【ミラノサローネ2009】
ヨーロピアンデザインが照明を変える!?

~Euroluce照明展レポート その1

ミラノサローネと同時にEuroluceが開催

 ミラノ市内から電車で30分、東京ドーム11個分の巨大なRho Fiera会場でも、いよいよミラノサローネが開幕した。今年は同イベントの中心である家具やインテリアの展示に加え隔年で開催のサローネ国際照明機器見本市、「Euroluce(ユーロルーチェ)」が併催される。家電Watchによる新見本市会場レポートは、このEuroluceの展示を中心にお送りしたい。

見本市会場の「Rho Fiera」
Euroluce会場案内図。巨大会場を2フロア使った独立した見本市となっている

 Euloluceは、今年が25回目の開催となる歴史のあるイベントであり、4万2,000平方m(東京ドーム1個分弱)の広さの6つのパビリオンに、477社が出展する巨大イベントで、1日で半分を回るのがやっとほどの広さ。今回は2階建ての巨大ホールの1階部分の展示から注目のブースを写真を中心 に紹介していこう。

LED照明が無機質なんて誰が言った?

  今回のEuroluceで、無視できない存在が、環境意識の高まりとともに広がりつつあるLED照明の活用だ。「LED照明は明るく低消費電力だけれど、白熱電球と比べるとどこか無機質で冷たい」という印象を持つ人もいるかもしれないが、ヨーロッパのデザインが、そうしたLED照明の印象をすっかり変えてしまいそうだ。

 もっとも印象的だったのはALBUM社によるUniverso LED Systemの展示。

 風鈴のようなかわいらしい小型のペンダントライトに暖かい装飾を施すことで、あたたかでかわいらしい照明に変えてしまった。



 一方で、LED照明の光源の小ささを生かして、その存在感を最小限に抑えようとしていたのがCatellani & Smithが展示していたLED STICKシリーズ。細いメタルのスティックにLEDライトを配してミニマルな存在感で部屋を灯す照明だ。


遊び心いっぱいの照明が楽しい

 多くの会社が光源の扱いばかりに工夫をする中、独absolut lighting社は影の美しさを再認識させてくれた。aluringは、光源の目の前にスタンドと一体化した切り絵を置いて、壁に映し出す影を楽しめる照明だ。

 同社が今回の目玉にしていたのがShiningと呼ばれる美しい影を描き出す照明だが、一方でブースの中に何気なく飾られていた暖炉の火もまた美しかった。

aluring
Shining
暖炉

 Euroluce会場では遊び心いっぱいの照明も目立った。CEDRI MARTINI Universe社は、有機的なカーブを多用した奇抜なデザインの照明を多数展示していた。

 中でも目を引いたのが宇宙人の顔のようなリーディングライト内蔵の奇抜な椅子、「MANTA light」だろう。他にも日本のアーティスト、草間弥生さんのアート作品を彷彿とさせる、前衛的なデザインの照明もあった。

 スペインのalmerich社も、遊び心に溢れた会社だ。B.I.Y.はスタンドのシルエットを描き出すデスクスタンド。magnificentは、ペンダントライトに付けるマグネットの飾り。1つ1つの飾りが弓なりになっていて、どちら向きにくっつけるかで筒状にもなれば、つぼみ状にもなるというもの。

 face to faceは、ベラクロを使ったペンダント照明の飾り。ペンダント照明の周りには透明プラスチックの傘がついていて、それを囲むようにベラクロを貼付けてある。ちなみにこの貼付け作業は、スペインで知的障害を抱える労働者に頼んでいるという。

B.I.Y.self
magnificent
face to face

 光そのものと遊ぶことをテーマにしていたのは、フランスのBEAU & BIEN社だ。同社は叩くことでライトがついたり、消えたりするボール、Night Bijoux collectionのSensitive Smoonや光のアクセサリーを展示していた。





(林 信行)

2009年4月23日 19:10