長期レビュー
象印「パンくらぶ BB-KT10」 その1
■初めて買った象印のホームベーカリーから早8年…
ホームベーカリー パンくらぶ BB-KT10 |
焼きたてのパンが大好きで、8年前からホームベーカリーを愛用している。これまで、数台のホームベーカーリーを使ってきたが、パン作りは作れば作るほど、奥が深く、ハマってしまう。
今回は、そんなこだわり派にぴったりのホームベーカリー、象印の「パンくらぶ BB-KT10」を3回に渡ってご紹介する。実は、初めて使ったホームベーカーリーも象印のBB-HS10だったので、象印のホームベーカリーには思い入れがある。8年間でどれだけ進化しているのが楽しみだ。
メーカー | 象印マホービン |
製品名 | パンくらぶ BB-KT10 |
希望小売価格 | 39,900円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 17,159円 |
今回「パンくらぶ BB-KT10」を選んだのは、以前使っていたというのもあるが、一番の理由は、作りたいレシピにあわせて、コネ・発酵・焼き時間をそれぞれ自由に調節できる「ホームメイドコース」機能を搭載しているからだ。
ホームベーカリーは材料を入れれば簡単においしくパンを焼けるので便利だが、長年使用していると、その食感に飽きてくる。パンを焼いたり、お菓子を作る人が好きな人にとっては、ホームベーカリーでパンを焼くのは簡単すぎて物足りなさを感じることもある。「アレンジしたパンを作りたい」「パン作りにはこだわりがある」、そんなちょっと手を加えたい派にとってうれしい機能だ。
ホームメイドコースでは、コネ時間や発酵時間を調整することで、食感をアレンジしたり、焼き工程の途中で生地を取り出して加工できる「手作業」タイムを設けることができる。パンを一度、取り出しても、本体は工程の途中で待機してくれるので、作業が終わったら、そのまま続きの発酵やコネなどをスタートできるのだ。
本体には、着脱式の自動具入れ容器つきが搭載され、具入りパンもタイマーで設定できるほか、むずかしい米粉パンや国産小麦パンも焼けるので、作れるパンの種類はかなり多い。
8年前の機種に比べると、格段に進化したBB-KT10だが、基本の食パンがどのような食感になっているのかも気になるところだ。個人的な好みとしては、やわらかめなパンが好きなのだが、以前の象印のホームベーカリーで焼いたパンのミミはかためで、ずっしりと重めの食感だったのだ。実はそれが気になって、その後、違うメーカーのホームベーカリーに買い替えてしまったのだ。というわけで、1回目となる今回は、食パンなど基本のパンを中心に紹介しよう。
具体的なレシピに移る前に、まずは本体を見ていこう。BB-KT10は一斤タイプで、本体サイズは225×290×335mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約6kgとコンパクトだ。細かい部品は下の写真で確認していただくとして、基本的な構造は一般的なホームベーカリーと変わらない。パンケースの中の羽根の形など、メーカーごとに微妙に仕様が違うのは面白いところだ。
パンケースは側面の中心に大きなくぼみがついている | 付属品は計量カップ2個と計量スプーン | ハネはパンケースの中央部に差し込んで使う |
具入れ容器は外して丸洗いできる | 操作部と液晶画面。前面に付いている | コードは約1m。リール式で、中にしまうことができる。自由に長さ調節できるのは便利だ。置き場所の後ろにスペースがなくても、もたつくことはない |
現在自宅で使っているエムケーのパンケース(左)と比較。同じ一斤タイプでも、メーカーによって形や大きさは全く違う | ハネの形状を比較。下がエムケーのハネだ。エムケーのハネは弓なりだが、象印のハネは直線的だ。ホームベーカリーの構造は単純だが、メーカーによってパンの焼き上がりが大きく変わるのは、このように細部の形状や大きさが違うからだ |
■基本のパンはミミはさっくり、中はふんわり
BB-KT10では、基本のパンとして、しっかりした歯ごたえの「もちもち食パン」、軽い食感が楽しめる「ふんわり食パン」、しっとりやわらかい「ソフト食パン」の3つを用意している。焼き色はふつう・うすいの2段階がある。
さっそく付属の取扱説明書の通り、基本の食パンを焼いてみた。取扱説明書では、同じ基本のパンでも「もちもち」と「ふんわり」で配合を変えたレシピが掲載されている。ほとんどのレシピで、食感の異なる2種類のレシピが掲載されていて、それぞれの焼き加減に最適な分量になっているようだ。「自分の好みに合わせておいしく焼いてほしい」という象印のこだわりが見える。
材料を本体にセットしたら、あとはスタートボタンを押すだけ。これで、焼きたてのパンを食べれるのだから、ホームベーカリーはやっぱり便利。
まず、焼いたのは「もちもち食パン」で、焼き色は「ふつう」を選んだ。象印のホームベーカリーは、稼働音がとても静かで運転中も全く気にならない。焼きあがりまでの時間は、3時間50分だった。
完成した基本の食パンはよく膨らんでいる。ミミはさっくりとしており、一見固そうに見えるが、サクサクしている。切ってみると、中はキメ細かくふっくらして想像以上にやわらかい。
しっかり膨らんでいる。焼き色も上までついていておいしそうだ | 切ってみると中はキメ細かく、しっとり。ムラなく焼けている | そのまま食べても、軽くトーストしてもおいしい基本の食パン。毎日の朝食に活躍しそうだ |
以前の象印ベーカリーで焼いた食パンは、全体的にどっしりという印象だったので、中のフワフワ感に驚いた。ミミとそうでない部分のメリハリがあって、とてもおいしい。パン屋さんで購入するパンのような完成度で、満足度も高い。
■着脱できる「具入れ容器」は取り外し可能。丸洗いでいつも清潔
BB-KT10では、コネ工程の途中で、自動的に具を投入してくれる自動具入れ容器が搭載されている。工程中に具を入れる必要がないので、タイマーにも対応する便利な機能だ。
今回は、熱で溶けにくい焼き菓子用のチョコチップを使って、チョコチップパンを焼いた。実は、チョコレートなどの熱に弱い具材は、自動具入れ容器には不向きなのだが、溶けにくい焼き菓子用のもので作ってみることにしたのだ。
正直、どうなるか不安だったが、何の問題もなくできた。弾力があり、しっとりしていて、とてもおいしい。生地にはココアを入れたので、ほんのりほろ苦く、大人のおやつにも最適だ。チョコチップも溶けずに固形で残っている。
焼き菓子用チョコチップを入れてみることにした。息子の保育園のおやつにしたかったため、夜に急きょ挑戦してみた | 焼き菓子用チョコチップを具入れ容器に入れる |
見事に焼けた! チョコチップも溶けてなくなっているわけではなく、ちゃんと残っている | おいしい! 子供達に大好評だった |
次に軽い食感が楽しめる「ふんわり食パン」にベーコンとコーンを入れたパンを焼いたい。
ベーコンは脂分が多かったせいか、生地にとけ込んでしまい跡形もなかった。ただ、コーンのつぶつぶ感は残っており、生地自体がベーコンの味がするおもしろいパンができた。上部が少しへこんでしまったのは、具入れ容器が当たってしまったことと、焼き上がってから取り出すのが10分ほど遅れてしまったことが考えられる。見た目は不格好だが、味はバッチリ。
しょっぱめのお食事パンは旦那が好きなので、喜んで食べていた。生地も「もちもち」よりやわらかめで、子供でも食べやすい。
具入れ容器は着脱式になっており、終わったらはずして洗うことができるので後片付けが簡単なのも嬉しい。しかし、具を入れ終わった後、具入れ容器が開いて窓から中の様子が見えなくなるのは残念だ。
上部が少々へこんでしまった。よく膨らむと具入れ容器が当たってしまうこともあるようだ | 黒コショウが効いていて大人の味。ふんわりコースで焼くと、生地はとてもやわらかい |
気になったのは、具を投入する時の音。ガチャーン! ガチャーン! とかなり大きな音がする。朝にタイマーをセットしている時など、寝室が近いと少々うるさいかもしれない。
また、具を入れ終わったあとは、具入れ容器が開いて、確認窓をふさいでしまう。見えなくなったところで何も問題はないのだが、パンが膨らんでいく様子を確認するのも楽しみの1つなのだ。どのような状態か把握できないのは、ちょっとさみしい。
このように具入れ容器を装着する。このときは窓の半分は開いているのだが…… | 具入れ容器が開くと、窓全体をふさいでしまう。中が確認できないのは寂しい |
BB-KT10は、2002年に購入したBB-HS10に比べ、基本の食パンがふんわり焼けるようになっていた。構造はそれほど変わっているように見えないが、やはり進化しているんだなあ……と実感。ミミはしっかりめでさっくりしており、メリハリがあってとてもおいしい!
今回は基本の食パンを中心に紹介したが、次回は米粉パンや国産小麦パンを中心に紹介する予定だ。
2010年6月2日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)