日立、ドラムの裏側まで洗えるドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」
右から「ビッグドラム BD-9400」2機種、本体幅60cmの「ビッグドラム スリム BD-S7400」3機種 |
日立アプライアンスは、洗濯槽の裏側に付着した汚れを洗い流す機能を搭載したドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム BD-9400」と、本体幅60cmの「ビッグドラム スリム BD-S7400」を10月22日より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格はBD-9400が30万円前後、BD-S7400が28万円前後。それぞれ右開き、左開きモデルが用意される。
日立のドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」は、直径の大きなドラムを搭載することで、大きな落差による洗浄力と、高速風によるシワの少ない乾燥仕上がりが特徴。新モデルでは、従来のコンセプトをそのままに、省エネ性と清潔性に配慮したハイエンドモデルのほかに、本体幅を60cmとしたスリムタイプをラインナップに追加した。
■洗濯槽まできれいにする「自動おそうじ」機能を搭載
ハイエンドモデルのBD-9400は、洗濯容量10kg、乾燥容量6kgのドラム式洗濯乾燥機。新製品では、洗濯槽の裏側に付着した汚れを洗い流す「自動おそうじ機能」を新たに追加したほか、省エネ性に優れた新たな洗濯~乾燥コースを搭載した。
「ビッグドラム BD-9400」左からシャンパンとパールホワイト | 扉を開けたところ | ドラム内 |
本体側面 | 本体パネル | 大きなドラムを採用することで、落差を利用して汚れをしっかり落とす |
洗濯のたびに自動で洗濯槽の裏側まで掃除する「自動おそうじ」機能 |
同社によると、洗濯機の洗濯槽は、使い続けるうちに皮脂や洗剤カスの汚れが付着するという。BD-9400では、水道水を用いて、ドラム槽の前カバー、ドラム槽の内側、ドラム槽の外側に設けられているカバーを洗う「自動おそうじ機能」を搭載。自動おそうじ機能は、洗濯工程の最終すすぎの際にドラムを高速回転させながら、本体上部に設けた16カ所のノズルから水道水をシャワー状にして放出、水をドラム槽底部に貯めることで、ドラムの外側とドラム外槽の内側の汚れも落とすという。
自動おそうじ機能に使用する水は1回9Lで、電気代を含めたランニングコストは1回2.5円。出荷時はオフとなっているが、本体に設けられているボタンを一度押すと、その後は自動で洗濯の度に動作する仕様となっている。
同機能は、6月に発表した同社の縦型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ」に搭載しており、好評だったため、ビッグドラムへの搭載を決めたという。
洗濯槽の裏側や外側は使い続けることで、水垢や洗剤カスが溜まっていくという。写真は900回使った場合の汚れ | ドラム槽の上からシャワーを注ぎこみ、ドラムを高速回転させることで、ドラム槽の外側などを掃除する | ドラム槽の外側を水が高速で回る |
省エネ性では、ヒーターを使わずに洗濯~乾燥工程を行なう「ヒーターレス節電乾燥」を新たに搭載した。ビッグドラムの乾燥工程では、本体運転時に発生する熱を回収して乾燥時の温風に再利用する「ヒートリサイクル乾燥」方式と、時速約300kmの高速風によって衣類のシワを伸ばしながら乾燥させる「風アイロン方式」を、従来より採用。ヒーターレス節電乾燥では、この2つの機能を組み合わせることで、ヒーターを使わずに衣類を乾燥する。
同社によると、ヒートリサイクル乾燥方式によって得た熱と時速300kmの高速風を組み合わせることで、ヒーターなしでも十分に衣類を乾かすことができるという。洗濯~乾燥6kg工程の場合の目安時間は標準コース165分に比べ約75分長い約240分となるものの、消費電力量は標準コースより約40Wh少ない850Whで、工程中の最大消費電力は490Wで、標準コースの1,300Wから大幅に低減している。
本体運転時に発生する熱を回収して乾燥時の温風に再利用する「ヒートリサイクル乾燥」と、時速約300kmの高速風によって衣類のシワを伸ばしながら乾燥させる「風アイロン方式」を組み合わせることで、ヒーターなしで乾燥工程を行なうという | 会場では風だけによる乾燥実験を行なった。高速の風をハンカチの一部だけに当てる | 数十秒でハンカチの風を当てていた部分が乾いた |
洗浄方式では、洗浄液をドラムの高い位置から幅の広いシャワー状で噴出する「循環ワイドシャワー」を新たに搭載。従来は、洗浄液を左右から2本のシャワーで噴出していたが、シャワーを1本にすることで、従来より洗剤液の幅が広くなり、使用水量も少なくなったという。
また、3D加速度センサーと布量センサー、回転数センサーで衣類の質や量を検知し、最適なドラム回転速度をコントロールする機能を従来機より継承するほか、センサー検知により洗濯時間や使用水量、洗剤量などを調整する「[eco]水センサー」も搭載する。
[eco]水センサーは、布量や布質だけでなく、使用する水の硬度や水温にも着目した点が特徴で、新製品ではさらに、すすぎ具合や脱水具合も検知する機能を搭載した。これはすすぎ工程の水の汚れ具合や脱水工程における水分量を検知し、自動で運転時間を短縮するというもので、最大約7%のランニングコストを節約できるという。
センサーでドラムの回転速度をコントロールする機能を搭載 | 洗浄シャワーは従来の2本から1本に変更した。幅を広くすることで、洗浄性能がアップしたという | 水の硬度や水温、すすぎ工程や脱水工程も検知する[eco]水センサー機能を搭載 |
ビッグドラム BD-9400の本体サイズは735×620×1,060mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約89kg。洗濯~乾燥6kgの消費電力量は890Wh。本体カラーはシャンパン、パールホワイト。
■幅60cmのビッグドラム スリム
「ビッグドラム スリム BD-S7400」右からシャンパン、パールホワイト、メタリックブラック |
今回から新たにラインナップに追加した、洗濯容量9kg、乾燥量量6kgの「ビッグドラム スリム BD-S7400」は、ドラムの容積を約75Lとしている点が特徴。同社によると、従来のビッグドラムは機能面が評価しているものの、設置スペースが問題となって、購入をあきらめた人が多いという。ビッグドラム スリムでは、ドラム直径を約53cmと小さくしたものの、奥行きを約39mと深くすることで、ドラム容積を約75Lとした。
これは、2006年に発売した初代ビッグドラムの容積と同等であり、同社では洗浄力や乾燥能力といったビッグドラムの持ち味を活かしたモデルだとする。基本機能はBD-9400と同等で、お掃除機能やヒーターレス節電乾燥機能なども搭載する。
洗濯~乾燥6kgの消費電力量は930Whで、ビッグドラム BD-9400の890Whより少し大きい。
扉を開いたところ | 操作パネル | 本体側面 |
幅約53cm、奥行き約39cmのドラムを採用する | 上位機種のドラムと比べたところ | 幅は小さくとも容積が大きいので、ビッグドラムの持ち味である洗浄力やシワの少ない乾燥方法は受け継いでいるという |
乾燥機能の比較。真ん中がビッグドラム スリム、左がビッグドラム、右が風アイロン機能がないドラム式洗濯乾燥機で乾かした場合 | ビッグドラム スリムで乾かした衣類はシワが少ない |
使い勝手の面では、本体上部から投入できる洗剤投入口や、本体上部から取り出せる乾燥フィルターなどを採用する。
洗剤は本体上部から投入する。ケースは取り外し可能で手入れも簡単にできる | 乾燥フィルターも上から取り出す |
本体サイズは、600×715×1,050mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約83kg。排水パイプなどを含めた本体幅は630mm。本体カラーはシャンパン、パールホワイト、メタリックブラック。
また、下位機種として乾燥機能の一部が省略されており、液晶パネルの仕様などが異なる「BD-5400」を同時発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は26万円前後。
日立アプライアンス 常務取締役 家電事業部長の石井吉太郎氏 |
日立アプライアンス 常務取締役 家電事業部長の石井吉太郎氏は、今回ラインナップに加えたビッグドラム スリムについて「長年の懸案事項であったスリム化をやっと実現できた。ただ、スリムにすればいいというわけではなく、日立のビッグドラムらしさを再現できた製品」と自信を見せた。またネーミングについては「あえてビッグドラム スリムとしたのは、内容積が他社のドラムよりも大きいから。容積の大きいビッグドラムならではの機能も搭載している」と話した。
(阿部 夏子)
2011年9月28日 17:25