やじうまミニレビュー
パナソニック「ポット型ミネラル浄水器 TK-CP40」
パナソニック「ポット型ミネラル浄水器 TK-CP40」 |
■冷蔵庫をターゲットにした密閉型
水道の水をそのまま飲むのは不安だから、何らかの浄水装置を通して濾過して使っている方は多いと思う。うちでもそうだ。近年、水道水の水質が良くなったことは知っているのだが、マンションなので、屋上のタンクやビル内の水道管の状態を想像すると心配になってしまうのだ。
ここ数年は、ブリタのポット型浄水器「エレマリスXL」を使っている。ブリタの中でも一番大きい機種で、容量は3.5Lある。キッチンのシンク脇に置いておき、飲み水用だけではなく、御飯を炊く水や、ゆでもの、煮物など料理全般に使っている。使ったらまた水を足しておけばいいだけなので、手間がかからない。
今回紹介するパナソニックのポット型浄水器「TK-CP40」は、このエレマリスXLとは少し性格が違う。
メーカー | パナソニック |
製品名 | ポット型ミネラル浄水器 TK-CP40 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 3,879円 |
まず、この製品は積極的に冷蔵庫に入れることを想定している。浄化した水を冷やしておいて、飲用に用いることが主目的の製品なのだ。本体が密閉できるため、「立てて浄水、寝かせて収納」と謳っているように、冷蔵庫のドアポケットだけではなく、冷蔵室の棚に寝かせて収納できる。
また、メーカーのWebサイトによれば、独自の「ミネラル浄水カートリッジ」を採用しており、除去する物質は遊離残留塩素、濁り、総トリハロメタン、クロロホルム、プロモジクロロメタンなど15物質に及ぶ。
さらに「日本の名水に、学びました」として、ミネラル(カルシウム)をプラスする機能がある。日本人がおいしいと感じる、六甲山など天然水の硬度は、一般的な水道水より数十パーセント硬度が高い(つまりカルシウムやマグネシウムがたくさん入っている)のだそうだ。濾過する際に、水道水にカルシウムを補うことで、天然水に近い硬度の水にするという。
製品パッケージ | パッケージ背面の使用例写真でも、すべて冷蔵庫に入れることを想定している | 左から、ふた、ポット本体、カートリッジポット。手前が濾過カートリッジ |
また、自社の前モデルに比べて、濾過時間が3分の2に短縮されたという。ブリタの特徴として、濾過速度が1Lあたり4分(メーカー公称値)と速いことがある。国内メーカーの浄水器は遅いという印象を持っていたので、ブリタにどれぐらい迫ったのか楽しみだ。
■どこでも置けて水もおいしい
実際に使ってみよう。TK-CP40は、本体容器、カートリッジタンク、浄水カートリッジ、ふたで構成されている。
まず使用前の準備だ。本体をざっと洗って水を入れ、カートリッジを取り付けたカートリッジタンクをセットして30分ほど待つ。これはカートリッジの中の空気を抜くためだ。30分経ったら水を捨て、カートリッジタンクいっぱいに水を入れて一度水を通す。この最初の濾過水は飲むことができない。
ふたには、カートリッジ交換目安ダイヤルがついていて、交換時期を知らせる | カートリッジを水につけ、空気を抜く | カートリッジポット一杯分を浄水したところ |
濾過された水が落ちる様子(通常時) |
一からここまで満杯にするのには、30分近くかかる。もっとも、毎回使った分だけつぎ足していけばそれほどのことはない |
取説に「濾過時間は、最初は約30分程度かかります」とあり、なるほど、ポトリポトリとゆっくり水が落ちている。
毎回30分かかるのでは大変だが、これは、濾過を7回以上繰り返すと9分程度に安定するそうだ。実際に、2度目、3度目と試すにつれ速くなり、本当に9分程度で落ちるようになった。
9分になっても、やはり待ち時間は長い気がするが、ゆっくり漉して、しっかりおいしい水を準備しているということであろう。
濾過された水を飲んでみる。うん、おいしい。よく味わうと、ブリタで濾過した水とはかすかにどこか違う。これがミネラル硬水の味と言うことだろうか。
ブリタとどちらがおいしいかは好みによるが、ブリタが少し柔らかい感じで、この浄水器の水はクリアで固い感じがする。ただし、これは除去される物質が多いとかミネラルが添加されているという知識が影響しているのかもしれない。どちらの浄水器を使っても、蛇口から出たばかりの水道水に比べて上質な水になることは間違いない。水道水との差に比べれば両機種の差はごくわずかなものだ。
冷蔵庫に入れて冷たく冷やしたあとで試したら、さらに口当たりがよく、おいしく飲めた。
浄水器本体の容量は1.8L、カートリッジタンクの容量は0.7Lなので、浄水器をいっぱいにするには2回半ほど濾過することになる。本体タンク一杯にするためには、30分近くかかる。無理にいっぱいにしようとすると時間がかかるので、減った分をそのつど追加する使い方が向いているようだ。
【6月7日追記】浄水容量は取扱説明書によれば1.1Lとなります。この場合、水を入れる回数は1.5回、時間は15分近くとなります。レビューのように1.8L部分まで水を入れることはできますが、濾過した水と水道水が混ざることがあるので、推奨されていません。
ふたをしっかり閉めるのには、少し力がいる |
ふたは、横にして収納する関係で、しっかり密閉される、パッキンのついたねじタイプだ。取っ手を持ってふたをしめるが、最後のひとしめの時に「ギュッ」と少し力がいる。
ふたには、数字の入ったカートリッジ交換目安ダイヤルがつけられており、使用開始月の数字にあわせておくと、カートリッジ交換目安である4カ月後の月も表示される。交換カートリッジは希望小売価格で1個2,625円で、2個入りセット4,725円もある。
片手でポットの取っ手を持ち、もう片手を添える感じで冷蔵庫の棚に入れる。
こうして横置きできるのは便利だ。ドアポケットは冷水ポットの収納も考えて作られているが、しばしば使いかけの紙パック飲料や飲みかけのワインボトルなどに圧迫されて、行き場がなくなることがあるからだ。
もちろんスペースに余裕があれば、野菜室に縦置きで入れてもいい。個人的には野菜室の縦置きが、取っ手を持って持ち上げやすくて楽だと思った。
満水にしたポットはかなり重いので、高い位置に置くと持ち上げるのに力がいるのだ。野菜室の次に楽なのがドアポケット、その次が棚に横置きという感じか。
冷蔵庫の棚に横置き。スペースをとらない | 冷蔵庫のドアポケットに入れたところ | 野菜室に立てて入れたところを上からみる。持ち上げやすいし、ふたの締め方がゆるくても事故が起こらない |
取り出しやすさを優先するなら縦置き、スペースを大事に考えるなら横置き、使う人と冷蔵庫の都合によって決めるのがいいだろう。
また、冷蔵室と野菜室では少し温度が違う(うちの冷蔵庫の場合は冷蔵室が5℃、野菜室が7℃に設定してある)。水の温度は味に大変影響するので、これも考慮するといいかも知れない。私は、より冷たい5℃の方がキリッとして好きなのだが、人によっては違う感想があるかも知れない。
■食洗機でも洗える浄水機能付き冷水筒
使い勝手から言うと、ふたを「注ぐ」の位置にしたまま、うっかり横置きしようとして水をこぼしたり、逆に、閉じた状態のままグラスに注ごうとしたりした失敗が何度もあった。
今までふた操作のいらないブリタに慣れていたせいだと思うが、しばらくは、開け閉めの際に、一瞬考える状態が続いた。大きな問題ではないにせよ、慣れるのに時間がかかる感じだ。
お手入れについては、簡単な構造なのでばらして手洗いできるし、熱に強い素材で構成されているので食洗機で洗うこともできる。
食洗機でも洗うことができる |
ポット型浄水器は、常に水に触れていて、いつ洗うかが難しい製品だけに、定期的に容器を洗って清潔にしておけるのはいい。
水道水を濾過して冷蔵庫に入れてきれいな飲み水を確保するTK-CP40は、ポット型浄水器だが、同時に、冷水筒と考えることもできそうだ。「ハイクラスな浄水機能付き冷水筒」とでもいえようか。
エレマリスXL(右)との大きさ比較 |
同じポット型浄水器とはいえ、飲用で冷蔵庫に特化したTK-CP40と、汎用でテーブルや調理台で使うエレマリスXLは、かなり性格が異なる製品だった。TK-CP40の濾過速度は速くなったとはいえ、まだブリタには及ばない。その代わり除去できる物質が多いので、これは考え方の違いと捉えた方が良いだろう。冷蔵庫に入る浄水器は、テーブルトップ型と違って容量が小さいので、濾過速度の差が目立ちにくいということもある。また、TK-CP40は密閉型にしたことで、冷蔵庫内のどこにでも置けるという特徴があり、ブリタの冷蔵庫に入るタイプ(たとえばナヴェリア)との差別化に成功していると思う。
ミネラルウォーターをペットボトルで買って飲み水にしている人は、代替品としてTK-CP40の導入を考える価値があると思う。空きペットボトルの処分 にわずらわされることなく、きれいなミネラル水が手に入るからだ。
2010年5月17日 00:00