長期レビュー
パナソニック「LEDシーリングライト HH-LC600A」
■パナソニックのLEDシーリングは、リビングのさまざまなシーンが演出できる
パナソニック「LEDシーリングライト HH-LC600A」 10畳用で、受注生産品となる。12畳用の「HH-LC700A」は量販店の店頭でも販売されている |
広いリビングルームやダイニングキッチンなど、生活空間の照明として特にポピュラーなのが、天井に直接取り付けられるシーリングライトだ。一台で部屋の隅々まで明るく照らせるメイン照明器具として、ほとんどの家で導入されているだろう。
これまでのシーリングライトは、光源に蛍光灯を採用するものが多かった。しかし最近では、オールLEDのシーリングライトが、家電量販店の売り場の多くを占めるようになってきた。去年まではごく限られた製品しかなかったが、今年に入って、大手メーカーが続々とLEDシーリングライトを投入し始めたのだ。
当レビューでも何回かLEDシーリングライトを紹介してきたが、今回はパナソニックから発売された、「LEDシーリングライトHH-LC600A 調色タイプ」を紹介しよう。
メーカー | パナソニック |
製品名 | EVERLEDS (エバーレッズ) LEDシーリングライト |
品番 | HH-LC600A(受注生産品) |
希望小売価格 | オープン価格 |
購入価格 | 55,500円 |
リビングルームの過ごし方に合わせて、リモコンのボタンひとつであかりの質が大きく変化できる |
レビューに入る前に、まず約1カ月ほど使った感想を述べると、「こんなシーリングライト、今まで無かったッ!!」である。これは、LEDシーリングライトではもはや標準装備といえる「調光・調色」に加え、配光を切り替えて、さまざまなシチュエーションに合わせて明かりが選択できる点が大きい。
この配光の切り替え機能は、さまざまな過ごし方をするリビングルームにピッタリだ。リビングでは、家族や友人とワイワイ過ごす、本や新聞をじっくり読む、ゆったりと静かにくつろぐ、飲食をする、集中して映画やテレビを観賞する、うたた寝をする……など、「静」と「動」のシーンが混在している。しかし、このシーリングライトは、配光を切り替えることで、それぞれのシーンに適したあかりが演出できるのだ。この点で、全く新しいタイプのシーリングライトと言えるだろう。
もう1つの大きな特徴として、消灯までしてくれる自動省エネ機能「エコナビ」が挙げられる。外光の変化を感知して自動で調光してくれるのはもちろん、部屋に十分な外光が入っている場合は、自動で完全に消灯し、無駄な電力を極力抑えてくれるのだ。
このLEDシーリングライトは、機能満載なうえ、内容が多岐にわたるため、3回に分けてお届けする。初回は「取り付けから点灯、シーンごとの配光の特徴」、2回目は「各配光における連続調光・調色と消費電力」、3回目に「明るさを自動で調光・消灯する『エコナビ』とその他の機能と特徴」と、それぞれを詳しく追ってゆきたい。
■取り付けは従来のシーリングライトと同じ
まずは、このシーリングライトの基本的なところから見ていこう。サイズは500×500×99mm(幅×奥行×高さ)で、重さは5kg。パッと見では、従来の蛍光灯の器具と大きな違いを感じないので、蛍光灯のシーリングライトと取り替えても、見た目では違和感のない仕上げになっている。
取り付けは、天井に引掛シーリング(天井用配線器具)があれば工事は不要。最初は、付属のアダプターを引掛シーリングに装着し、本体を押し上げて取り付ける。次に、器具の中央から出ているコネクターをアダプターに差し込み、接合部を付属のふたで塞ぐ。最後にカバーのバネを本体の金具に引っ掛け、カバーを持ち上げてレバーで固定すれば完了だ。
開梱した様子。中央の大きな正方形のパーツが本体(右)、樹脂製の本体カバー。その下にあるのはパーツで、右から引掛けシーリング用のアダプター、アダプター用ふた、リモコン、リモコンホルダー | 取り付け手順を順を追って紹介しよう。【1】天井にある引掛けシーリング用に、付属のアダプターをはめ込む |
【2】本体をアダプターに合わせて、押し上げるようにして取り付ける。テレビのある部屋なら、センサー部をテレビに向けるようにする | 【3】本体中心から出ているコネクターを、アダプターに“カチッ”という音がするまでまっすぐ差し込む |
【4】アダプター用ふたを取り付け、本体とアダプターの接合部をカバーする | 【5】ここでカバーを本体に取り付ける。カバーについているバネをつまんで、本体の金具に一カ所ずつひっかける | 【6】その後、バネを金具に取り付ければ、手を離しても大丈夫。バネは万が一の落下防止にもなっている |
【7】カバーを持ち上げ水平にした状態で、本体の枠に合わせて押し上げ、2つのレバーで固定する | 【8】これで完成。サイズは500×500×99mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は5kg。本体とカバーの間に隙間はできないため、器具内部に虫や埃が入ることはない |
取り付けの際に考慮する点は、この器具は「シアターのあかり」という、テレビで映画を見るためのモードがあるので、センサー部をテレビに向けて設置する必要がある。テレビが無いならば、取り付け方向は自由だ。
私の場合、過去のレビューで何度もシーリングライトの着脱をやったことがあるため、取り付けは数分で終わるほど簡単だった。しかし、上を向きながらカバーのバネを取り付けたり、カバーを支えながらレバーで固定したりなどの作業は、不慣れな人は手こずるかもしれないと感じた。
ただし、本製品のLEDの寿命は40,000時間と長いため、蛍光灯のシーリングライトのように、蛍光管を交換する必要はない。また、内部には小さな虫でさえ入りにくい構造になっている。一度取り付ければ、その後の開け閉めは滅多にないだろう。
■具体的な表示、デザイン的にボタンが整理されているリモコン
光色・明るさ・配光など、あかりのコントロールはすべて付属のリモコンで行なう |
設置が終わったら、次は使い方を紹介しよう。付属のリモコンを使って操作するが、このリモコン、とても使いやすくて気に入った。
さすがに多機能のシーリングライトだけに、器具の点灯/消灯ボタン、配光の選択ボタン、明るさや光色のコントロールなど、ボタンの数は少なくはない。しかし、1つ1つのボタンに「白い色」「暖かい色」「くつろぎ」「るすばん」など、具体的な目的が明記されているため、迷うことはない。ボタンの配置も、スッキリと整理されたデザインになっている。しかも、立てて置けるし、イザという時に便利な手元灯の機能まで付いているスグレモノだ。
点灯・消灯・調整に関するボタンが中央に配置されている。ボタンには目的が明記されているので、初めてでも迷わず、すぐに使えるだろう | LED手元灯としても使えるので、イザという時の懐中電灯の代わりにもなる。ボタンを押している間だけ点灯する。ボタンは蓄光タイプなので、暗闇でもわかりやすい |
使用する前に「環境設定」をする必要があるが、簡単だ。リモコンの「普段」のボタンを押したあと、器具から2m以上離れ、リモコンのフタの内側にある「環境設定」ボタンを押すだけ。時刻設定もここで行なう |
さて、器具を取り付けた後には、必ずしておくべきことがある。それが、「環境設定」だ。環境設定とは、部屋に適した明るさを調整・消灯を自動で行なう「エコナビ」機能を正常に使うため、部屋の環境をセンサーに登録する必須の作業となる。一度設定しておけば、外光や他の照明器具の光を感知して、自動で効果的に節電をしてくれる。
この環境設定はとても簡単だ。外光の無い夜間、リモコンの中央にある「普段」ボタンを押して、器具を点灯する。次に、器具から2m以上離れ、リモコンの下部のフタを開け、緑色の「環境設定ボタン」を押す。設定はこれだけで終了。それ以外のボタンに触れる必要は無く、20秒以内で終わってしまうあっけないものだった。設定は主電源を切っても記憶され、家具のレイアウト、カーテンやじゅうたんなどを変えない限り、再設定はいらない。
■直接光と間接光を組み合わせた、ドラマチックな配光の変化が新しい!
準備が終わり、まず「普段モード・白色・明るさ100%」で点灯してみたところ、とても明るい。それまで使っていた蛍光灯のシーリングライト(消費電力は95W)は、光源から真下約2mの明るさは300lx弱だったのに対し、本製品は414lxと、はっきりと差が感じられるほど明るい。消費電力については次回で詳しく述べるが、この時は83Wと、蛍光灯より10W以上も低かったのだ。
「普段のあかり」で、光色は「白い色」・明るさ100%時の様子。画面のテーブル上の明るさは410lxを超えた(光源からの距離は約2m)。天井付近も含め、部屋全体が隅々まで明るい | こちらはこれまで我が家で使っていた、消費電力が95Wの蛍光灯シーリングライト。テーブル面の明るさは300lx弱だった |
(左上から時計回りで)普段のあかり、くつろぎのあかり、シアターのあかり、勉強のあかりとなる。光色や明るさ、配光はボタンを押すだけで簡単に切り替えられる |
次に、リモコン中央でドーナツ状に並んだ「普段」「くつろぎ」「シアター」「勉強」の4つのシーンボタンを次々と押してみると、配光、光色、明るさが大きく変わり、器具の表情も一変する。器具を真横からみてみると、天井と器具の隙間も光っているのがわかる。また、器具の真下方向は十分明るいのに、直視してもさほど眩しさを感じない。
明るさや光色を調節できるLEDシーリングライトはこれまでも紹介してきたが、このように配光まで大きく変化するシーリングライトは初めてだ。
このシーンごとの配光は、どのような仕組みとなっているのか。ここで、シーリングライトのカバーを取り外すと、本体内部に向かい合った2本のLEDユニットが配置されており、それぞれに白色と電球色のチップが交互に並べられている。直視すると非常に眩しいが、カバーで覆われていると、光源部は隠れ、器具内で反射した光がカバーを通って、器具の下方を明るく、そして柔らかく照らすというわけだ。
本体をほぼ真横から見る。LEDシーリングライトは薄いものが多いが、本製品は意外と分厚い。これは「間接光」専用のLEDユニットがあるためだ | 発光面はLEDにありがちなツブツブ感がなく、肉眼ではほとんど光ムラは気にならない。全面発光が実現していると言って良いだろう |
カバーをはずしたところ。本体内部には2本のLEDユニットが向かい合うように配置されている。器具内で反射した光がカバーを通って、器具の下方を明るく、柔らかく照らすというわけだ | LEDユニットには、白色と電球色のLEDチップが交互に配置されている。左から白色、混色、電球色の場合 |
一方、器具の裏側(天井側)には、独立した「間接光」専用のLEDユニットが4つある。こちらは天井付近を照らし、天井からの柔らかな反射光を作り出すものだ。LEDチップは直接見えないが、やはり白色と電球色のLEDが並べてあるようだ。天井に取り付けられている状態だと、奥まったところにあるため直接目に触れにくい。
改めて、それぞれのモードを点灯してみると、「普段」と「勉強」は上下とも点灯し、「くつろぎ」は間接光のみとなる。そして「シアター」は間接光の1つだけが点灯し、他はすべて消えてしまう……というふうに、シーンごとに直接光と間接光の組み合わせが変わる。
「普段」「勉強」モード時は、直接光と間接光がともに点灯する。「勉強」モードは白色100%の直接光と間接光に電球色が10%追加され、さらに明るくなる | 「くつろぎ」モード時の組み合わせ。直接光は消灯する一方、天井付近の間接光は点灯。天井面を照らし、その反射光だけで部屋を照らす | 「シアター」モードは、間接光の一箇所を残してほかはすべて消えてしまう。この光で、テレビが置かれている壁面だけを照らすのだ |
今回はここまで。来週はさらに詳しい使い勝手と消費電力を中心にレポートする予定なので、どうぞ次回もお楽しみに!
2011年9月5日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)