三洋、5月8日を“GOPANの日”とするイベントを開催
■5月8日はGOPANの日
5月8日、三洋電機は、ライスブレッドクッカー「GOPAN」購入者のコミュニケーションを促進する「GOPAN FAN Meeting」を開催した。
GOPANのFAN Meetingは2月に開催されたものに続く2回目。GOPANは、発売当初予想を上回る注文が殺到したため、一時注文を見合わせていたが、4月27日より販売を再開。GOPANと、ゴロがあう5月8日を「GOPANの日」と制定し、今回のイベントを開催した。
当日は、家族連れを中心とした約30人の利用者が集まり、米消費拡大を目指し「GOPAN購入補助金」を議決した、福島県河沼郡湯川村の大塚節雄村長と、GOPANを使ったレシピ本「GOPANでつくるごちそうお米パン」を刊行した料理研究家の鈴木あさみさんを迎え、GOPANによる米の消費拡大、地産地消に貢献をアピールした。
今回のFAN Meetingに参加した料理研究家の鈴木あさみさん(左)と、湯川村 大塚節雄村長(右) | 休日開催のFAN Meetingということで、家族での参加者が目立った | 参加者にパンが配布されると、子供達もパンをほおばっていた |
今回の参加者は、GOPANが販売休止される前に製品を入手した、熱心なGOPANのファンばかり。冒頭に行なわれた参加者の自己紹介では、週に2、3回利用するという声が多かったが、中には「ほぼ毎日、1日に2~3回とGOPANを利用している」という愛用者もいた。
三洋電機株式会社 マーケティング本部 課長 古長 亮二 氏 |
三洋電機 マーケティング本部 古長亮二課長は、「昨年11月に発売されたばかりのヨチヨチ歩きを始めたばかりの商品。欠点もある子供だが、パナソニックグループとしては丁寧に、大切にこのブランドを育てていきたいと考えている。そこで利用者の皆様にリアルにお目にかかって、生の声を頂きたいということで今回のFAN Meetingを開催させて頂くことになった」とし、利用者とコミュニケーションを取っていくことが今回の開催の狙いと話した。
GOPANはお米を使ってパンを作ることができることが最大の特徴となっているが、日本の農業就労者の平均年齢は66歳と高齢化が進んでいる。さらに、3月11日の東北大震災により、日本の米生産量の2割を占める東北地方が被災。その影響も懸念されている。
古長亮二課長は、このような現状を受け、「お米を食べることが日本の農業支援の第一歩であることは間違いないが、これまで通りの食べ方だけではなく、ライフスタイルにあった米消費の提案を行なうことも重要。生産者への感謝と、米作りにあった日本の環境への感謝、さらにお米を食べて日本の農業を支援していくんだということを忘れないようにしたい」と話した。
■安全な米作りで風評被害に負けない
福島県河沼郡湯川村 村長 大塚節雄 氏 |
米の生産地である福島県河沼郡湯川村の大塚節雄村長は、「湯川村は会津若松市と、ラーメンで有名な喜多方の中間に位置する村で、山が全くなく真っ平らで、村のほぼ全体が水田という環境にある。米は生産調整が進められ、さらに価格が下がり、現在ではほぼ45年前と同等の価格にまで落ち込んでいる。何とかして米の消費量を増やしていかなければならないと考えていたところ、三洋のGOPANを知って、これまでと同じようにご飯を食べるだけではない、米消費に繋がる可能性を感じた。試作機をお借りし、試食したところこれはおいしい! ということで、村としてこの商品を活用していくことになった」とGOPANに米消費の新しい可能性を感じたことを紹介した。
湯川村ではGOPANを購入する村民に、約半額を補助金として提供する制度を決定している。実際に米農家といっても、「湯川村は、兼業が多いことから、朝ご飯は手軽なパン食で済ませる家庭が約8割を占める。自分達の米で作ったパンを食べられるので、GOPANは村民からも好評を得ている。米の消費量を増やしていくことは、我々の村だけの問題ではなく、日本全体の問題だと認識している」と、大塚村長も新しい米消費に意欲的だ。
一方、福島原発の問題による風評被害も深刻だ。大塚村長は、「現在販売している米は昨年10月に収穫したもので、その後は蔵で厳重に保管したもの。放射能被害は一切ない。さらに、湯川村は原発があるところから距離があるので放射能被害はない。米作りにおいても、安心して食べられる米を作るということで、なるべく農薬を使わずに米を作る努力を続けている」と安全な米作りを続けていることを強調した。
■オリジナルトッピングなど米パンならではの楽しみも
会場では、湯川村の会津湯川米を使ったノーマルな米パン、黒米を使った黒米パン、砂糖の代わりにメープルシロップを使った砂糖不使用のメープルバターパンの3種類のパン、さらにトッピングとしてクリームチーズとゆかりを使ったディップ、湯川村の味噌とクルミを使ったディップの試食が行なわれた。いずれも、料理研究家の鈴木あさみさんのレシピによるもの。
今回配布されたのは、湯川村の米を使った鈴木さんのレシピによるノーマルなお米パン、黒米パン、メイプルバターブレッドの三種類 | 鈴木さんレシピによるクリームチーズと、ご飯のふりかけとして利用することが多いゆかりを混ぜたトッピング | 湯川村の味噌を使った鈴木さんレシピによる味噌とクルミのトッピング |
料理研究家の鈴木あさみさんと、著書の「GOPANでつくるごちそうお米パン」 |
鈴木さんは、GOPANを使ったレシピ本「GOPANでつくるごちそうお米パン」の著者で、一般社団法人ファームマエストロ協会の代表も務める。家庭菜園などを活用した安全な農産物作成にも取り組んでおり、レシピ本作製に当たっては、100種類以上のレシピを試したという。会場からは、「健康を考えて、バターを使わないレシピは?」といった質問も飛び、「本の中ではベーグルのように油脂分を使わないレシピも紹介しているので、是非、参考にして欲してください」といったやり取りが行なわれた。
また、「作りたてのパンがキレイに切れない」、「パン釜にくっついて、パンがキレイに取り出せない」といったGOPAN利用者ならではの質問も出た。パンをキレイに切るコツとしては、「焼き上がったパンは、すぐに取り出す必要があるが、30分程度置いて、普通の包丁ではなく、パン切りナイフを使って切るとキレイにスライスできる。パン釜については、利用する前に薄くオリーブオイルやバターなどを塗っておくと、キレイに取り出すことが出来る」というGOPANを使い込んだ料理研究家ならではのコツが披露された。
利用者から「作るのに時間がかかる」、「作った際、つぶつぶ感が残りすぎる」といった感想が寄せられた黒米や玄米を使ったパン作りについても、「調理前に、黒米や玄米を大さじ2の水を掛けて電子レンジで1分半かけて加熱すると、つぶつぶ感が残りにくくなる」という方法が紹介された。
トッピングについても、「生クリームを冷やしながら泡立て続け、塩を加えたオリジナルバターを作ると、市販品とは全く異なるフレッシュな味わいで、家庭ならではのおいしさになります」といったアドバイスも。
参加者からも、納豆と明太子、しらすを載せるといった和風トッピングや、アボカドを使ったトッピングなどお米パンに合ったトッピングを研究しているという声が挙がった。
参加者による質疑応答コーナーも設けられた |
■購入者の88%が満足と回答
三洋の利用者アンケートによると、GOPAN購入者の88%が満足していると回答、76.3%の人が購入後は生活に変化があったと答えているという。
小麦アレルギーを持った子供の家族からは、「みんなと同じパンを食べることが出来るようになり、子供が喜んでいる」という声もあるという。
その一方で、ミルの音とのうるささ、焼きたてパンが取り出しにくいという声や、小麦グルテンの入手が難しいといった声もある。
三洋電機はこうした声に対し、「使いにくい部分や不満がある部分に対しても、使っていらっしゃる皆さんがうまく使いこなして頂いていると感じている。皆様から寄せて頂いたご意見は、開発チームにフィードバックし、少しずつ改善を進めていきたい」とGOPANの完成度を高めていく意向であることを利用者向けにアピールした。
アンテナショップに偶然、菅直人総理大臣が来店し、会津湯川米で作られたGOPAN特製パンを味わうという思わぬハプニングも |
なお、FAN Meetingが行なわれた会場は、東京駅前の福島県のアンテナショップがあるビルだった。当日、偶然そこに菅直人総理大臣が訪れ、会津湯川米で作ったお米パンを菅総理が試食するというサプライズイベントもあった。
JR東京駅前にある福島県のアンテナショップ | 湯川村村民による米のアピールも行なわれていた |
(三浦 優子)
2011年5月9日 12:40