あってよかった

ニトリで見つけた、夏のキッチン衛生アイテム

くらしを快適にしてくれるアイテム探しに余念がない住生活ジャーナリスト・ライターの藤原千秋が、注目のショップで買って使ってよかったお気に入りを紹介するコーナーです (店頭では予告なく販売終了となることもあります)
ニトリの「まな板シート(M)」。直販サイトのニトリネット価格は399円

食材のニオイ移りが気にならない「まな板シート(M)」

大人になってこれだけはなかなか変えられないと頭を抱える一つに、身についた衛生観念だけはいかんともしがたいということがある。いわば善悪や正誤でもない、それはもう生理的な感覚で、理屈を超えた何かであるとしかいいようがない。

たとえば筆者は子供の頃から、夕飯の支度で野菜を切った後など、同じまな板でデザート用の果物を切られるのがものすごく嫌だった。まな板は都度水洗いされているとはいえ、微かに残る「前のもの」のニオイがリンゴや柿などから漂う。鼻というか喉の奥でそのニオイを検知してしまうと、筆者はもう食欲をなくすのだ。

そしてそれは、ひどく物悲しくてたまらないことだった。

だから大人になった筆者がやたら「そのへん」に神経質な食事作りをするようになったのは想像に難くない。しかしまな板というもの、「これは野菜用」「これは果物用」などと用途を定めて複数持てるのはある程度広いキッチンの持ち主なのである。そして我が家のキッチンは全部で3畳ほどと、まるで広くない。

思い余って筆者はしばらく長いこと、果物だけは食べる皿の上で切るという荒技を編み出し、それで誤魔化して生きてきた。しかしメロンやスイカに対しては無力だった。皮がまな板に触れている限りはいいが、間違って倒してしまったら最後だった。

この「大物」の果物を切るためだけに大皿を買うべきかという、わりとしょうもない思案を長いこと続けてきたわけだが、そんなのどうでもいい勢にとっては何をいっているのかわからないのではないだろうか。左様、家事のこだわりのいろいろというのは、あまり他人には理解されにくい。いかんともしがたい。善悪や正誤でもない。どうにもならないのだ。

しかし「まな板シート」が、現れた。

「まな板シート」は、ラップやアルミホイルのような形状の筒に収納されているシートでPOE樹脂というものでできている。POEとはポリオレフィンエラストマー。強靭かつ弾力性のある樹脂だ。

このシートを、既存のまな板の上に敷くことで、ニオイ移りせず食材を切ることができる。まな板のニオイを移さないためにも使えるし、この上で肉や魚を切ることでドリップをまな板に移さないことも可能だ。

まな板シート(M)

皿の上で果物を切るのの何がいけないといって、皿も傷むが刃もこぼれることである。しかしまな板、そしてその上に敷くシートの弾力ゆえに、このシートの上で切る分にはあのガチン、ガチンという嫌な音も立たない。当たり前だけど。

最近値下がりして他社類似品より100円お安くなったニトリのまな板シート。お弁当作りなどでとりわけ食材の衛生状態が気になる梅雨から真夏にかけては果物のみならず、生野菜サラダの調理などにも心強く使用できるのではないかと思っている。

「カット式台ふきん」の気兼ねなく捨てられる潔さ

カット式台ふきん。ニトリネット価格279円(ネコ柄の「DH 67P ネコ」)

拭いても、拭いても、拭いても、拭いても……。

水で野菜を洗い、調理器具を洗い、食器を洗いすればびちゃびちゃとそのへん一帯が濡れ、何か茹でればこぼれ、炒めれば飛び散り、拭いてはすすいで、拭いてはすすいでのエンドレス。それが、台所仕事だ。

もうかれこれ「主婦」になって四半世紀が経つ。皆、それくらいやり続けていれば達観、何の苦もなく手を動かし足を動かししていると思っているのだろうと穿ってしまうが、どっこいそんな心境には当方これまでもそしてこれからもなる気がしない。あえていうなら、台所仕事とは、ある種の苦行で、修行だ。

いろいろなもので、この二十余年、拭いてきた。タオル地の台ふきん……すぐ茶色くなり臭う。切り刻んだタオルやTシャツ……裾がほつれて毛が落ちてむかつく。キッチンペーパー……便利だけど大抵薄い。マイクロファイバークロス……吸い取りはいいけどすぐぬめる。

だからこれにもそんなに期待していなかった。ポリエステルとレーヨンが原材料。マイクロファイバークロスよりマイクロではなさそうだし、水の吸い取りがそれほど良いようにも思えない。

しかし使ってみて思った。これは、普通に「布」だと思って使うと「良い」のだ。濡らして台ふきんとして使う。すすいでまた使う。家族のおしぼりとして使う。回収してすすぐ。そうして、そのへんのゆでこぼれ、飛び散り、コンロ周りの、壁の、床の、調理台の、いろいろの、汚れを拭いて、拭いて……。

「ああ、すすぎたくない」と感じた瞬間に、捨てることができる。なまじ本当の「布」では、こうはいかない。心の中の何かが許さない。でもこの台ふきんなら捨てても良いのだ。

食中毒が怖い時期だから、調理台のそこここを、このふきんと消毒用エタノールのタッグで拭きまくっているが、たいへん快適だ。模様は、そっけないライトグレーの波模様のほか、可愛いネコ柄も出ている。

可愛いネコ柄

「使って洗って干して」と、普通の布の台拭きのように使ってもよし、都度使い捨ててもよし。

キッチンだけでなく、ダイニングテーブル拭きやリビングテーブル、デスク、それから床をフローリングワイパーで拭く際にもこのシートは使えてしまうのでぜひ試してみてほしい。

深刻な氷不足の助けに「スティックアイストレー(蓋付)」

スティックアイストレー(蓋付)。ニトリネット価格299円

薄ら寒かった日々は六月半ば過ぎまで続いたのに、突然に手のひらを返したような暑さとなった。

こう暑いと冷凍庫に氷がないと絶望する。氷の消費量がいきなり増えたのを感じる。子供たちの水筒に入れる氷、家人の晩酌の氷、水を飲むときにすらサクっと使いたい氷。バナナとりんごと蜂蜜と牛乳と氷をミキサーで粉砕して作る夏の我が家で人気の飲み物のためにも欠かせない氷。

しかし実は我が家の冷蔵庫はもう15年選手で自動製氷装置が「終わって」しまっており、氷はコンビニで買うか昔なつかし製氷皿でちまちま手製しないといけない……。

というところで導入したニューフェイスがこの「スティックアイストレー(蓋付)」なのである。何が良いって、細いスティック状の氷が作れる。口径の狭い水筒にもピッタリ! 底が柔らかく氷の押し出しも軽い。願わくは子供たちよ、頼むからこちらを愛用して大人の晩酌用の氷は避けてくれ!!!

底を押して氷を取り出せる

ところで、冷蔵庫の自動製氷装置のタンクに入れる水を、ミネラルウォーターや湯ざましにするのは基本ご法度だということは思ったより知られていないようだ。タンク内の衛生状態はカルキ入りの水道水によって担保されているから、ミネラルウォーターや湯ざましでは水垢やカビが生えやすい。しかし「おいしい氷」を求めてついつい良さそうな水を入れてしまいたくなるのも心情的には頷ける。しかし誤りだ。

一方でアイストレー、この製氷皿を使って自分で氷を作る分にはおいしい水、大歓迎なのだ。

おいしい氷を使いたい人はしのごのいわず、アイストレーを使うべきであろう。

きっと、後悔はしないはずだ。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。