パナソニック、電気代を年間4万5千円節約する“オールLED”モデルルーム

~より明るい「光が広がる」LED電球やクリア電球形など

“オールLED”で年間約45,883円の節約効果も

 パナソニックは、照明すべてにLED電球、またはLEDシーリングライトを採用した“オールLED”の戸建てモデルルーム「あかり体感ルーム」を、東京・世田谷に期間限定で開設。26日、報道関係者向けに公開した。

 あかり体感ルームは、家庭で簡単にできる節電法の一つとして注目を集めるLED照明において、色の違いや選び方、使い分けなどを、実際に体感しながら学ぶための施設。世田谷区にある戸建てのハウススタジオに、同社のLED照明シリーズ「EVERLEDS(エバーレッズ)」のLED電球やLEDシーリングライトなど導入。すべての照明を“オールLED”としている。一般の利用はできない。

「あかり体感ルーム」の会場となった、東京・世田谷のハウススタジオ内部の照明は、すべてLEDを使用している
家中の白熱電球・シーリングライトをLEDに変えることで、年間約45,883円の電気代を削減する効果が期待できるという

 同社の試算によると、一般家庭の白熱電球とシーリングライトをLED電球、またはLEDシーリングライトに変えることで、年間で約45,883円の電気代を削減できるという(白熱電球30灯をLED電球30灯に、蛍光灯シーリングライト3台をLEDシーリングライトに交換し、年間点灯時間を2,000時間と仮定した場合)。


光が広がるうえ明るい、新「全方向タイプ」はモデルルーム各所で活躍

モデルルーム内で多く使われていたLED電球が、光が広がるLED電球「EVERLEDS LED電球 11.0W 全方向タイプ」だった

 モデルルーム内で多く設置されていた照明が、9月22日に発売された、光が広がるLED電球「EVERLEDS LED電球 11.0W 全方向タイプ」だった。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は昼光色タイプ、電球色タイプとも3,980円前後。

 同社は光が広がるタイプのLED電球を今春より発売していたが、この新製品は、全光束がより高くなった点が特徴。従来モデルの全光束は、昼光色タイプで485lm、電球色タイプで390lmだったが、今回の新製品では、昼光色タイプが810lm、電球色タイプが640lmとなった。日本電球工業会の基準では、昼光色タイプが白熱電球60W形相当、電球色タイプが白熱電球50W形相当の明るさとなる。

 光を広げる工夫としては、LED電球の内部に、LEDの直線的な光を拡散するパーツ「光拡散リング」が搭載されており、白熱電球と同等の配光角度「300度」が実現できるという。

 モデルルームではこの全方向タイプのLED電球を、浴室、ダイニングテーブルのペンダントライト、書斎の照明として使用していた。なお、パナソニックのLED電球はすべて密閉型器具で使用できる。

本体周囲にLEDを並べ、その光を特殊なリングで反射することで、光を広げている玄関での設置例。明るいうえに、すぐに点灯する利点もある。虫が寄りにくいというメリットも
浴室での設置例。パナソニックのLED電球はすべて密閉型器具に対応している従来の「光が広がる」タイプでは明るさが足りなかった書斎だが、新製品を使用すれば、部屋全体に十分な光が届けられた


クリア電球にボール電球タイプも登場。パナソニック製品で電球の約9割が代替可

10月発売予定のクリア電球20形タイプ LDA4L-C

 モデルルームではまた、10月21日に発売予定の、クリア電球との置き換えを狙ったLED電球「クリア電球20形タイプ LDA4L-C」も使用されていた。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は3,500円前後。

 LDA4L-Cは、電球のカバーに白い塗料が塗られたシリカ電球と異なり、カバーが透明のクリア電球のような、キラキラとした光が特徴のLED電球。シャンデリアやペンダントライトなど、煌き感や高級感を演出したい場合の照明に向くという。消費電力は4.4Wで、全光束は“電球20W相当”という210lm。光色は電球色のみ(2,700K)。

 電球内には、LED電球の中心部が発光する、パナソニック独自の「Center Mount Technology」を採用。LEDモジュールを電球内部の中空にくるよう配置し、基板に透過性のアルミナ基板を採用することで、LEDモジュールの下方向へ光が放たれる構造となっっている。同社によれば、LEDチップは上下に発光しているものの、LEDモジュールの基板に光を透過しないセラミック基板が採用されている多いため、上方向にしか光っていないように見えるという。

 このクリア電球タイプのLED電球は、煌き感を演出するため、ダイニングテーブルのペンダントライトに設置された。また、一般的なLED電球よりも影を強く出し、部屋の陰影を演出するために、寝室のスタンドライトにも使用されていた。

クリア電球は、電球のグローブが透明で、きらめき感を出したい場合の照明として使われる電球中央に、クリア電球のようなフィラメントが見えるが、これがLEDモジュール通常のLED電球では、平面にモジュールを配置するが、このクリア電球形では電球の中空にモジュールを配置している
クリア電球型のモジュール上部モジュールを下から見たところ。基板を透明にすることで、下方向へ光を広げている実はLEDは下面へ発光するという。一般的なLED電球の場合、基板がセラミックのため、下面に光が放たれなかった
ダイニングキッチンのペンダントライトに使用しているところ(写真右)。中央は光が広がるタイプで、左が通常モデルのLED電球。影の写り方がそれぞれ異なっているスタンドライトに使えば、壁に映る影をはっきりと際立たせられる

 洗面所には、9月22日発売のボール電球タイプが設置されていた。9月22日に発売済みで、店頭予想価格は昼光色、電球色とも4,980円前後。

 光の配光角度が210度と広いLED電球。全光束は昼光色タイプで735lmと、ボール形白熱電球60形相当の明るさを備えているという。電球色タイプは535lmで、50形相当。洗面所に設置することで、洗濯物の汚れや化粧を確認する際に向くという。

ボール電球タイプも発売されたモデルルームでは、洗面所に設置されていた

 同社では、E26口金の白熱電球の市場構成比をシリカ電球70%、ボール電球11%、クリア電球10%としており、今回発売する新製品を含めると、白熱電球の約9割がパナソニックのLED電球でカバーできるとしている。


角形と丸形から選べる、調光・調色対応のLEDシーリングライト。個室照明にも

 部屋の全体照明には、既に発売中の“角形”LEDシーリングライトの「HH-LC700A」のほか、11月に発売する“丸形”の「HH-LC730A」も使われていた。

 角形タイプは12畳、および10畳用が用意されるが、丸形タイプでは小さい部屋向けに、8畳用も用意される。モデルルームでは、広いリビングには12畳向けの角形タイプが、7畳の個室には丸形タイプが備えられていた。丸形でも、角形と同様、調色・調光機能や、部屋の明るさに応じて自動調光、節電する「エコナビ」機能が、一部の機種で搭載されている。

 丸形LEDシーリングライトの店頭予想価格は33,000円から50,000円前後。 丸形タイプは、ユーザーからの要望が強かったという。

リビングには“角形”LEDシーリングライトの「HH-LC700A」が設置されていたリモコン操作で簡単に、シチュエーションごとの明かりが演出できる点が特徴となる(写真下は「くつろぎ」の場面の明かり)
丸形のLEDシーリングライトも設置された。写真は7畳の部屋に8畳タイプを使っている丸形も角形同様、リモコン操作で色温度などが変えられる。ただし、角形で搭載されている間接光はない

 すべての照明をLEDとしたモデルルームだったが、“暗い”や“光にクセがある”といったマイナス要素はほとんど見られず、従来光源とまったく変わらない印象だった。またシーリングライトでは調光・調色ができるなどLEDならではの機能も多く、LEDは省エネだけでなく便利さにおいても、従来光源より有利に感じられた。

廊下のダウンライトには「斜め口金」専用のLED電球を使用しているキッチンでは直管型蛍光灯も設置されていた

LED電球の消費電力量の少なさを示す実演。LED電球なら、自転車形の発電機を少し漕ぐだけで点灯するが、白熱電球は一生懸命漕いでもほとんど点灯しない

パルックボールが11年掛かった1,000万個出荷を、LED電球は2年で実現

 パナソニックによると、LED電球の2011年の市場規模は、2010年の1,040万個の約2倍となる2,000万個に伸びているという。しかし、日本全国の家庭には約3億個もの口金があり、累計の売上は3,000万台と、まだその1割が埋まった程度でしかないため、今後もさならる需要の膨大が見込めるという。

 また、LED電球の販売数は東日本大震災後に急伸しており、需要が落ち着いた8月でも、タイ前年比で2倍となっている。今秋には、2009年秋の発売から約2年で累計1,000万個の出荷を記録する見込みとのこと。なお、同社の電球型蛍光灯「パルックボール」が累計1,000万個の出荷を達成するには、発売開始から約11年も掛かったという。

LED電球の需要動向。2011年は対前年で約2倍となる予想だが、それでもまだまだ需要の膨大が見込めるという2011年は、東日本大震災の影響で需要が急伸した電球型蛍光灯「パルックボール」が11年掛けて1,000万個出荷を達成したのに対し、LED電球は2年で1,000万個出荷を実現したという





(正藤 慶一)

2011年9月27日 00:00