家電製品ミニレビュー
掃除機としてもブロアーとしても1台2役で活躍! サイクロン掃除機「風神」の威力を実感
by 石井 和美(2015/9/9 07:00)
ホースを前面に差せば空気を吸引して掃除機に、背面に差せば空気をはき出してエアブローになる、新しいサイクロン式掃除機「風神 TC-ZXE」が発売された。
排気を利用したエアブロー機能に注目が集まっているが、一般家庭の中で本当に使える機能なのだろうか。コンパクトになった掃除機本体の基本性能についても気になったので試してみることにした。
メーカー名 | 三菱電機 |
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製品名 | サイクロン式掃除機 風神 TC-ZXE30P |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 65,000円 |
本体は小さく、2.9kgと軽量
風神は、フィルターに頼らないサイクロン式掃除機で、ゴミをためる集じん部とゴミを遠心分離するサイクロン部を別々にした独自の構造となっている。ダストボックス内で風とゴミを分別し、風だけをHEPAとULPAの2種類のフィルターを通して、さらに微細なゴミを捕集しているため、排気はキレイだ。
強い吸引力を維持するだけでなく、排気を活用してゴミを吹き飛ばすエアブロー機能を備えており、ブロアーとしても利用できる。
本体は家具にぶつかっても傷がつかないように面取りをしたようなシンプルなデザイン。重さはたったの2.9kgで、サイズも223×333×270(幅×奥行き×高さ)とコンパクトなので、女性でも軽々持てる。付属品は2WAYロングノズルとふとんブラシ、エアブロー機能専用のエアブローノズル。
本体も軽いが、ヘッドの動きが軽快で体への負担が少ない
運転モードは「強」「弱」「節電」の3モードが選択できる。節電モードは掃除を中断すると自動的にパワーダウンし、約30秒経過すると自動的に運転を停止する。
実際に掃除をしてみて驚いたのは、とにかく軽いこと。本体の重さはもちろんだが、自走式ヘッドがスルスルと動く。床に吸い付く感じはほとんどなく、「本当に吸引してるの?」と心配になったほどだ。持ち手はメイングリップとサブグリップがあるが、パイプの延長線上にあるサブグリップを持つとさらに軽く感じた。
しばらく掃除をしていると、部屋の髪の毛やゴミがきれいに吸い取られてキレイになっているのがわかった。壁際のゴミまでしっかり取れている。
さらにマットに小麦粉をつけて吸引してみた。こういったマットを掃除すると掃除機によっては貼りついたようになってしまい、掃除機がけが大変だったりするが、スーッと動く。一往復でキレイに落ちていたので安心した。
ゴミがずっとグルグルしない! だから空気がキレイ
風神はサイクロン式といっても、独自のサイクロン方式となっている。ゴミをためる集じん部とゴミを遠心分離するサイクロン部を別々にして、ゴミだけをすばやく分別する。一般的なサイクロン式は、風の旋回で延々とゴミが回り続け、ゴミが粉々になる。その細かくなってしまったゴミは、排気と一緒に外に排出されて排気が汚れてしまうが、ゴミを攪拌しない風神はキレイな空気だけ外に出す。さらに2種類のフィルターで濾しているため、微細なゴミを99.999%まで捕集するという。
実際にBB弾の玉でゴミが分別されているのか試してみた。BB弾はプラスチック製で、軽くてとても小さい。一般的なサイクロン掃除機はいったん吸い込んでしまうとカラカラと音を立てながら延々回り続け、ダストボックス内部の傷の原因にもなる。
風神で吸ってみたところ、最初の数秒は音がしていたが、すぐに静かになった。ダストボックスをのぞいてみると、BB弾はダストボックスの下に落ちており、運転中でも全く動かなかった。いったんはじき飛ばされた大きなゴミは、下に落ちた後は攪拌されることはない。風とゴミはしっかり分別できているようだ。
付属品は少ないものの、効率よく部屋を立体的に掃除できる。2WAYロングノズルはパイプに装着しておけるので、高い場所や狭い隙間、棚などはパッと切り替えて掃除できた。ふとんブラシでふとんを掃除できるのも嬉しい。
リビングを一通り掃除して最後にゴミを確認したところ、大量に粉塵や髪の毛等を吸い込んでいた。本体は軽く、片手でラクに掃除できるので、これなら全部の部屋を掃除しても疲れることはなさそうだ。
"エアブロー"はティッシュが吹っ飛ぶ風の強さ!
風神の最大の特徴でもあるエアブロー機能も試してみた。掃除機の前面にホースを差せば吸引して掃除機に、背面に差せば排気を強く出してエアブロー機能を使用できる。掃除機の後ろに排気カバーがあり、開けると排気口が見える。ここにホースを付け替えて試してみた。
風がどれくらい強いのか、紙パックタイプの掃除機と比較してみた。排気口にティッシュをセロハンテープでしっかりつけてみたところ、その差は歴然だった。
一般的な掃除機の排気は秒速5m以下だが、風神は秒速約40m。バタバタとティッシュがはためいているのがわかる。一方、紙パック式掃除機はユラユラとしている程度だった。排気の強さは全くの別モノだった。
排気口側で撮影をしていたのだが、紙パック式掃除機はニオイが強くて驚いてしまった。しかも紙パック式掃除機の排気が顔に当たった直後からクシャミが止まらず……。風神の排気は、風が強いのにもかかわらず、ニオイを感じることはなく、鼻もかゆくならない。これなら子供が同じ部屋にいても安心して使える。
なお、運転中はこの強い排気が出ている状態になるが、排気は排気カバーをすることでうまく上の方に拡散されるため、下にあるホコリを巻き上げることはなかった。
枯れ葉も短時間でラクにどかせる
実際にエアブロー機能を使う場合は、エアブローノズルを手元パイプか伸縮パイプに取り付け、後ろの差し込み口にホースを差し込む。あとは吸引と同様に運転ボタンを押すだけだ。
我が家は地方の田舎住まいということもあり、まわりには木が多く、枯れ葉がどこからともなく飛んでくる。夏の終わりになると徐々に枯れ葉が飛んでくるようになり、あっという間にたまってしまう。秋から冬はもっと大変だ。
玄関横にたまった枯れ葉で試してみた。隅や端っこにたまった葉はホウキで取るのはなかなか大変だが、エアブロー機能を使うと、あっという間にどかすことができた。あとは飛び散った葉をササッと取ってしまえばいい。ホウキを使うよりもエアブローのほうが圧倒的に早く葉を飛ばしてキレイにできるので、急な来客時にも重宝しそうだ。ベランダなど広い場所も、とりあえずエアブローでサーッと吹き飛ばして、あとでまとめてとっておくと早く掃除が終わる。玄関に溜まりがちな細かい砂や、サッシに入り込んでしまったゴミを取り除くのも、エアブローなら簡単だ。
エアコンのフィルターも掃除してみた。いつもなら掃除機でホコリを吸い取っているが、エアブローでホコリを吹き飛ばす。吸い取るよりもはるかに早くホコリやゴミが消えてしまった。もちろんホコリは舞い散るので家の中ではできないが、細かい部分に入り込んだホコリが落ちるので、吸い取るよりも時間がかからなかった。
PCのキーボードもエアブローで掃除してみた。掃除機ではとれなかった、さまざまなゴミがでている。はさまってしまった髪の毛が、強い風圧によってニョキッと出てきたのにはゾッとした。
吸引とエアブローを切り替える際は、ホースの抜き差しをするのだが、ちょっとやりにくかった。一般的な掃除機なら、ホースを着脱することはそれほどないかもしれないが、エアブロー機能も使うとなると、抜き差しの頻度が上がる。着脱ボタンはグッと押し込まなければならないので、特にお年寄りは面倒に感じるかもしれない。
また、ホースの着脱ボタンは、掃除機(吸引)として使うときは上、エアブロー機能を使うときは下の位置にして、きちんと端子がはまるように差し込まなければならない。しかし、合わせるための目安となる印やマークがないため、まごついてしまうことがあった。この点は、もう少し改善してほしいところだ。
年末には"エアはたき"として重宝しそう
エアブローは想像以上に風が強く、クーラーの奥やテレビの裏側など、手の届きにくい場所の掃除にも使えて便利だった。「吸う」より「吹き付ける」ほうが、入り込んでしまったホコリなどが簡単にとれたので、一回使うとやみつきになる。年末になったら、エアブローを"エアはたき"のようにして、家中を一気に掃除したい。
ただ、高い場所を掃除する際は、本体を持ちながら掃除すると、2.9kgでも重く感じる。電動工具メーカーのブラック&デッカーの掃除機は、本体にサッと巻けるショルダーベルトが付属しているが、そういったショルダーベルトのようなものを使って肩にかけることができれば、もっとラクに掃除ができそうだ。
掃除機としても、ブロアーとしても使いやすい
操作はシンプルで取り回しやすく、力を入れずに掃除できるのは嬉しい。また、風とゴミを分離する独自のサイクロンもよく工夫されている。サイクロン掃除機は、ゴミを捨てるときに飛び散りやすいが、吸い込んだゴミが粉々になりにくいので、ゴミ捨てはストレスなくできた。
さらにダストボックスが簡単に分解できて全て洗えるため、アレル物質も隅々まで落とせて気持ちいい。排気も微細なゴミまで徹底的に取り除かれてイヤなニオイは全く感じることなく、子供がいる家庭でも安心して使うことができる。
基本性能が高く、ブロアーやエアダスター、掃除機としても実用的で使いやすいおすすめの製品だ。