三洋電機、“世界初”の2Way操作を搭載したIHクッキングヒーター

 三洋電機は、世界初で初めて、「スマートつまみ操作」と「ガラスタッチ」の2Way操作方式を実現したIHクッキングヒーター「200V ビルトインIHクッキングヒーター」6機種を発表した。また、オール電化による生活提案について、IHクッキングヒーター、エコキュート、太陽電池の3商品を中心とした取り組みについて説明した。

 価格は、トッププレートの幅が75cmのJIC-B73ASが33万1,800円。レンジフード連動型が33万6,000円。幅60cmのJIC-B63ASおよびJIC-B63ASKが31万800円。レンジフード連動型は31万5,000円。75cm幅モデルはシルバーのみ、60cm幅モデルはシルバーとブラックが選択できる。

トッププレート幅が75cmのJIC-B73AS幅60cmのJIC-B63ASK

 三洋電機は、1999年にビルトインIHクッキングヒーターを発売。オール電化住宅の普及、拡大にあわせて、安全性、快適性、経済性の観点からIHクッキングヒーターの販売拡大を狙っている。同社では、「オール電化は、すべて自社技術と製品で提案できる強みが発揮する分野」と位置づけている。

 三洋電機が8月1日から新たに発売する200V ビルトインIHクッキングヒーターは、デジタル操作が苦手な人にも安心して利用してもらえるように、一般的に採用されている静電方式のガラスタッチに加えて、直感的な操作が可能なスマートつまみを採用。火力調節やタイマー設定などをつみまを回すだけで行なえるようにした。火力調節は30段階に調節が可能。

 同社の調べによると、IHクッキングヒーターのユーザーの約75%の人がダイヤル式の方が使いやすいと回答。「いままでダイヤルに慣れているので」、「細かい火加減の調節がしやすい」、「タッチ式は押した感じがわかりなくい」などの声が挙がっていた。

三洋電機コマーシャルカンパニーコールドチェーン事業部技術企画部企画課・松村浩志課長

 「IHクッキングヒーターのメリットの1つに、天面部がフラットで掃除がしやすいという点がある。そこで、つまみを磁石を利用した取り外し方式とした。ガス機器に慣れている人はどうしてもつまみの方が使いやすいという傾向がある。また高齢者を中心に、パネルによるデジタル操作が苦手な人にもいる。こうした方々に簡単な操作で利用してもらえるように、つまみを採用した」(三洋電機コマーシャルカンパニーコールドチェーン事業部技術企画部企画課・松村浩志課長)という。


新たに採用したスマートつまみ。指先で回しやすいように上部にへこみを施した横からみると上半分が大きくなっている

 つまみは、取り外せば、加熱が停止するようになっており、「吹きこぼれの場合など、慌ててしまい操作がわからなくなってしまった場合には、つまみを取り外せばいい」という安心設計となっているのも特徴だ。

スマートつまみの操作の実例

 「つまみの形状は、10種類以上を試作した。上部を大きくすることで外しやすくし、指先で回転させやすいように内部をへこませた。また、ステンレスでは、誤ってヒーター部につまみを置いてしまった場合には熱くなってしまうことから、材質をアルミとした」などとして、つまみにも工夫を凝らしている。

 つまみ側には、磁石と磁器誘導金具を組み込み、トッププレート側には、磁石と3個の磁気センサーを使用。これにより、細かい火力調節ができるようになっている。

 また、音声ガイドの機能を強化。火力やタイマー設定時間を、液晶部の表示と音声で通知。カンガルーポケット部の液晶に「説明」の表示がある場合に説明キーを押すと、使い方やトラブル内容、機能説明など、そのときに応じたガイドが行なわれる。カンガルーポケットのボタンは、表示部に凹凸をつけてわかりやすいようにしている。

カンガルーポケット矢印などに凹凸をつけて、指だけで確認できるようにしている説明のマークが出たときに説明ボタンを押すとガイドを確認できる

 天面左右のIHはともに各3kW、中央は1.6kWとなっている。グリルを含めて4箇所の同時使用が可能であるほか、プラチナ脱煙機能で脱煙率を約95%としている。

 グリルでは、従来から採用している平面ヒーターをワイド化し、遠赤塗装を施した「遠赤平面ヒーターワイドグリル」を採用。水なし両面焼き自動グリルによって、表面をぱりっと焼き上げることができるという。

「遠赤平面ヒーターワイドグリル」を採用スケルトンモデルでトップテーブルの様子を見る

 庫内面積も24%拡大するとともに、自動グリルメニューの採用や、メニューにあわせて温度設定を140℃から260℃まで自在に設定できる機能も搭載している。さらに、地震の揺れを感知するとグリルドアをロックする耐震ロック機能も搭載した。

 「年齢、性別に関係なく家族みんなに使ってもらえるIHクッキングヒーターを開発した。マイ・ファーストIHとして、初めて使う方から、本格調理をする方まで幅広いユーザーに使ってもらいたい」(松村課長)としている。

 一方、オール電化への取り組みでは、IHクッキングヒーター、エコキュート、太陽電池の組み合わせによる同社の強みなどを強調した。

三洋電機販売営業企画部オール電化販売課・市橋正弘課長

 三洋電機販売営業企画部オール電化販売課・市橋正弘課長は、「オール電化は、経済的なメリットがクローズアップされているが、購入者に聞くと、安心、安全、快適といった観点からの評価が高い」と前置きし、「炎を出さないため、火傷や火事を防ぐことができる安心感、水蒸気の発生が少ないことからダニやカビ、結露の原因がないために健康にいいこと、部屋の空気を汚しにくいことから、高気密、高断熱住宅でも快適に過ごせることなどのメリットがある」とした。

 もちろん、経済効果は大きな要素となっている。

 試算によると、電気および都市ガスで年間25万円の費用がかかっていた家庭では、IHとエコキュートのオール電化によって、約35%の費用が節約でき、さらにこれに太陽光発電を加えると、約80%の節約になるという。月2万円の電気代およびガス代が、4,000円程度になる計算というわけだ。

 「IHクッキングヒーターでは、清潔で快適なキッチン環境の実現、火事の心配を低減でき、部屋全体の省エネにも貢献できる。また、エコキュートでは、CO2ヒートポンプによる高効率な湯沸かし、夜間電力契約による光熱費の削減、ピークカットでの省エネへの貢献がある。さらに、太陽電池では昼間のピークカットに大きく貢献するとともに、電力買い取り制度を活用することでさらにお得となる。3点セットで導入することで、高いレベルの経済性を実現する」としたほか、「オール電化住宅の着工件数は確実に拡大しており、高齢化社会の進展もこれに追い風となっている。エコキュートは2008年度に50万台以上の市場となり、IHクッキングヒーターの出荷台数も90万台近くに達している。右肩上がりで成長している数少ない商品群といえる」と語った。

 「IHクッキングヒーター、エコキュート、太陽電池の3つの商品を提供できるのは三洋電機と三菱電機だけ。IHクッキングヒーターおよびエコキュート、太陽電池のパワーコンディショナーは群馬で開発し、太陽電池は貝塚で開発している。それぞれの部門が定期的に情報交換しており、今後の製品開発に生かされることになるだろう。また、1つのメーカーで提供しているために、アフターメンテナンスもワンストップでできるという安心感もある。太陽光発電に関する引き合いが強いことから、これを切り口にして、IHクッキングヒーター、エコキュートとのセット提案を加速していきたい」(市橋課長)としている。





(大河原 克行)

2009年6月3日 16:14