家電製品ミニレビュー

タイガー魔法瓶「マイコンフードプロセッサー SKF-A100」

~4人分のハンバーグが一気に作れるステンレス製のフードプロセッサー

フードプロセッサー嫌いの私を“使う気にさせた”1台

タイガー魔法瓶「マイコンフードプロセッサー SKF-A100」

 ブレンダーやフードプロセッサーが人気だという。実際のところ、ここ数年、キッチン家電の新製品発表会に行くと必ずといっていいほど新しい製品が登場しているし、場所をとらないコンパクトサイズのものも増えてきている。だが、個人的にはこれまでどの製品を見ても食指が動かなかった。

 「フードプロセッサーよりも、よく切れる包丁が欲しい」というのが持論で、少量の食材を刻むなら、準備している間に包丁でやってしまったほうが早いと思っていた。だが、あるときにタイガー魔法瓶のフードプロセッサー「SKF-A100」のことを知り、どうしても使ってみたくなってしまったのだ。

メーカー名タイガー魔法瓶
製品名マイコンフードプロセッサー SKF-A100
希望小売価格15,750円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格6,627円

 理由は主に次の3つだ。食材を入れるカップがガラス製でなく、ステンレスで出来ていて軽いこと。次に、カップ内面に凹凸のある“ディンプル加工”がされていて、食材がくっつきにくく、口も広いこと。もう1つ、最大で650g(液体で600ml)の食材が入れられるので、4人分のハンバーグや32個分の餃子のたねを作れるたっぷりサイズであること。特に、ステンレス製で軽く、食材がくっつきにくいという点に心を惹かれて、試しに購入してみた。

 マイコンフードプロセッサー SKF-A100にはマイコンが搭載されており、切替レバーを切り替えることで「みじん・ミンチ」「すりみ」「おろし・スープ」「パンこね」の4つの調理コースの設定ができる。調理コースに応じて、間欠、低速、高速、変速と運転の仕方が変わる。

 「みじん・ミンチ」「すりみ」コースではチタンコートされたチョッパーカッターを使う。本体にはそのほかにも、おろしカッターやパンこねブレードが付属しており、大根おろしなどのおろし調理や、パン生地やピザ生地を作ることもできる。本体サイズは288×172×215mm(幅×奥行き×高さ)だ。

本体のほか、ふた、チョッパーカッター(きざむ・つぶす)、おろしカッター、パンこねブレード、収納プレート、ヘラつきブラシ、カッターブラシなどが付属している
取扱説明書と21のメニューが載ったクックブック
使用時には本体の回転軸にステンレス製のカップをセットして使う
ステンレスのカップにチョッパーカッターをセットしたところ。チョッパーカッターはチタンコートされている
ふたの一部が運転ボタンになっている
マイコンが搭載されており、切替レバーで4つの調理コースの設定ができる。ハンバーグ作りには「みじん・ミンチ」コースにセット

まずはハンバーグに挑戦

チョッパーカッターをセットしたカップに牛肉、豚肉の薄切り、玉ねぎ、牛乳に浸したパン粉、卵、舞茸を投入。4人分の材料が楽々入る大きさだ

 まずは「みじん・ミンチコース」を使って、ハンバーグを作ってみた。これまで合挽きのひき肉を買ってきて作ることがほとんどだったが、フードプロセッサーを使えば、牛肉と豚肉の薄切り肉を好みの配合で混ぜて作ることができる。牛肉、豚肉の薄切り、玉ねぎ、牛乳に浸したパン粉、卵のほか、舞茸も入れて、スイッチオン。巨大な虫眼鏡のような形状のふたの“持ち手”の部分が、運転ボタンとなっており、ここを手のひらや指先で押している間は運転し、離すと止まる仕組みだ。カップがステンレス製のため、側面からは中の様子はわからないが、ふたがガラス製なので上から確認できる。

 取扱説明書を参考に約1分間フードプロセッサーにかけたが、きっちりと時間を計ったわけではなく、見た目の混ざり具合で判断して終了した。タネを丸めて焼き上げ、ソースも作ってハンバーグが完成。実際に口にしてみると、運転時間が長すぎたのか、粗挽きハンバーグのはずがかなりキメの細かな仕上がりになった。とはいえ、味の方はバッチリ。買ってきたひき肉と違い、肉に脂身が少ないため、さっぱりとしているのも特徴だ。

ふたをして「みじん・ミンチコース」で1分。このコースでは動いたり止まったりの間欠運転となる。ガラス製のふたなので中の様子がよくわかる
中の様子を確認しながら1分ほど運転させたが、若干長過ぎたかもしれない
タネを丸めて焼き上げ、ハンバーグが完成。粗挽きハンバーグのはずがかなりキメの細かな仕上がりになった

 息子たちが成長してしまったため、ハンバーグを作る回数も減ってしまったが、肉の配合を工夫したり、挽き方を変えて食感の違いを楽しんだりするという新たな料理の楽しみが広がりそうな予感。次は、粗挽きハンバーグをぜひ成功させたいとわくわくしてきた。

角切り肉で粗挽きハンバーグも。もう、ひき肉は買わない!

 前回、きめ細かなハンバーグだねになってしまったので、次は豚の角切り+牛肉の薄切り肉の組み合わせでハンバーグを作ってみることに。食材を一度に入れず、角切り肉を粗挽きにしてから、牛肉、玉ねぎを投入し、卵やパン粉などは最後に入れて手で混ぜ合わせる方法に変更したところ、肉の歯ごたえの残る、ダイナミックな食感のハンバーグに仕上がり、家族にも好評。

今度は歯ごたえの残る粗挽きハンバーグにすべく、豚肉は角切りのものを使ってみた
角切りの豚肉を粗挽きに
続いて、牛肉の薄切りを投入
中の様子を確認しながら短めに切り上げた
最後に玉ねぎを加えて20秒ほど運転させ、卵やパン粉、調味料を加えて手でこねてタネ作り完了
今度は肉の歯ごたえの残る粗挽きハンバーグに仕上がった

 その後も、たとえばマーボー茄子やミートソースなどを作る際も、薄切り肉を好みの挽き方でフードプロセッサーにかけて使うようになり、ひき肉を買うことは全くなくなってしまった。市販されているひき肉は脂身が多いので、炒めている際に脂がしみ出してきて、それをクッキングペーパーに吸わせたりしていたが、そうした手間もいらない。

 また、大きめに挽いた肉で作るマーボー茄子は、舌触りがなめらかで味のなじみもよい。これまで、ひき肉を買い忘れた際に、薄切り肉を包丁でたたいて作ったことはあったが、フードプロセッサーを使えばわずか数秒で作業が終わり、ステンレスのカップにくっついてしまうこともなく、フライパンにサッと移せるのはかなり便利だ。

ひき肉を買ってくることはほとんどなくなり、薄切り肉をフードプロセッサーにかけて料理に使うようになった
ひき肉よりも脂身が少なくてヘルシーだし、料理に応じて挽き方を変えられるのが便利だ
ステンレスのカップにはディンプル加工がされているためか、ヘラなどを使わなくても、ほとんどくっつかずに、そのままひっくり返すだけでフライパンに入れられる
ひき肉を使うと脂の多さが気になるが、炒めていてもほとんど脂がしみ出してこない
マーボー茄子も豚の薄切り肉を粗みじんにして使うと、柔らかな舌触りで味のなじみも良
ミートソースには牛の薄切り肉を使用。こちらは少し長めにフードプロセッサーにかけた

 週末にまとめ買いするわが家にとって、ひき肉は持ちが悪いので週前半には使い切らないといけない食材の1つだったが、もうその心配はいらない。フードプロセッサーの導入で買い物の仕方まで変わるとは、自分でも意外な展開だった。

パンこねブレードでピザ生地も簡単にできる

 SKF-A100には、パンこねブレードやおろしカッターなどアタッチメントと回転切り替えによって、さまざまな使い方ができる。

パンこねコースでは、低速運転後、高速・中速運転を繰り返す変速運転を行なう
ステンレスカップにパンこねブレードをセットしたところ

 ホームベーカリーもずいぶん普及してきているので、パン生地をこねるのにフードプロセッサーを使おうという人は少ないかもしれないが、ピザを作る際には大活躍する。ステンレスカップにパンこねブレードをセットし、強力粉、薄力粉、ドライイースト、砂糖、塩、ぬるま湯、オリーブオイルを投入。カップが大きいので、1回で直径25cmのピザ2枚分の生地をこねることができる。低速運転後、高速・中速運転を繰り返す変速運転を行なう「パンこねコース」で約2分。ステンレスカップにくっつくこともなく、なめらかな生地がこね上がった。

 これを丸く整えてボールに入れ、ラップをして2倍に膨らむまで発酵させる。室温が低めの時には、日当たりのよいところに置いておくと40~50分で2倍に膨らむ。その後、ガス抜きをして10分ほど休ませたら、ピザ生地作りは終了。2等分して円形に伸ばし、好みのソースや具材、チーズをのせて焼き上げればOKだ。

強力粉、薄力粉、ドライイースト、砂糖、塩、ぬるま湯、オリーブオイルを投入。直径25cmのピザ2枚分の生地をこねることができる
最初の低速運転が終わったところ。あっという間にひとかたまりになる
約2分でなめらかな生地が完成
生地を丸く整えたらボールに入れてラップをして発酵させる
日のあたるところに置いておいたら、40~50分ほどで2倍に膨らんだ。生地を軽く押さえてガス抜きをしてさらに10分ほど寝かせば、生地づくりは終了
生地を2等分して丸くのばし、コンベクションオーブンで10分ほど焼いて完成。サクッとした歯触りで、中はもっちり感のある理想的なピザに焼き上がった

 ピザ生地は発酵も1回でOKと手軽で、このフードプロセッサーを使うと分量的にもちょうどよいので、本当におすすめ。手でこねるよりも早く、ホームベーカリーよりも手軽にできる。カップの口が広くて、粉などの材料を入れやすいのも利点といえるだろう。

ディップづくりや長芋のすりおろしにも活躍

 スモークサーモンとクリームチーズを使って、ディップも作ってみた。少量の食材を使う場合、カップに張り付いてしまってうまくできないのではと思ったが、20秒ほどで見事にかくはんされた。ステンレスカップの丸みがほどよいので、ヘラで取り出す際にも、とてもスムーズだ。

スモークサーモンとクリームチーズでディップづくりも
わずか20秒ほどできれいに攪拌された
レモン汁とマヨネーズも少量加えてディップソースの完成

 おろしカッターを使って、長芋のすりおろしも試してみたが、これも驚くほど使い勝手がよい。皮をむいて2~3cm角に切った長芋を円盤状のおろしカッターの上にのせてふたをし、「おろし・スープコース」で運転させる。

 このコースは高速回転するため、かなり音はするが、あっという間にカッターの上にあった長芋が消えていく。ふたをとって、カッターを外すと、その下には見事にすりおろされたとろろがあり、思わず感激の声をあげてしまった。いつもはおろし金を使ってすりおろしているのだが、時間がかかるうえに、だんだん手がかゆくなってしまうのに、この手軽さ!

おろしカッターに軸をセット
ステンレスカップに取り付けたところ
長芋は2~3cm角に切る
「おろし・スープコース」では高速運転をする
ふたをして運転ボタンを押すと猛スピードで回転が始まる
長芋はやわらかいためか、あっという間におろしカッターから姿を消してしまった
カッターを外すと、中にはなめらかな長芋のすりおろしが出来上がっていた
手ですりおりろしたのと遜色ない仕上がり

 大根おろしの場合は、食材が硬いため、長芋よりは時間がかかる。食感はおろし金でおろした時よりもきめが細かく、ホイップ感があるので、好き嫌いが分かれるかもしれない。みぞれ鍋のように大根おろしをたくさん使う場合には便利だろう。

 ちなみにおろしカッターでは、ショウガやセロリなどのように繊維質が多くて硬いものや、じねんじょのような粘りの強いイモ類は使えない。れんこんはOKなので、今度、れんこん団子を作ってみたいと思う。

大根も長芋同様、2~3cm角に切って投入する
長芋よりは少し時間がかかる。少しずつ削れていく様子が確認できておもしろい
おろしカッターを取り外したところ
かなりきめの細かな大根おろしが出来上がった

お手入れも簡単で、出番の多いキッチン家電に

 フードプロセッサーはお手入れが面倒だというイメージを持つ人も多いかもしれないが、このSKF-A100はカップの口が広く、ステンレス製なので洗いやすい。大き目の刃(チョッパーカッター)の汚れも、付属のカッターブラシ等で簡単に落とせる。

 また、パンこねブレードやおろしカッターなどを本体にまとめて収納できるのも便利だ。いざ、使おうという時に、アタッチメントを探す必要がなく、気軽に使おうという気持ちにさせてくれる。

付属のブラシ付きのヘラは硬めなので、手持ちのシリコン性のスパチラのほうが使い勝手がよい
ステンレス製のカップは軽く、口も大きいのでとても洗いやすい
収納する際には、まずチョッパーカッターをカップにセットする
その上に収納プレートをのせる
収納プレートにパンこねブレード、おろしカッターの軸をセット
最後にガラスのふたをすればOK。付属品が一緒に収納できるのでとても便利だ

 キッチン家電というのは、しまい込んでしまうと活躍させる機会が減り、ついには“死蔵家電”の仲間入りということにもなりかねない。このSKF-A100は、さすがに出しっぱなしというわけにはいかないが、収納棚の一番取り出しやすいところに置いて、毎日のように取り出しては、活躍させている。使うのが面倒にならないのは、やはり軽くて持ちやすいステンレスカップの使い勝手のよさと、お手入れのしやすさによるところが大きいように思う。何より、肉料理の幅が広がったのがうれしい。

 コンパクトサイズのフードプロセッサーも増えてきているが、3~4人家族なら、この程度の大きさのもののほうが、一度に調理できる分量が多く、便利に使えるのではないだろうか。今回は試してみなかったが、スープやジュースづくりにも使えるこのSKF-A100は、幅広いメニューに役立てたい人にもおすすめできる1台だ。

神原サリー