第5回:これがLEDの底力! オリジナルLED照明を作ってみた

~夜の足元灯から8~10畳向けのシーリングライトまで

 “節電”が全国的に呼びかけられている昨今、一躍注目を集めているのが「LED照明」だ。読者の皆さんも、どのLED電球を買おうか、どのLEDシーリングライトを選んだらよいのか迷っている人も多いと思うけれど、実はLED照明って、結構カンタンに作れちゃったりするのをご存知だろうか?

 よくあるLED電球の消費電力はだいたい4~7Wくらいで、60Wや40Wなどの白熱電球と交換すると、消費電力は1/10程度になる。しかし、それ以上に省電力にできちゃうのが、自動車のルームランプなどに使われる「LED豆電球」だ。

ここで取り上げた明かりは、すべて自作したLED照明だ。写真は、夜の廊下などを照らすLED足元灯。常夜灯の代わりにもできる。消費電力は0.7Wと、よくあるAV機器の待機電力以下だベッドの横に置いて常夜灯にしたり、ちょとしたメモ書きの照明に便利なLEDシェードライト。天井に抜ける光が少なくシェード越しの横方向では40W電球の3倍明るく、消費電力はたった1.3W
まったくチラ付かないLEDデスクライトも作れる。まったく点滅しないので、インバータ方式の蛍光灯よりさらに目にやさしい。しかも消費電力は1.5Wで、明るさは40Wクラスの電球と変わらない12Vで駆動できる蛍光灯型パワーLEDを使った、本格的なシーリングライト。1本のパワーLEDバーで、20W蛍光灯1.5本に相当する明るさが魅力。消費電力は、5灯式の140Wに比べて、半分以下の55Wと経済的!

 豆電球とは言えど、大型ワゴンの車内を明るくできるような大型の豆電球や、LEDが10個も20個もパネル状に配置されたLED照明モジュールなどがあり、電球と変わらない明るさのものがある。これが、カー用品店やDIY店、秋葉原のパーツ街や通販でもカンタンに購入できちゃったりするのだ。

 てなわけで今回は、LEDの実力を探るために、豆電球やLED照明モジュールを使って、オリジナルのLED照明機器を作ってみよう。

 ちなみにこの記事には、既存の器具を改造したり、 専門的な工作器具を使ったりするものもあるので、読者の皆様に広くお勧めするものではない。今回はあくまで照明としてのLEDの実力を探るためなので、真似される場合には自己責任となる点にはご注意いただきたい。

 てなわけで、

Do it oneself!

 分からんことは、自分で作る!調べる!やってみる! それが「実践! 家電ラボ」のポリシーであるっ!

■■注意■■

・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
・この記事を読んで行なった行為(分解など)によって、生じた損害は筆者および、家電Watch編集部、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・内部構造などに関する記述は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。


初級編:半田ごてなしで足元灯を作ってみた

 まずは、家にあるフツーの 工具で足元灯を作ってみよう。半田ごてのような特別な工具は不要だ。

 用意するのは以下の表の通り。価格は、だいたいの目安として欲しい。なお、リンクが付いているのは、リンク先のウェブショップで購入したものだ。


部品名価格
トラックのデコレーション用照明カバー700円
白色LEDルームランプ500円
ACアダプタ(12V 1.5A)750円
DCジャック40円
シリコン絶縁カバー(20個入り)500円
電線 1mほど100円
合計2,590円程度

 光源となる「白色LEDルームランプ」とは、もともとは自動車用のLEDだ。カー用品店やDIY店で入手できる。 ちなみにLED電球には「パワーLED」という強力なLEDが使われていているため、10分も点灯し続けていると熱くなってしまうが、自動車用の超高輝度 LEDは、AV機器のインジケーターと同じ構造のため、まったく熱を出さない。だから放熱も不要で、接着剤や両面テープで固定でき、手軽に工作できるのだ。

パネル型はたいてい変換コネクタとセットになっている(写真左)。右はヒューズ型だが、これに合うソケットがなかなか手に入らないので使いづらいかも?「T10タイプ」と呼ばれるモジュールは、ソケットも入手しやすい

 購入時に注意したいのが、必ず「12V」や「一般車用」と書かれているLEDを選ぶこと。トラックなどの大型車用のものは、それよりも電圧が高い「24V」仕様になっている場合がある。これだと、電源として一般的なACアダプタが使えなくなってしまう。ACアダプタは、業界で「スイッチング(電源)」と言われる軽いタイプのACアダプタを選んだ。ここで使うLED豆電球は、電圧が12Vで、電流が100mA(0.1A)未満のものなので、「出力電圧:12V 最大電流:100mA」以上のACアダプタを購入する。

左が旧式で効率も悪いトランス式のACアダプタ。右がスイッチング式のACアダプタ。出力は同じ1A(12V)だが、これだけ大きさが違う左のACアダプタの出力は5A(12V)。ノートPC用ほどに大きい。右は1A出力できるスイッチング電源
ケース取り付け用のDCジャックは、たいてい端子に穴が開いている。電線は半田ごてなしでも接続できる

 DCジャックには、基板取り付けタイプ、ネジ付きのケース取り付けタイプ、ジャックからあらかじめ電線が出ているタイプがある。ドリルやテーパーリーマ(後述)といった穴あけ工具があるなら、ケース取り付けタイプ、そうでない場合は電線が出ているタイプを選ぶといいだろう。


 パーツ説明に時間がかかったが、いよいよLED足元灯の製作に入ろう。


1)電線を剥いてシリコン絶縁カバーでLED豆電球に接続
電線の被服を1cmほど剥いておく

2)デコトラ用の照明からソケットを引きちぎる
 デコトラとはデコレーショントラックの略。高速道路やバイパスなどで、ギンギラギンに光って走っているトラックのことだ。この照明はカー用品店で結構手軽に手に入る。

防水仕様なので、屋外の照明にも使えそうだ軽く2点だけ溶接してあるだけなので、ペンチで引きちぎれる

3)接着剤などでシリコンカバーを固定

足元を照らすように、若干LEDを下向きに固定。ここではホットボンドを使っている照明分部の完成

4)DCジャックに電線を接続して点灯チェック

DCジャックのどの端子に電源が来ているか分からない場合は、ACアダプタを接続して調べればOK。電線を端子の穴に通して、写真のように巻きつけて、最後はビニールテープで絶縁足元灯の全体像

5)完成!

完成したのがこちら。ちょっとLEDを下に向けすぎたかもしれないが、足元灯としての機能は十分にある

 早速廊下に取り付けてみたのが、左の写真だ。写真のように、常夜灯としては明るすぎるぐらい輝く。

 通常の足元灯は、消費電力8Wのナツメ球という電球が使われるので、8時間点灯し続けると月の電気代は42円になる。

 一方、このLED足元灯は、消費電力は1.1Wしか食わない。電気代の目安は月に6円と激安! ちょっとした工作だけで電気料金が1/7に抑えられるなんて、やっぱすごいぜLED!



中級編:市販のシェードライトをLED化してみた

改造前のルームライトはこんな感じ

 ホテルなどでよく見かけるカサ(シェード)のついたルームライトも、市販のLEDモジュールで作れてしまう。

 とはいっても、本体そのものを作るのは大変なので、白熱電球を光源としていた既存の電気スタンドを流用し、LEDスタンドに改造してみた。



部品名価格
シェードライト今回は1,980円の格安品を改造
LED豆電球800円
ACアダプタ(12V 1.5A)750円(足元灯を流用)
DCジャック40円
LED電球用(T10)ソケット100円。カー用品店でも購入可能
水道用塩ビパイプ(10cmぐらい)1mで300円ほど
コンセント(メス)150円
(ACアダプタのスイッチ付き電線用)
電線 1mほど100円
合計(シェードライト含まず)2,240円程度

1)本体をバラす

本体をバラして、電球ソケットや100Vの電線を引っこ抜く

2)塩ピのパイプで高さを稼いで接着

このスタンドでは白熱電球を光源としていたため、フツーにLEDをセットすると、光源の位置が低すぎてしまう。その高さをカバーするために、塩ピパイプを使ってLEDの位置を合わせる塩ビパイプは本体に接着。ここではホットボンドを使っている

3)電線を引っ張り出し、DCジャックを取り付け

100Vの電線が出ていた部分から、LED豆電球の電線を引っ張り出す足元灯と同じ要領でDCジャックに電線を接続

4)シェード取り付け用のネジを戻す

シェードを固定する部品を元に戻すシェードを取り付け、元のネジで固定

5)ついでに100Vのスイッチつき延長コードも作っちゃえ!

 取り外した100Vの電線にはスイッチが付いていたので、これにコンセントをつないで、ACアダプタの電源もコードも合わせて作っておこう。

電源コードを作るのは意外と簡単。電線の被服を2cmほど剥いて電線をよじったあと、時計回りに輪っかを作る。電線の先端が写真のように巻き始めの下になるようにするのがポイントメスのコンセントにネジ止め。ネジは時計回りで締まるので、電線も時計回りに輪を作ってあるため解けずに接続できるスイッチ付きコンセントの完成だ!

6)完成!

白熱電球と違い白い光で熱も出なので、夏の照明にはピッタリ

 できあがりは左の写真の通り。白色LEDなので、夏には涼しげでいい感じ! っていうか、電球と違ってまったく熱が出ないので、リアルに涼しいのだ。

 ここで、明るさを40Wの白熱電球と比較してみよう。





電球種類上に抜ける光(50cm)下に抜ける光(30cm)カサ越しの横の光(50cm)
60W白熱電球340lx320lx77lx
40W白熱電球144lx90lx33lx
LED豆電球で作った
スタンド
21lx211lx91lx

横方向には四方に3つのLEDが付いているため、60Wの白熱電球よりも明るくなっている。また下への光は60W白熱電灯よりも若干暗い211lxだが、メモ書きしたり短時間本を読むぐらいなら十分の明るさだ。なお、自作スタンドで上に抜ける光が極端に暗いのは、LED電球の上側には1個のLEDしか付いていないため。

 消費電力についての比較では、またも大きな差が出た。


電球種類消費電力1日8時間点灯した場合の1カ月の電気代
60W白熱電球57W301円
40W白熱電球40W211円
60WクラスLED電球9.4W50円
40WクラスLED電球4.1W22円
LED豆電球で作った
スタンド
1.3W7円

 電気代は白熱電灯と2桁違うという驚きの結果! これには筆者自身もビックリだ。しかもLED電球と比べてもまだケタが1つ少ない。超省エネの室内用シェードライトができた。


上級編:最高に目にやさしいデスクライトを作ってみた

改造前のデスクライト。今回は格安品の1980円で、40Wのクリプトン電球を使うものを利用

 デスクワークに使う蛍光灯式のライトは、目に優しいインバータ方式が主流だ。とはいえインバータは、目には見えないほど高速に点滅させているため、安物だと光にチラツキが発生したりする。

 ここで、LEDの出番だ。自作のLEDデスクライトを作ってみたが、まったく点滅しない、かつてないほどに目にやさしいデスクスタンドが作れたのだ! こちらも、既存の照明器具を流用している。




部品価格
デスクライト廃品を利用
LEDルームランプ1050円
ACアダプタ(12V 1.5A)750円(先ほど作ったもを流用)
DCジャック40円
木の板の切れ端(4cm四方程度)100円
電線 1mほど100円
合計(デスクライト含まず)2040円程度
 

1)本体をバラす

 これも電球が切れちゃったタイミングなどで改造するといいだろう。欲しいのは、本体の筐体だけなので、電球ソケットも含めて全部バラしてまえ!

本体にタッチすると、電源を入れたり明るさを変えられるタッチセンサー付きのものだった。制御用の回路が入っているが、これらは全部取り払ってしまおう電球ソケットも外す。ただソケットを支持していた右の金具は使えそうなので取っておくことに電線を止めている「ブッシュ」は、ペンチで噛みながら引っこ抜く

2)パネル状のLEDユニットを作る。もとからあった固定台を流用しちゃえ

電球ソケットの支持金具に板をネジ止めT10のソケットを使ってもかまわないが、ここでは電線を直結するためソケットを切断
ルームランプの裏側についている両面テープで木に固定ドリルがあれば電線を引っ張り出す穴を開けてもいいだろう

3)LEDルームランプから出ている配線を延長する

結線は互いのビニル被服を2cmほど剥いて、U字にして引っ掛けあう互いの電線をよじって接続。このあとビニールテープで絶縁すること

4)DCジャックの取り付け

 もともと電線が出ていた穴を、「テーパーリーマ」と呼ばれる工具で大きくして、DCジャックを本体に取り付ける。

テーパーリーマという穴を大きくする工具。だいたい1500円ぐらいで手に入るリーマの穴に取っ手(ここではドライバ)をつけて、グリグリやると1mmの鉄板でも穴の拡張ができることにDCジャックがちょうど入る大きさにする

5)LED照明モジュールを本体に取り付け

 今回は金具を逆に付けてしまったので、モジュールが斜めになっている。手で押し込んで平らにした。

取付金具を前後逆にしてLEDルームランプが手前に出てくるように組み立てる金具を逆に付けたのでLEDルームランプが斜めになっている。手で押し込んで平らにしよう元にあったブッシュを使って電線を固定

6)最後の仕上げ

DCジャックの固定用ネジが最後までしっかり締まらなかったので、ホットボンドで応急処置。接着剤を使ってもいいだろうガラスカバーをつけようとしたら、木の台座が邪魔に! 隅をニッパで切断したさっき作ったスイッチ付きのコードを利用して、電源が切れるようにした

7)完成!

 

できあがったLEDデスクスタンド

 できあがりましたよLEDデスクスタンド。しかし、点灯してみると、ちょっと問題が発生。LEDルームランプには、超光輝度LEDが16個実装されているので、影が16個出ちゃうのだ。

 気になる場合は、すりガラスのようなアクリル板や、塩ビやプラ板に紙やすり(200~400番くらい)をかけて、“光のフィルター”を作ろう。これを照明ユニットの前に置いてやれば、多重影が解消できる。


指をかざすと、何重にも影が出てしまった。気になる人は、“光のフィルター”を作ってみよう見開きA3の雑誌は、40W白熱電球を使ったときとほぼ変わらない明るさが確保できた。なお、写真ではタミヤのプラ板(0.3mm)に、240番のヤスリをかけたフィルターを装着しており、影が弱まっている

 さて明るさは、真っ暗な部屋でも十分読書できるほどで、照射範囲もA4判を見開きA3にした「DOS/V POWER REPORT」を十分にカバーできる。40Wの白熱電球を使ったときとほぼ変わらない明るさを確保できた。

 一方消費電力は、白熱電球の40Wに比べLEDルームランプは1.5W!なんと1/27の電力でほぼ同じ明るさを確保できるのだ! このように自動車用のLEDランプは、12VのACアダプタで簡単に点灯できるだけでなく、使い方次第で家庭用の照明としても役に立つのだ。

エキスパート編:本格的なリーリングライトも作っちゃえ!

 ここまでは割とカンタンな工作をしてきたが、今度は誰も作っていない本格的なものに挑戦してみよう! Webを色々探したところ、部屋の天井に取り付けるLEDシーリングライトを自作したなんて記事が見当たらなかったので、LEDシーリングライトを自作する、日本初(たぶん)の工作記事としてしまおう!

 今回も既存のシーリングライを改造するが、改造前は13畳のリビングで使っている20W蛍光灯×5本のタイプ。消費電力は5本点灯時で140Wだが、LED化するとどれだけ省電力になるのかが楽しみだ。

 今回キーとなる部品は、55cm程度のバーにパワーLED12個が乗っているLEDバーと、ちょっと大きめの電源。

改造前のシーリングライト。中には直管形蛍光灯が入っている。6~8畳用といった感じLEDバーはちょうど20Wの蛍光灯と同じ長さで、12Vで光るので工作もしやすい。左は4本のLEDバーを点灯できる6.3Aまで出力できるスイッチング電源
LEDバー3本なら、スイッチング電源より数千円安い5AのACアダプタでOK

 このLEDバーは、電子部品店「秋月電子」で見つけたものだが、12Vで駆動できて、ちょうど20Wの直管形蛍光灯サイズ。しかもパワーLEDが12個乗っていて、20W蛍光灯の1.2本分の明るさが出せるというものだ。ちょうど良いじゃん!

 ただし、1本のLEDバーを駆動するには、1.2Aの電流が必要になるので、4本使うと4.8Aも電流が必要になる。そこで今回は、電源に少し余裕を見て、6.3Aまで供給できるスイッチングレギュレータ電源を使った。もしLEDバー3本でOKなら、ACアダプタタイプの5Aの電源でも大丈夫だろう。

 必要な材料は以下の通り。


シーリングライト廃品を利用
白色パワーLEDバー1本2,700円
(ここでは4本利用)
スイッチング電源(12V、6A以上)3,500円
(LEDバー4本の場合)
ACアダプタ(12V、5A)1,700円
(LEDバー3本以下の場合)
アルミ板(厚み1mm、40×60cm)2,000円
(シーリングの大きさに合わせて)
プル(キャノピ)スイッチ300円
(紐を引くごとにON・OFFの2段、
ここでは電源用と明暗用の2個利用)
引っ掛けシーリング100円
アルミ板冷却用のPC用空冷ファン1個1,200円
(ここでは静音のハードディスク冷却用
8cm角を2個利用。12cmタイプでもいいかも?)
外気取り入れ用空冷ファン1個1,500円(ここでは5cm角を利用。
シーリングのカバーの高さにあわせて)
100V電線(7Aタイプ)1mほどで100円
12V用電線3mほど300円
合計(LEDバー4本仕様の場合)21,300円

 そのほかに、ネジ(M3 60mmを10本、M3 20mmを30本程度)やスペーサ(基板などをネジ止めする際に、ベースから浮かせる金属製のチューブ)、ジップタイ(結束バンド)なども適宜必要となる。またドリル(刃は3.5mmと8mm~10mm程度のもの)、半田、センタポンチ(ドリルの中心を決めるための工具、キリで少し穴を開けてもいい)、テスターなどを使用した。

1)蛍光灯やソケットを外し、ベースだけにする

直管形蛍光灯の口金は、たいてい差し込み式になっているので、ロックのツメを押しながらスライドさせると外せる。ネジ止め部品は裏からネジを外す使うのはこれだけ(笑)

2)ベースに部品を仮レイアウトする

まずベースの上にアルミ板を乗せる。これはパワーLEDバーの放熱用なので、できるだけ大きなアルミ板を調達するといい。そこに主要な部品を仮置きしてみる

3)アルミの放熱板を取り付けるため、ベースに穴をあける

レイアウトしたら部品をいったん下ろして、アルミ板をシーリングのベースにテープで固定。シーリングライトの穴を利用して6箇所程度の穴を開ける
同様にしてLEDバーを乗せて、取り付け穴を開けていく。穴を開ける前にセンターポンチ(金属を窪ませるための器具)をマークの中心に合わせてハンマーで軽く叩くと穴の位置が正確になる。キリで少し穴を開けてもOK

4)スイッチング電源のコネクタを作る

100Vの電線にコネクタの端子を付ける。被服を5mmほど剥いて、ラジオペンチでかしめ(押しつぶす)ればいい。抜け防止のために、最後に半田付けするとベストコネクタのケース(ハウジング)に差し込む。使っているスイッチング電源は、手前の2本のピンが100Vの入力。奥はアースなので使わない電線の反対側は、引っ掛けシーリングに接続。プラスマイナスがないので、どちらのピンを左右のシーリングのコネクタにつないでもOKだ。ここでは電線を輪っかにせず、圧着端子と呼ばれるものを使わせてもらった

5)12Vの出力側コネクタを作る

電源の12Vの出力は3ピンあり、黒がマイナス、赤がプラスの出力となっている。100Vのときと同じ要領でコネクタを作ってやろう利用したスイッチング電源の出力端子は、1ピンから最大5Aまで取れるということなので、LEDバー2本ぶんを1ピンから取り出すようにした

6)イカン! 引っ掛けシーリングを付けるときの穴がなかった!

写真はホールソーと呼ばれる工具を使っている。なければ開けたい穴を描いて、3mmのドリルで点線状に穴を開け、ヤスリやニッパで穴と穴の隙間を切っていけば大穴も開けられるホールソーで両面からアルミを削ると、きれいな大穴が簡単に開けられる

7)これだけ大きなアルミ板でも放熱不足! 急遽空冷ファン式に!

仮組みして長時間運用の実験をしたところ、LEDバーの耐熱温度60℃に対して、47℃まで上昇することが分かった。カバーをするとさらに熱がこもるので、何か対策をせねば!PC用のハードディスククーラーが安かったのでこれを2つ利用して、アルミ版に空気を当て冷却することに

8)シーリングのベースに照明ユニットとスイッチを取り付け


グレーの電線は引っ掛けシーリングから、黒の電線はスイッチング電源につながる電線。この間にスイッチを取り付けるこちらは12Vの電源と2本のLEDバーの間につけるスイッチ。スイッチを切れば2灯のみ点灯し、スイッチを入れると4灯となり明暗の切り替えができる

9)電源のネジ止めと電線をジップタイで固定

「電源は逆さまで使ってはいけない」とあったので、天井に吊り下げたときに上を向くようにネジ止め。一部基板の金属分部にネジが触れているが、これはアースなので感電することはない。ジップタイで電線を固定していく。100Vと12Vの電線が交差しないように注意しよう。最後に100Vや12Vが金属分部などでショートしていないかをチェック。

10) ひとまずできあがり。いい感じ…だがっ! 変な影がっ!

左がLEDシーリングライト、右が蛍光灯式。LED式は蛍光灯式よりも明るくいい感じだ。計算どおり!だが、計算外の事態が発生! なんと空冷ファンの影ができてしまうのだ(手前のシーリングライト中央の影)。ということで、急遽ファンを裏側に取り付ける改良工事に
 

11)ファンを裏に取り付けてスッキリ!クッキリ!

急遽ファンを裏側に取り付け直す工事スイッチング電源もかなり熱を持つので、カバーの外から空気を取り入れ、電源に空気が当たるようにもう1つファンを追加(写真左の黒いファン)
カバーは密閉されていないので、熱くなった空気が自然に漏れそうだったが、念のためシーリングのカバーの四方に放熱用の穴を開ける。空気取り入れ口は、少し多めに穴を開けた

12)運用チェックで放熱板の温度チェック

 リビングで実際に使ってみたところ、室温28.6℃のときでも放熱用のアルミ板は45.5℃と、バーLEDの耐熱温度の60℃を下回っている。真夏の昼になれば38℃を越す場合もあるかもしれないが、そもそもそんなに晴れた日中にはシーリングライトを使わないので、実用上問題ないだろう。ただし、ファンを止めて実験したところ、温度は55.8℃まで上昇したので、ファンレスの運用は難しそう。

 動作音が気になるところだが、夜中の3時にシーリングライトを灯けずに測定(暗騒音)すると22dbで、シーリングライトを点灯すると22db。つまり、「無音」ということになる。実際に夜中にテレビを見ていて、ドラマが静寂のシーンとなった場合でも、ファンの騒音が気になることはなかった。

 またバーLEDは、全部で48個のパワーLEDを使っているので、影が何重にも出てこないかが心配だったが、カバーを取り付ければダブった影も出ない! 素晴らしい!

 さて、従来光源との明るさと消費電力の比較をまとめてみた。


モデル床での明るさ床上70cmの机の上の明るさ消費電力
蛍光灯式(5本点灯)116lx178lx140W
LED式(4本点灯)135lx233lx55W
蛍光灯式(3本点灯)79lx123lx80W
LED式(2本点灯)71lx115lx30W

 この結果からも分かるとおり、明るさは蛍光灯5本とLEDバー4本を点灯した場合を比べると1.2倍LEDが明るく、消費電力は蛍光灯の40%で済む。電気代に換算すると1日8時間使うとして、LED蛍光灯は290円/月。なんと蛍光灯より449円も安くなる計算だ。

 製作には2万円ほどかかるが(手間と技術もかかるけど……)、3年半で元が取れる計算になる。シーリングライトの節電効果はやはり大きいのだ。


 というわけで、今回の工作は以上。やっぱりLEDは省エネで、かつ明るさも十分に備わっていることがわかった。今回のように工作しなくても、実際に販売されているLED製品にも、その特徴が生かされている。

 また、決してすべての人におすすめするわけではないが、工作の腕に覚えがある方なら、ぜひLED照明を自作してみて欲しい。きっとLEDのスゴさがリアルにわかっていただけることだろう。


2011年8月26日 00:00