やじうまミニレビュー
モンベル「コンパクトヘッドランプ 1124431」
~防災用に便利な、室内で使いやすいヘッドランプ
by 伊達 浩二(2013/4/18 00:00)
両手が使えるヘッドランプを使わなかったわけ
ここ2年ほど、LEDライトやLEDランタンを紹介してきたが、LEDヘッドランプは紹介したことがなかった。
ヘッドランプは、頭にバンドで固定するタイプの明かりで、ライトを手に持たなくて良いので両手が使えるというメリットがある。とても便利な製品なのだが、アウトドア用の製品は前方を強く照らすことが求められるので、室内や自宅周辺で使うには、使いにく部分があるのだ。
ところが、先日試してみたモンベルの「コンパクトヘッドランプ 1124431」は、屋外用の明るいLEDのほかに、手元で作業するためのLEDを搭載していて、この問題を解決している。実際に試してみても、室内で使いやすく、防災用品としても便利だと思われる。
発売は2年ほど前で、すでに定評のある製品なのだが、自宅で使うことを前提にして改めてレポートしてみたい。
メーカー名 | モンベル |
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製品名 | コンパクトヘッドランプ 1124431 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,000円 |
防災用品にも強いアウトドアブランド
製品を紹介する前に、ちょっとだけモンベルと防災用品について書いておこう。
モンベルは、アウトドア用品のメーカーだが、「エマージェンシー」というジャンル名で、防災用品にも力を入れている。帰宅困難者用の1日生存キットから、テントまで含む本格的なキットまで、何種類もの避難用品のキットを出しているし、先日は「浮くっしょん」というライフジャケット兼用のクッションまで製品化している。
もともとアウトドア用品は、防災用品として応用できるものが多いが、とりわけモンベルは防災用品として使うことを前提とした製品の開発に力を入れているブランドだ。
今回紹介する「コンパクトヘッドランプ」も、モンベルの直販サイトでは、キャンプ用のライトとエマージェンシーの両方のジャンルに登録されている。当初から防災用品として使うことが考慮された製品なのだ。
単三電池1本で使える
コンパクトヘッドランプのパッケージはブリスター型で、ランプ本体、ヘッドバンド、取扱説明書、乾電池が入っている。電池は単三形アルカリ乾電池1本で、エナジャイザー製の電池が付いている。エナジャイザーの電池が付属するのは国内では珍しい。パッケージの作りや雰囲気も、エナジャイザーの製品に似ているので、コンパクトヘッドランプ自体がOEMなのかもしれない。
なお、エナジャイザーといえばリチウム電池が有名だが、このコンパクトヘッドランプでは使用できないと明記されている。ニッケル水素電池については記載されていないが、手元のエネループで試した限りは問題なく使用できた。自己責任でお試しいただきたい。
本体の重さは49gで、付属の乾電池を入れた状態では71g(実測)だった。もっと軽いヘッドランプもあるが、単三形電池を電源としている製品としては標準的な重さだ。少なくとも、ヘッドランプが重くて、ずれてしまうことはなかった。
コンパクトヘッドランプは4色のカラーバリエーションがある。今回はレッドを選んだが、本体のほとんどの部分はグレーで、一部のパネルだけが色分けされている。派手なカラバリというよりは、同じ製品を使っている人のものと区別するためのマーカーと思った方が良い。ほかに、ブラック、グリーン、ブルーがある。
よく練られた操作系
ヘッドランプを使う準備は、本体に電池を入れて、ホルダーにヘッドバンドを通せば終わりだ。ヘッドバンドの長さの調整範囲は広く、かなり頭の大きい私でもきつくない状態にできるし、人の頭より小さめな撮影用のダミーヘッドでも固定することができた。
ヘッドバンドの伸縮性も適度で、あまりきつくない。ちゃんと長さを調整しておけば、頭が痛くなるようなことはなかった。
本体は、180度回転する構造になっており、真上から真下まで広い範囲で固定できる。ヘッドバンドを、頭に斜めにかけた状態でも照らしたいところに向けて調整できる。
操作は、本体右側にあるプッシュ式のスイッチだけだ。1回押すと、電球色LEDが点灯し、もう1回押すと白色LEDが弱く、以下、押すたびに白色LEDが強く点灯、白色LEDが点滅、消灯となる。電球色→白色LED(弱)→白色LED(強)→点滅→消灯という順番だ。
では、電球色LEDで使っていて消灯したいときは、4回押さなければいけないかというと、1回押すだけで消灯してくれる。今がどのモードであるかに関わりなく、3秒以上点灯を続けたあとは、1回押すと消灯するのだ。
これは単純な仕組みだけれど、実際に使ってみると、とても便利で感心させられる。すぐに消灯できるし、そばに人が居るときに明るい光を浴びせて、迷惑をかけなくてもすむのが良い。
なお、LEDのワット数は電球色LEDは未公開、白色LEDは0.5Wだ。電球色LEDの明るさは5ルーメン、白色LED(弱)が11lm、白色LED(強)が26lmとされている。実用的な照射距離は、電球色LEDが数m以内、白色LED(弱)が10mぐらい、白色LED(強)が20m前後という感じだ。防災用品として使うには、十分な明るさだろう。
乾電池の寿命のカタログ値は、さっきの順で75時間/59時間/15時間とされている。これは、かなり暗い状態になるまでの時間なので、割り引いて考えた方が良い。それでも、電球色LEDで丸1日点灯し続けていても、実用になる明るさが残っていたので、電池寿命について極端に気にする必要はなさそうだ。また、電池は単三形なので、交換用の電池も手に入りやすい。
なお、ヘッドランプ本体は、IPX4基準、つまり「あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない」レベルの防沫形なので、汗や雨に濡れたりするぐらいは問題ない。しかし、防水ではないので、水没したりしないように気をつけたい。
きっちり差がある2種類のLEDが使いやすい
コンパクトヘッドランプに装備されている電球色と白色のLEDは、色と明るさだけではなく照射角も異なる。電球色LEDは照射角が広く、白色LEDは照射角が狭いスポット的な光だ。
とくに室内で使うときは電球色LEDの照射角の広さが使いやすかった。2つのLEDの性格がはっきり分かれているので、どっちを使うか迷うことなとがないのも良い点だ。
また、ヘッドランプで本を読むときは、紙面の一部だけが明るくて読みにくいことがあるのだが、電球色LEDのほうでは、明るさのムラが少なくて読みやすい。ついでに、白色で照射角の広いLEDがあれば読書用に最適なのだが、それは欲張りすぎだろう。
部屋の明かりを消してヘッドランプだけで一晩を過ごしてみたが、お湯を沸かしたり、ご飯を食べたり、本を読んだりという日常作業の際に、両手が使えるのは便利だと改めて感じた。防災用品の中に、一般的なLEDライトのほかに、もう1つヘッドランプも入れておくと良いだろう。