯する。周りの明るさに応じて、足元灯の明るさが変わる

光源0.5Wチップ型LED×1
(足元灯:オレンジ色の砲弾型LED×3)
電源専用ニッカド電池内蔵(2本)
大きさ(幅×奥行き×高さ)70×35×140mm
重さ159g
付属品なし
連続点灯時間1時間以上
(強利用時、弱利用時は8時間以上)
実売価格2,800円程度

 

明るさ&照射範囲比較! 正面1m先を一番明るく照らせるのどれ?

チェック方法は、常備灯から1m離れた壁に円を描き、どの円までハッキリ見えたかを調べるというもの。同様に横方向から照らした場合、どれだけ光が拡散するかも調べてみる

 長~い製品説明が終わったところで、まずは明るさからチェックしてみよう。

 最初のチェック方法は、常備灯から1m離れた壁に円を描き、中心部の明るさがどのくらいか、またどの範囲までハッキリ見えるか、というもの。距離を1mとしたのは、例えば地震のときに家具やモノが床に散らばった際の足元を照らす用途を想定している。足元や前方もがそれなりに照らせて、緊急時の視野確保に効果が期待できそうだからだ。

 なお測定に当たっては、電池をすべてアルカリ乾電池(三菱電機製)に統一している。もちろんツインバードは内蔵電池なのでその限りではない。

【1】正面の光の広がり(壁から1m)

【富士通】
直径20cmが集中的に明るく、そのまわり1mもかなり明るい。中心部の明るさは772lx
【パナソニック】
豆電球の富士通とほぼ同様だが、周りまでかなり拡散している。中心部の明るさは249lx
【東芝】
一転集中型で中央部は明るいが40cm以上はほとんど見えない。ただ中央部は486lxと明るい
【旭電機化成】
LEDが6灯あるので光にムラができるのが特徴。中心部40cm位まで明るく80cmまで照射できる。中心部の明るさは84lx
【ライテックス】
中央を集中的に明るく、周りもぼんやりながら視野を確保できる。中心部の明るさは、懐中電灯よりも明るい788lx
【生方製作所】
レンズで集光しておらず、明るい1WLEDを使っているのでかなり広範囲を照らし出せる。中心部の明るさは11lxと一番暗いが、肉眼では割と明るく見えた
【ツインバード】
中央10cm程度をかなり明るく、その周囲も広範囲に照らすようになっている。中心部の明るさは151lx

 この実験から分かったことは、富士通のような豆電球式は、LEDに比べると、明るくかつ広範囲を照らせる、ということ。ただし、連続利用時間が短いので、電池の持ちを考えれば、ライテックスが豆電球に近い明るさと視界を確保できそうだ。

 さて、今回の実験に使用した常備灯の中には、明るさを抑えて長時間使えるモードや、ライテックスのようにランタン(テーブルライト)として使えるものもある。というわけで、ここで明るさが「弱」の場合や、テーブルライトとして使った場合などの明るさも、参考までに掲載しておこう。

【ライテックス】
テーブルライトにもなるがLED2灯を使うもののかなり暗い。しかし手元に置けば、本を読める程度の明るさを確保できる。明るさは11lx
【生方製作所】
弱にすると広範囲をぼんやり照らす。足元の障害物を照らす程度には使えそうだ。明るさは5lx
【ツインバード】
集光されているので1m先でおよそ30cm程度照らせる。中央部の明るさは7lx


突然始まるミニコラム:常備灯にニッケル水素電池って使っていいの?

 結論から言うと、ニッケル水素電池はあまりオススメできない。その理由は、乾電池に比べると長期間放置していると自然放電しやすいからだ。また乾電池1本の電圧は1.5Vだが、ニッケル水素電池は1.2Vなので、若干暗くなってしまうという点もある。

 普段使う懐中電灯であればニッケル水素電池を使ってもかまわないが、イザというときの備えとして使う常備灯はアルカリ乾電池を使うべきだろう。


 

(2)光はどれくらい拡散するか? 横方向からチェック

 先程は正面から照らした場合の明るさと照射範囲を調べたが、光がどのぐらいの角度で拡散するのかが分かりにくい。拡散性が高ければ、より広範囲が照らせて、視野の確保がしやすいだろう。

 そこで、常備灯を横から見て、広い範囲を照らせるか否かを調べてみよう。

【富士通】
中央の明るい部分が広がらずに遠くまで届く。また最大で上下に75度まで光が広がる
パナソニック】
中央部はかなり明るく上下に15度に広がり、最大50度程度まで照らしている
【東芝】
光を絞り込んでいることが分かる。その角度はおよそ7度程度。常備灯から20cm程度までは上下60度まで照らせるようだ
【旭電機化成】
カサの部分も光っているのでその周囲まで明るい。光は上下におよそ20度で広がっているようだ
【ライテックス】
中央を集中的に明るく、周りもぼんやりながら視野を確保できる。中心部の明るさは、懐中電灯よりも明るい788lx
【生方製作所】
横から見ると最大80度の範囲まで広がっている
【ツインバード】
上下におよそ40度ほどで平均的に照らしている

 こちらも豆電球の富士通が光の広がりを見せたが、LED光源では生方製作所と東芝、ライテックスが健闘している。生方製作所はレンズによる集光がないため、遠くを照らすのには不向きのようだが、近距離なら優秀。東芝製は近くよりも遠くを照射するのが得意のようだ。ライテックスは遠近どちらにもバランスが良い。


真っ暗な家の中を歩く場合どのように照らせるか? 5m先の見え方

 ここまでは壁の明るさを元に評価してきたが、ここからは遠くの暗闇がどれだけ照らせるかのテストに移ろう。真っ暗な家の中で、T字になった5m先の壁の床を照らした場合の明るさを比較してみた。写真はできるだけ、肉眼で見えたイメージになるよう撮影している。

【富士通】
5m先の壁だけでなく、手前の床もよく見えている。またうっすらとだが、左手前の壁も見え広範囲の視野を確保できる
【パナソニック】
豆電球の懐中電灯に比べるとやや暗いが、視野の範囲はほとんど同じだ
【東芝】
5m先の壁はよく見えるものの、手前の壁が見えておらず、すこしピンポイント過ぎる感がいがめない。家の中を歩く場合は、頻繁に常備灯を左右に振る必要がある
【旭電機化成】
周囲まで幅広く視野を確保できる
【ライテックス】
やや暗いが、ほぼ豆電球式の懐中電灯と同じような視野を確保できる
【ライテックス】
こちらの写真はテーブルライトに切り換えて照らした場合。暗闇の家を歩くには光が足りない
【生方製作所】
明るいモードにすると床から天井近くまで広範囲で見通せる。しかし光が拡散してしまっているため、5m先は見づらい
【生方製作所】
こちらは暗く点灯したモード。これも明るさが不足して家の中を歩くには危険だ
【ツインバード】
遠くから近くまで広範囲を明るく照らせる
【ツインバード】
暗く点灯すると2m先の壁すら見えづらく、この状態で歩くのは危険だろう

 この実験で一番視野が確保できたのは、豆電球の富士通が一番だが、長時間点灯できないことと、本体が重めな点が気がかり。LED式では、旭電機化成やツインバードが、遠くから近くまで明るい視界を確保できるだろう。


暗闇でもちゃんと場所がわかるか? 視認性をチェック

 基本性能である明るさに関しては以上。ここからは、使いやすさを主眼に置いたテストを行なっていこう。

家の壁に穴を開けると奥さんに起こられてしまうので、オリジナルの壁を作っての実験だ

 まずは「視認性」。常備灯が必要になるのはおもに夜なので、イザというときに常備灯がどこにあるかが分からなくては、常備している意味がない。そこで部屋を真っ暗にしたときに、どの常備灯が一番ハッキリ暗闇のなかで確認できるかを調査した。ただ、家の壁に穴を開けると奥さんに起こられてしまうので、オリジナルの壁を作っての実験だ(笑)

【1】平時の暗闇を想定した場合

 地震や停電などではなく、寝室で寝ていても常備灯の位置がハッキリ分かるものは、足元灯が点灯するツインバードの充電式常備灯だ。

 ただあまりにも明るすぎて、他の常備灯まで見えてしまうので、足元灯を消して再度比較するが、結果はやはりツインバードがはっきりとわかる。コンセントに差し込んでおくと赤いLEDが点灯するからだ。

 このほかでは、緑色の蛍光塗料が使われている富士通も分かりやすい。パナソニックと東芝にも、同様に緑色の蓄光塗料が塗られているが、いかんせん塗料部分の面積が小さく、遠くからでは確認しづらかった。

夜は足元灯が灯るツインバードが一番ハッキリと位置が分かる足元灯を消した状態でも、コンセントに差し込んでおくと赤いLEDが点灯するツインバードが一番目立つが、豆電球式の富士通の蓄光塗料も分かりやすい。パナソニックと東芝も蓄光塗料が塗られているが、いかんせん小さく遠くからでは確認しづらい

【2】停電を想定した場合

センサーを常にONにしておけば、ライテックスは停電時にもかなり目立つ常備灯となる。ただ一番目立つのはツインバードだ

 落雷やブレーカーが落ちたなどで停電した場合は、停電時の自動点灯機能が付いたツインバードが分かりやすい。

 また、ライテックスもお勧めしたい。停電で自動点灯する機能はついていないが、停電時に常備灯を探してウロウロ歩くことで、センサーライトが点灯するからだ。


停電すると自動的にライトが点灯するツインバードの説明ムービー。電気を消すと常夜灯が点灯し、通電がストップすると非常灯が点灯する

停電状態でも、人が部屋を動き回るのを感知して点灯するライテックスの説明ムービー。動画後半では取り回し易さも紹介させていただいた

【3】地震を想定した場合

揺れている瞬間から部屋を明るく照らしてくれる生方製作所は、まさに地震に特化された常備灯だ。ツインバードとライテックスは、常備灯を取りに行くまでは足元を照らすライトがないという弱点がある

 地震の際には、自動的に点灯する機能を備えた生方製作所が一番。揺れている瞬間から部屋を明るく照らしてくれる生方製作所は、まさに地震に特化された常備灯だ。

 しかし「震度4の地震を感じたらまず布団から出て家族や家を点検する」ことを考えると、ツインバードの充電式とライテックスも常備灯のある場所が一目瞭然なので、候補としては残しておきたい製品だ。


地震が発生すると即時点灯する生方製作所の説明ムービー(実際に地震が起きているわけではなく、壁を手で動かしている)。動画後半では便利な使い方も紹介


どれが簡単に点灯できるか? 点灯までのステップ数をチェック

 次にテストするのは、イザというときにいかに素早く常備灯を点灯できるかだ。常備灯の取り付け位置は、壁スイッチと同様、床から80cmの位置に本体中央が来るように設置した。この状態で取りやすさやライトを点灯するまでのステップ数を見てみよう。

【富士通】
台座から外すだけで点灯するのでワンステップ点灯
【パナソニック】
こちらも台座から外すだけのワンステップで点灯
【東芝】
同様にワンステップ点灯
【旭電機化成】
取って、ひねって、点灯なので2ステップが必要。しかも両手を使う必要がある
【ライテックス】
両手を使わないと台座から取り外せない。さらに、センサーライトから懐中電灯への切り換えスイッチをONにして点灯するので、2ステップ必要だ

【生方製作所】
地震の際はすでにライトが点灯するので“0ステップ点灯”だ。停電時は台座から取り出すので1ステップ
【ツインバード】
停電時にはすでに点灯している状態なので、0ステップで使える。地震のときはスイッチを入れる必要があるので1ステップだ。なお懐中電灯として使う場合は、コンセントの刃を折りたたむ必要がある(出したままでも使えるが邪魔)
【ツインバード】
実験では床から80cmの位置に設置したが、床に近い壁コンセントにつけるとなると、ちょっと取り出しにくい

 点灯するまでのステップ数は、基本的にはどれも手軽に済むが、やはり自動点灯するものはまったくの手間いらずなので便利だ。地震の際に自動点灯する生方製作所、停電時に自動点灯するツインバードの便利さは際立った。


結論! この常備灯はここに使うとベストマッチ!

 実験はこれで以上だ。実験前は「常備灯なんてどれも同じだろ?」と思っていた筆者の甘い考えは、これらの実験で玉砕された。各メーカーともさまざまな工夫を凝らし、ギミックだけでなく照射角度も考えていることに驚いてしまった。

 特に印象的だったのが、唯一の豆球式ライトである富士通「インテリア常備灯」が意外と良かったことだ。懐中電灯を含めて、LED化は必須だと思っていたが、明るく光が広がる。その実力にはおどろいた。

 もう1つ分かったのは、非常時に自動点灯するギミックの有効さだ。これまでテストしてきたように、暗がりではパッと見の分かりやすさや光の質も重要なのだが、地震の振動や停電で自動的に点灯するギミックは、思っていた以上に使いやすかった。

 最後はこれまでの実験結果を元に、どの常備灯がベストかをまとめることにしよう。

・ギミック不要なら、豆電球タイプでも富士通「インテリア常備灯」をオススメ

 センサーなどによる点灯のギミックがない製品では、光の質の良さから富士通「インテリア常備灯」を推薦する。電源が単三ではなく単一で、点灯時間はほかと比べると短いのは惜しいが、豆球の消費電力を考えるとしょうがないだろう。

 次点はパナソニック「エボルタ付きLED常備灯」。配光が素直なこと、単三形3本を収めた本体のバランスが良いのが理由だ。

ギミック不要なら、豆電球だが光の質が良かった富士通「インテリア常備灯」がオススメLEDであれば、パナソニックの「エボルタ付きLED常備灯」
 

・寝室に置くなら生方製作所の「ピオマ お知らせライト」

地震用なら生方製作所「ピオマ お知らせライト」が一番

 強い地震が発生し、棚の荷物が崩れたり家具が倒れたとしても、地震発生と同時にライトが点灯するので、足元や部屋を広範囲に照らせ、広い視野を確保できる生方製作所の「ピオマ お知らせライト」以外に選択肢はないと言ってもいいだろう。電池切れをお知らせしてくれるほか、機械的な地震検知センサーなので待機電力もかからず電池も長持ちだ。

 子どもと親の寝室など複数に備えたい場合は、およそ半額のライテックスのセンサーライトでも良い。常にセンサーをONにしておく必要があるので、およそ1年に1回の電池交換が必要だが、費用対効果が高い常備灯と言える。


・居間や廊下、賃貸住宅ならツインバード

居間や廊下に備えて置くならツインバードの「停電センサーLEDサーチライト/ナイトライト付」がいい

 落雷などによる停電だけでなく、ブレーカーが落ちてしまった場合などにも便利に使えるのがツインバードの「停電センサーLEDサーチライト/ナイトライト付 ホワイト」だ。停電した瞬間にライトが点灯するので、まったく慌てることなく灯りが取れる。ただし連続利用時間が短いので、長時間使える他の常備灯(たとえばパナソニック製など)と併用するのがいいだろう。

 また賃貸住宅は常備灯を壁にネジ止めできないことが多いので、工事不要で設置できるという点でもツインバードをオススメしたい。




 普段は日陰の存在である常備灯だが、緊急時には暗闇を照らす救いの光を生み出す。備えあれば憂いなし! 防災対策の参考にしていただければ幸いだ。


富士通
http://jp.fujitsu.com/
パナソニック
http://panasonic.co.jp/
BF-BE01K-W 製品情報
http://ctlg.panasonic.jp/product/info.do?pg=04&hb=BF-BE01K-W
東芝ホームアプライアンス
http://www.toshiba.co.jp/tha/
LED常備灯 KFL-321(W) 製品情報
http://www.toshiba.co.jp/living/webcata/lamp/kfl_321.htm
旭電機化成
http://www.smile-asahi.co.jp/
生方製作所
http://www.ubukata.co.jp/
ピオマ おしらせライト 製品情報
http://www.pioma.jp/UGL2/
ツインバード
http://www.twinbird.jp/
LS-8555W 製品情報
http://www.twinbird.jp/product/ls8555/





2012年4月13日 00:00