長期レビュー

象印「パンくらぶ BB-KT10」 その2

~米粉や国産小麦パンからキャラパンまで簡単に作れる
by 石井 和美

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ホームベーカリー パンくらぶ BB-KT10

 1回目では基本の食パンを中心に紹介した。以前の象印ホームベーカリーに比べて、基本のパンは格段に進化。ミミはさっくり、中はふんわりのメリハリがあるおいしい食パンができた。今回は、基本の食パンとは材料も食感も違う米粉パン、国産小麦パン、生地コースを使ったキャラパン作りに挑戦する。

難しい米粉パンもホームベーカリーにおまかせ。ごはんのような味のパンが完成!

 まずは、米粉パンから作ってみよう。米粉パンは難しいと聞いていたので、今まで一度も作ったことがない。BB-KT10では米粉ミックスとして片山製粉の「シトギミックス20A」使用を推奨しているが、まずはあえて推奨品ではなく、近所で売っている米粉ミックスを使って作ってみた。

 結果は、見た目がかなり残念なことになってしまった。膨らむどころか、へこんでいたのである。やはり米粉パンのハードルは高そうだ。中は詰まっていて固くなったかとおそるおそるナイフを入れてみたが、生地はふんわり焼き上がっていた。

 初めて食べた米粉パンは衝撃の味だった。食感はパンなのだが、味はまるでごはんのようなのだ。ごはんを噛んだ時の「ねばり」のようなものがあるのもおもしろい。クセが全くないので、バターの代わりに納豆や海苔をつけたくなるような味だ。

近所のスーパーで購入した米粉ミックス。指定の米粉ではないので、うまくできるか不安だが……記念すべき米粉パン1号は、へこんでしまったしかし、中身はフワフワ。食感はパン、味はごはんという不思議な味

 このパンは、ごはん好きな娘が絶賛して「おいしい!」とおかわりをしていた。味と食感は何の問題もなかったが、膨らんだ米粉パンが食べたかったので、指定の米粉を購入することにした。近所では見つけることができず、ネットで購入した。

 指定の米粉ミックスで象印のレシピ通りに作ったところ、見事に膨らんだ。こちらのほうがしっかりしたミミになり、生地もキメが細かい。やはり、ごはんのような粘りも感じる。ただ、こちらのパンレシピはスキムミルクを入れたり、バターの容量が多いので、少し洋風な印象になった。

BB-KT10の取扱説明書で推奨していた「シトギミックス20A」上のほうは少々イビツになってしまったが、しっかり膨らんでいる米粉の香りと、バターとスキムミルクの香りがおいしいパン

 最初に使った米粉ミックスと象印推奨の米粉ミックスを改めて調べてみると、グルテンが入っているかどうかが大きな違いのようだ。象印によると、BB-KT10の米粉パンコースは、グルテンが含まれた米粉ミックスを想定しているのだという。今回は試すことができなかったが、指定の米粉ミックス以外でも、グルテンが入っている米粉ミックスならうまく焼くことができるかもしれない。

 個人的には見た目はイマイチだったものの、最初の米粉パンの食感のもちもちしていて好みだった。好みに合わせて粉の配合を変えてみるのも楽しいだろう。

国産小麦パンも材料を入れるだけで焼ける!

 米粉パン同様、難しいと言われているのが国産小麦を使ったパンだ。国産小麦は輸入強力粉に比べてグルテンの量が少なく、年によってグルテン量にもバラつきがあるため、うまく膨らまない場合が多いらしい。近所のスーパーでは手に入りづらいということもあって、今まで作ったことはなかった。BB-KT10には国産小麦粉を使った食パン専用の「国産小麦コース」が搭載されている。今回は国産小麦を使ってレーズンパンを作ってみよう。

 国産小麦コース指定の指定の「自動ホームベーカリー専用 パン用国産小麦粉BB-MK10-J」は、インターネットで購入した。

「国産小麦コース対応 象印 自動ホームベーカリー専用 パン用国産小麦粉BB-MK10-J」は1袋が250g。1回分の使い切りなので、粉の鮮度も良い国産小麦で作ったレーズン食パンが完成! 見事に膨らんでいる中の生地はとてもきめ細かい。ミミは少々かため

 指定の粉を使ったのが功を奏したのか、むずかしいと言われている国産小麦パンも、見事な完成度だ。しっかり膨らんでいて、香ばしさもあってとてもおいしい。

 ホームベーカリーの長所の1つは、素材や材料を自分の目で確認できること。BB-KT10では、米粉や国産小麦コースなどちょっとこだわった素材にも対応しているので、さらにバリエーションが増えそうだ。ホームベーカリーのクセをつかんだら、推奨の国産小麦粉でなくても、配合を変えて上手に焼けるかもしれない。色々試してオリジナルパンを作るのも楽しみの1つだ。

生地コースを使ったキャラパン作り

 子供は、毎日食パンだけでは飽きてしまう。我が家では、ホームベーカリーで生地を作って、総菜パンなどを良く作るので、BB-KT10の生地コースの出来は気になるところだ。

 今回は、象印のレシピページにあったメロンパンの生地でキャラクターを模した“キャラパン”に挑戦。メロンパンの場合、ホームベーカリーで生地を作るのとは別に、パンの上に載せるクッキー生地を作る必要がある。クッキー生地を作るときには、ボールや泡だて器など、お菓子を作る時に必要な器具を使うのであらかじめレシピで確認してから作業を進めた方がいいだろう。

 本体の生地コースで作った生地はなめらかで弾力がある。まずは、生地を適当な大きさに分け、形を作ってから発酵させて、焼き上げる。

 キャラパンの場合、何より重要なのが形造りだ。今回は、キャラクターをインターネットで検索し、イラストや動画を見ながら見よう見まねでパンを作った。手作りで、初めて作るキャラクターもあるので多少ブサイクになってしまったが、子供達はとても喜んでいた。どれを食べようか、さんざん悩んでいる姿を見ると、こちらまで嬉しくなってまた作りたくなる。

子供が大好きなキャラパン。生地コースで生地を作っておけば、あとは成形するだけなので簡単だこちらは失敗作。ドラえもんは鼻の下が延びしてしまった。右は怪物くんのフランケンのつもりだったのだが恐ろしいことに……。子供達に大笑いされてショック。メロンパン生地に抹茶やココアパウダーを入れて色づけすれば、色々なキャラパンを作ることが可能

 ホームベーカリーというと、出来上がりや形が同じ画一的なパンしかできないというイメージを持っている方もいるかもしれないが、最近のホームベーカリーでは焼き加減から素材まで、本当にバラエティに富んだメニューを搭載しているのだ。次回はさらに上級編、自分でコネ・発酵・焼き時間をそれぞれ自由に調節できる「ホームメイド」コースを紹介しよう。



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2010年6月9日 00:00