フランスほのぼの暮らし
フランスママに学ぶ「家族旅行」計画の立て方、その行き先
2017年 5月 1日 11:00
フランスでは7月から9月ごろ、子どもは約2カ月間、大人は2~4週間のバカンスを取ります。今回は、フランス人のバカンスの計画の立て方や、行き先をご紹介します。フランスでは、大人のバカンスは労働基準法で決められているので必ず取らなくてはならず、休暇を返上して働く人は皆無です。そしてフランス人のバカンスは、家族で旅行へ出掛ける家族が多くいるのです。
フランスママは、家族旅行の日程調整に悩まない
フランスではバカンスの期間が、幼稚園から高校まで、新年度のスタート時点ですでに決まっています。バカンス中は学校自体が閉鎖されてしまうので、登校日はもちろん、クラブやサークル活動も一切ないのです。さらにバカンス期間中は、両親の勤務先も会社全体が休みに入ります。サービス業の場合、バカンス期間だけの季節労働者を雇うくらい徹底しているので、「自分がいつバカンスをもらえるか分からない」ということはあり得ません。新年に会社から支給される年間カレンダーを見れば、その年のバカンス期間をすぐに把握できるので、ママたちは旅行の日程調整に悩む必要がないのです。
ママの意見は絶対⁉家族旅行の行先は、ママのひと声で決まる
家族旅行の行き先は、どこの家庭でもママが決めます。パパと2人で決める家庭もありますが、子どもたちに決定権などはありません。意見できたとしても、せいぜい「海か山」ぐらいのもの。ママが独裁者の家庭では、その選択権すら与えらない場合もあります。親が行きたい場所へ連れて行かれるだけなので、旅行といえども、あまり喜ばない子どもが多いです。子どもたちはバカンス前になると、A「今年どこ行く?」、B「うちは〇〇だって」、A「好きだね、アンタんちの親」、B「安いし、運転しやすいからね~」といった不毛な会話を、小学校の低学年のころから交わしているのです。
家族旅行は、1週間から2週間程度が一般的
フランス人が家族旅行に出掛ける期間は、ホテル、キャンプ、貸しアパートなどの宿泊先で異なりますが、最低でも1週間から2週間くらいが一般的。しかも、あちこちを観光して回る「駆け足旅行」ではなく、1カ所にじっくり滞在する場合がほとんどです。またフランスには、ペットと一緒に客室に泊まれる場所が多くあるので、犬や猫を連れた旅行も普通です。海や山の近くに親戚が住んでいる場合は、家族や親戚みんなで1週間から2週間ほど滞在し、大勢でバカンスを楽しみます。
祖父母や親戚、犬猫も大集合!大所帯での家族旅行も
夏のバカンスは、子どもから大人までみんなが休めるので、普段は忙しくて会うことができない祖父母や親戚と交流できる絶好の機会です。そのため、現地集合・現地解散の「親族大集合旅行」を毎年楽しんでいる家庭も多いんですよ。生まれたての赤ちゃんも犬猫も、みんなが集合して、親戚の家々を順番に泊まって回ったり、親戚の家から、観光地へ日帰り旅行することもあります。
行き先は定番の宿?それとも毎シーズン新しい旅へ?
夏のバカンスでは、飽きない限りは毎年同じ場所を訪れる人が多いです。毎年、行き先を変える人もいますが、子どもはあまり喜びません。その理由は、フランスの子どもは親が決めた場所へ着いて行くだけで、キャンプへ行っても現地のサークルに参加させられて、親はどこかへ遊びに行ってしまうことが多いのです。国内旅行の場合には、子どもを実家へ預けて親だけで旅行する場合もありますが、意外にも子どもは「一緒に行きたい!」と騒ぐことがありません。フランス人は、子どもにいろいろな体験をさせることよりも、自分たちの行きたい場所へ行き、自分たちが楽しむことを大切にする考え方が根付いているのです。
フランスの企業には、格安旅行の社内販売がある
フランスでは、両親が働く会社の規模によっては、社内で格安旅行の販売があります。家族向けプランのほか、夫婦専用旅行やパスポートなしで行けるEU圏内、海外旅行など、その年によってさまざまな商品が用意されています。7泊8日のものが主流ですが、ほかにも日帰りで行ける動物園やテーマパークなどもあり、子どものいる家庭同士で抽選になるほどの人気です。夫の会社で販売されていた、地元の遊園地の入場料が1割になるチケットなど、幼稚園児や小学生の子どもが喜ぶものもあり、親たちがこぞって家族サービスのために購入していました。
収入が低くても、バカンスを楽しむ方法が用意されている
フランスでは、世帯収入が低くて家族旅行に行けない子どもたちのためのサポート制度も充実しています。例えば、地元の慈善事業団体が、6歳から12歳以下の子どもだけを日帰り旅行や林間学校へ連れて行ってくれるたりするのです。また家族手当で、林間学校の支払いを援助してくれる制度もあるので、経済的に苦しくても、子どもはバカンスを楽しむことができるのです。そして、両親も子どものいない時間を夫婦2人で映画を見に行ったり、友人たちと一緒に大人だけで食事を楽しんだりします。
フランス人は旅行へ行っても自分以外のお土産は買わない
旅行に出掛けたら、ついお土産を買いたくなるのが日本人ですが、フランス人は自分用以外には買わない人がほとんどです。ご当地食材や地酒など、家に帰って楽しめるものは絶対に買いますが、両親や親戚、友人、ご近所、職場の同僚に買う習慣はなく、またお土産をもらう習慣もありません。