やじうまミニレビュー

脈拍数を気軽に計れる「PULSENSE(パルセンス)」を使ってみた

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エプソンのパルセンス「PS-500B」

 脈拍センサーを内蔵した腕時計が相次いで発売されている。先日発売されたApple Watchもその一つだが、今回試したのはエプソンの「PULSENSE(パルセンス) PS-500B」だ。

メーカー名エプソン
型番PULSENSE PS-500B
購入場所Amazon.co.jp
購入価格15,508円

 脈拍センサーを内蔵することで、気軽に脈拍数を計測できるのがポイント。脈拍のほかにも、消費カロリーや歩数、移動距離、もちろん日時も表示する。計測データは、Bluetooth接続でスマートフォンに転送。専用アプリ「PULSENSE View」で確認できる。

本体の外観は腕時計と変わらない
裏面に脈拍計測用のセンサーが搭載されている
LEDが手首の血管に光を照射。血流の変化により脈拍数を計測
2重に固定するため、外れる心配はまずない
脈拍計測用センサーがズレないように、跡が付くくらいキツく締める
右側面には、脈拍計測のスタート/ストップボタンと選択ボタンがある
充電は専用台を使用する。USBケーブルなので、PCやモバイルバッテリーで充電可能。約3.5時間で満充電し、連続して約36時間、脈拍を計測できる
自宅で充電し忘れた時には、モバイルバッテリーで充電できる点が便利

リアルタイムに脈拍数がわかれば、ジョギングの最適ペースもわかる

 パルセンスに興味を持ったのは、お腹まわりが気になり始めているから。フィットネスジムの会員になって数年経つが、銭湯代わりに使っているだけで、走るのは年に10〜20回くらい。できるだけ走ろうとは思うのだが、なかなかジムエリアに足が向かない。

 続かない理由は多いが、その中に自分の走るペースがわからないというのがある。このペースがわからないと、ムダに汗をかいてヘトヘトになってしまう。そうなると脂肪の燃焼効果は低く、ダイエット効果も低い。疲れるだけで効果がなければ走るモチベーションを保つのは難しい。

 そこで筆者は、効果的に脂肪を燃焼するために、心拍トレーニングを取り入れたいと思っていた。その心拍トレーニングには、心拍数(脈拍数)の計測が欠かせない上に、さらに難しい計算が必要になる。この2つを一気に解決できるのが、パルセンスなのだ。

 ちなみに脈拍数を基準に、脂肪燃焼や有酸素運動など目的別のトレーニングをするには、次のような計算が必要。

心拍(%)=(心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100

 正直、算数が苦手な筆者は、計算する気にさえならない。だがパルセンスを着ければ「(現在)心拍数/安静時心拍数/最大心拍数/安静時心拍数」を勝手に把握してくれ、上記の難しい計算を自動で行なってくれるのだ。

 さらに本体ディスプレイの下にあるランプを点灯させることで、ユーザーがいまどんな心拍状況なのかを5段階で表示してくれる。心拍数を確認しなくても、LEDランプがいくつ点灯しているかを確認しながら走ればいい。例えば「脂肪燃焼」を目的に運動するのなら、LEDランプが1〜3つ点灯しているのが望ましい。もし4つ点灯したら頑張り過ぎているからペースを落とすべき、というのが一瞬で把握できるというわけ。

どれだけ正確に脈拍数を計測できるのか?

 心拍数の計測がどれだけ正しいのかを知りたいと思い、フィットネスクラブのトレッドミルを使って走ってみた。ジムの機材はLife Fitness社製で、脈拍計を搭載している。このトレッドミルとパルセンスで同時に脈拍を計り、正確さを確認しようと思ったのだ。

ジムのトレッドミルでは、モニターの前にあるバーを手でつかむことで計測が始まる。走る際に腕が振れなくなるので、ずっとつかんでいるのが難しい。今回は、このマシンとパルセンスの脈拍数を比較した
脈拍数が表示されるとともに、「ウォーミングアップ/脂肪燃焼/トレーニング」の3段階で、現在の運動強度を知らせてくれる。筆者の場合は、120~130bpmあたりを維持していれば、1時間以上でも走っていられる
アプリを通して本体の各種設定が可能。運動強度が「有酸素」ゾーンに入ったらバイブレーションで知らせるよう設定した。このゾーンに入ると、脂肪燃焼効果が低くなるのでペースダウンする

 走りだして驚いたのは、パルセンスとトレッドミルが示す数値が、ほとんど一緒だったこと。しばらく一定のスピードで走ると、そのズレは±1〜2程度だった。一気にペースアップした時でも、数値の差は±2〜3ほどの範囲に収まっていた。

 また、以前使ったことがある計測方式の違う脈拍センサー内蔵腕時計は、汗をかくと計測スピードが極度に遅くなったので心配していた。だがパルセンスは、汗をかきはじめてからも正確に計測できることがわかった。

日々の移動がトレーニングになる

 これまでもNike+ FuelBandやJawbone UPなどの加速度センサーを用いた活動量計を使ったが、これらは自転車での活動を正確に評価してくれず「せっかく運動しているのに、わかってくれないなんて……」という気持ちになってしまった。自転車での移動が多い筆者には、この点がネックとなって数カ月で使わなくなった。一方、パルセンスは脈拍数を記録するので、自転車を激しくこげば、しっかりと評価してくれるのがうれしい。

自転車での活動量も数値化してくれる

 また、前述したLEDの5段階評価は普段の生活の中でも有効。そのため駅で少し駆け足になったりすると、脂肪燃焼ゾーンに入ったことをパルセンスが知らせてくれる。例えば駅の階段を駆け上がったりすれば、パルセンスがブルッ! と振動するから「オレは今、脂肪燃焼してる!」という気分になるわけだ。こうしたことがハッキリわかると、駆け足することや、階段をあがっていくことに前向きな気持ちになれる。

トレーニング用途だけではない面白いデータもわかる

 運動や活動の記録だけでなく、「こころ(の)バランス」や「睡眠」の状況や質がグラフ化されるのも興味深い。

 「こころバランス」は、運動量の少ない非活動時には、こころの状態によって脈拍が変化することを利用。体の動きが少ないのに脈拍が高ければ「エキサイト」、脈拍が低ければ「リラックス」と判断しグラフ化したものだ。

「こころバランス」は、1日でエキサイトしていた時間とリラックスしている時間を数値化。この日は3時間11分もエキサイトしたが、リラックスしていたのは50分だけだった
「こころバランス」画面のグラフの上に付いている星印が、どの場所にいた時のものかを地図上に表している。この日は喫茶店に朝寄った時に、なぜかエキサイトしていたことがわかる……何にエキサイトしていたんだろう?
この日は総計8時間34分も寝て、そのうち6時間23分が深い眠りだったことがわかる。「ぐっすり寝たから頑張れそうだ」と思える。逆に睡眠時間が少なければ、「今日は早めに寝て明日に備えよう」というように睡眠を管理できる

 これまでの活動量計は、寝る前にモードを切り替える必要があったが、パルセンスは自動で「睡眠」と判断してくれる。睡眠とわかるだけでなく、睡眠の質までもグラフで表示してくれるのが面白い。

 そのほかに「歩数」「消費カロリー」、そして普段の生活の中でどのくらい運動効果のある動きをしたかがわかる「エクササイズ」をグラフ化。さまざまな視点から健康管理できる仕組みになっている。

歩数と、移動した距離が把握できる
活動時と安静時の消費カロリー数と、総計を表示。画面右下のペンのアイコンをタップすると、摂取したカロリーを入力できる
エクササイズ効果のあった時間を表示。1時間22分も脂肪燃焼効果のある動きをしていた。意識すればもっと増やせそうだ

メーカー純正以外のアプリと連携しないのが残念

 残念なのは、純正のスマホアプリ「PULSENSE View」としか連携できないこと。特に純正アプリに不満があるわけではないが、今まで使っていた「Runtastic」や「mapmyrun」など、定番のフィットネス系アプリと連携してくれたらなぁと思う。

 だがそれも大きな問題ではなく、パルセンスの満足度はかなり高い。脈拍計を内蔵した腕時計は、より積極的に健康管理を行なうために有効なギアだと感じた。

河原塚 英信