フランスほのぼの暮らし
フランスママに学ぶ「クリスマス当日の過ごし方」は、体力勝負の長丁場
2017年 12月 11日 07:00
いよいよクリスマス本番が近づいてまいりました。今回は、フランスの「クリスマス当日の過ごし方」をご紹介します。日本のお正月のように親戚中が集まりますが、自宅に招く側と、招かれる側で当日の過ごし方が、大きく異なるのが特徴です。
フランスのクリスマスは、自宅で盛大に「パーティー」
フランスでは、クリスマスは日本のお正月のように、家族で盛大にお祝いします。一般的には、両親の家へ子どもたちなど家族全員で集まって、24日の夜から25日の朝5~7時ごろまで、不眠不休のエンドレスなお食事会を開きます。親族内で、毎年交代で家を提供して、パーティーを開く家庭もあります。子どものいない同棲中のカップルは、クリスマスはそれぞれ実家へ戻って、両親や兄弟姉妹、祖父母とともに過ごします。子どものいるカップルや結婚している夫婦は、義実家と実家へ1年交代で出席したり、なかには24日を実家で過ごし、25日は義実家で過ごすという、ハードな状況で頑張る場合もあります。パーティーは、教会でのクリスマスミサが終了した、24日の19時ごろから始まるのが一般的です。
自分の家でパーティーがある場合は、朝から準備
クリスマスパーティーの会場に決まった家は、人数にもよりますが、朝から準備に追われて大忙しです。フランス人が24日の夜から25日の朝まで行なう食事会は「レヴェイヨン」と呼ばれ、一切アルコール制限がない、長時間に渡るものです。家が狭いとか、広いとか一切関係なく、大人数が集まって、風呂も寝室も好き勝手に使い放題なので、まずは家中の片付けをしなくてはなりません。働くフランスママは忙しいので、事前の準備はせず、家族総動員で当日慌ただしく準備します。掃除だけでなく、危険物の除去や貴重品の安全確保、クリスマスのデコレーションを盛ったりします。さらに作る時間の掛かる料理の準備や、お酒類を冷やしたり、招く側は朝から大忙しです。さらにペット同伴で来る人へペット用の場所も準備したり、足りない食材や椅子などを買いに走ったり、確実に痩せるレベルの働きっぷりです。日本でも、親族が集まるお宅の大晦日を想像してもらえば、分かりやすいかもしれません。
パーティー料理を作り始めるのは、昼食後
昼食後に一段落したら、パーティーのアペリティフ(食前酒)用に、おつまみの準備を始めます。通常の倍以上の時間を掛けて楽しむ、クリスマス特別バージョンのおつまみなので、スナック菓子などではなく、手作りします。日本の巻き寿司やたこ焼きなどは、手軽に食べれて人気なので、私も毎年手作りしています。さらに、大人だけでなく子どもも食べられるものを作ったりと、料理も品数も多いので大変です。食器やグラスも特別なものを使うので、準備に時間が掛かります。料理と料理の間に、子どもたちが遊びながら食べるお菓子や飲み物の準備も欠かせません。
招かれた側は、手土産用の料理やお菓子を作る
自分の家ではなく、別の家でクリスマスパーティーをする場合には、みんなで食べられるお菓子や料理、お酒などを持参します。料理がかぶらないように考えながら、大勢が食べられるものを作って持っていくのです。私は毎年、家族や親戚のリクエストに応えて、巻き寿司やたこ焼きなどを作りますが、サンドイッチやカナッペなどの、簡単につまめるものが人気です。クリスマスサブレや、チョコレートケーキなど、持参すれば必ず誰かが食べるだろう物や、残っても困らない日持ちがするものを作ります。夜通し続く食事会なので、甘いものは口直しや気分転換にもなり、作って持ってくる人が多くいます。翌日の朝食用に、クロワッサンを焼いて持ってくる人もいます。
招かれても準備することがない場合には、遊び呆ける
会場の家の人が準備に忙しくしているころ、呼ばれた側の人たちは、食事会までの時間をさまざまに過ごします。食事会に集まる親族が20~30名の場合は持ち寄りの準備をしますが、親族が10人程度の場合は準備がないので、夜に備えてダラダラと遊び呆けます。マルシェ・ド・ノエルでクリスマスプレゼントを買ってみたり、屋台で買い食いしてみたり、冬期限定のスケート場や映画館へ遊びに行く人もいます。親が準備で忙しいクリスマスの日は、子どもは大人しくテレビを見て過ごせるようにと、クリスマス特別バージョンのアニメが1日中放送されます。このアニメを子どもと一緒に見入っている人もいます。
招かれたら、持参する手土産も必須
また呼ばれた人は、会場として自宅を提供してくれる家人へ、クリスマスプレゼントとは別の手土産を買いに行きます。一般的には、クリスマス用のアレンジメントフラワーが多く、家の女主人にプレゼントしますが、お花よりもお酒が好きな人なら、特別なお酒をお土産にしたり、チョコレートフォンデュやドライフルーツの盛り合わせなども人気です。フランスママの手土産は、必ず相手にとって邪魔にならない、消えてなくなるものを選ぶ習慣があるのです。ちなみに子どもたちへのクリスマスプレゼントも、会場提供してくれる家の子のぶんは「ちょっとランクアップする」という暗黙の了解があります。
長時間の大宴会、クリスマスは結婚式同様に「体力勝負」
いつもとは違って、豪華な美味しい食事と、美味しいお酒、楽しいおしゃべりがあれば大満足なのが、フランス人です。クリスマスは、遠方に住んでいる家族や親戚と再会できる楽しみもあり、夜を徹しての宴会も、苦になることはありません。フランスでは、子どもたちがプレゼントをもらえるのは、25日の深夜0時を迎えてからなので、眠くても具合が悪くても、必死に頑張って起きています。赤ちゃんだって同様です。
大宴会後の片づけは、意外にラクちん
夜を徹しての食事会後の片付けは大変そうですが、実はお客さんたちが帰る前に、風呂・トイレ・台所など、自分たちが使ったすべての場所を、総出できれいに磨き上げてくれるので、後片付けはラクちんです。ついでに部屋の模様替えをしてくれたり、大きな家具を動かしてくれるといった良いこともたくさんあります。解散は各家庭によって異なりますが、25日の朝に別の家へ行く人もいれば、一旦寝てから昼過ぎに起きてダラダラ飲食し、夕方に帰る人、さらには夕食後に帰る人もいます。