家電製品ミニレビュー

セイコー「多機能防災クロック SQ764W」

〜手回し充電もできるラジオ付目覚まし時計

震災と手回し充電ラジオ

セイコー「多機能防災クロック SQ764W」

 セイコーは、以前からラジオを一体化した目覚まし時計を商品化しており、最近は手回し充電機能も備えるほど、進化している。

 昨年末に発売された「SQ764W」は、シリーズ最新モデルで、「スマホ充電対応」が特徴だ。

 目覚まし時計、ラジオ、携帯電話充電器、LEDライト、非常用ブザーと多数の機能を備えた「多機能防災クロック」の最新機種を試してみた。

メーカー セイコークロック
製品名 多機能防災クロック SQ764W
希望小売価格 7,350円
購入場所 Amazon.co.jp
購入価格 4,900円

すっきりとしたデザインで使いやすさも向上

パッケージは紙箱。多機能さを訴求している
内蔵電池と手回し充電による各機能の使用時間

 箱から取り出したSQ764Wは、すっきりしたデザインだ。曲線を生かした白い本体は、前機種のSQ692Wのゴツいデザインとは大違いだ。このデザインなら、ほとんどの部屋で違和感なく使えるだろう。

 目覚まし時計は、部屋の目立つ場所に出しっぱなしにするものだけに、デザインが良くなったのはうれしい。また、このデザインは、機能的にも優れている。本体の四面に配置されている操作部分が、機能別に集約されていて、とても分かりやすい。

 本体前面はラジオの操作部分、正面向かって右の側面はアラーム設定の関係、背面は電源の関係、左側面はLEDライト、という具合だ。

本体正面。大きな液晶の下にラジオ関係の操作ボタンがまとめられている。本体上部の出っ張りはスヌーズボタン
本体右側面。アラーム(目覚まし)関係の操作が集約されている
本体裏面。手回し充電のハンドルが大きい
下半分を開くと、時刻合わせ関係の操作部と電池ボックスがある
本体左側面はLEDライト。上のボタンを押すと点灯する。下の端子はUSBとACアダプタ

ラジオの感度は少し低め

 特に、ラジオは使いやすい。正面左の「ラジオ」スイッチをスライドして電源を入れ、隣の「FM/AM」ボタンでバンドを選択する。「選局」は2つ並んだボタンで、周波数の大小両方向へ選局できる。音量も2つ並んだボタンで、調整しやすい。

 選局のステップはAMが9kHz単位、FMが0.05MHz単位だ。自動選局機能も備えており、選局ボタンを1秒以上押し続けると、受信状態の良い放送局を選局する。残念ながら、FM放送もモノラル専用で、ステレオ受信はできない。イヤフォン端子も備えているが、こっちもモノラル出力だ。ただし、ステレオ用ヘッドフォンを接続すると両耳で同じ音が聞ける。

ラジオ受信時の画面。この状態で選局ボタンを長押しすると自動選局が始まる
FM受信用アンテナ部分の構造
アンテナの長さはごく一般的

 このラジオには、選んだ局を登録しておくプリセット機能はないが、自動選局機能がわかりやすいので、なくても苦にならない。小さなフワフワしたダイヤルで選局していた前モデルとは比べ物にならないほど操作性は進化している。

 ただし、FM/AMとも受信感度は低めだ。屋外やベランダなどでは良いが、マンションの室内では、自動選局で選択される局が限られてしまう。FM放送は、内蔵のロッドアンテナを伸ばすことで改善できる。

 一例として、都内のビルの10階で窓際から離れた部屋では、NHK第一放送と、文化放送、ニッポン放送の3局しか受信できない場合があった。ちなみに、この部屋でFM放送を受信すると、アンテナを伸ばした状態で、NHK FMとJ-WAVEの2局だけ受信できる。

 同じ環境で、ラジオ専用機の「ソニー ICF-51」だと、AMがNHK第二放送とTBSを含む5局、FMはTOKYO FMを含む3局が受信できる。操作性がとても良いだけに、受信感度も、もう少しがんばってほしい。

目覚まし時計としても使いやすい

 時計部分は、電波修正機能のクォーツロックで、いわゆる「電波時計」と呼ばれるタイプだ。標準電波の受信感度は高めで、東南方向の窓際に置いておくと無事に受信できた。もちろん、手動で合わせることもできる。

 液晶表示も見やすく、時刻がくっきりと見える。時刻表示は、12時間制と24時間制を切換えられる。2099年までフルオートの曜日表示もあり、十分な機能を備えていると言って良いだろう。

液晶の高さは約2.5cmあるので、遠くからでも時刻が見やすい
液晶の横幅も9cm強と大きい
夜間はスヌーズボタンを押すと、液晶のバックライトが点灯する。写真は午前/午後のある12時間制で表示しているが、24時間制表示に切り替えることもできる
上から、アラームのON/OFF、時刻設定のレバー、アラーム音の切換え、イヤフォン端子

 スヌーズボタンは液晶上部にあり、長いバーの形をしているので押しやすい。アラーム関係は本体向かって右で、アラームのON/OFFや戻る/進むの操作はボタンが大きく分かりやすい。アラームの音は「ピッピッピッ」という電子音とラジオが選択できる。電子音の場合でも音量は十分にある。

 電波時計の中には、アラーム設定が面倒で、時間変更が嫌になってしまう機種も多いが、本機は液晶表示を見ながら「戻る/進む」ボタンを押すだけなので操作が簡単だ。

 多機能な防災時計だからと言って、毎日使う目覚まし時計が使いにくくてはしょうがないが、この製品は単体の目覚まし時計として見ても良くできている。

スマホ充電は機種が限られる

 SQ764Wの電源は2種類用意されている。1つが単三形乾電池3本でアルカリ乾電池が推奨されている。2つ目が内蔵のニッケル水素電池(充電池)だ。2つの電源の切換えスイッチは背面に用意されている。基本的には単三形乾電池で使用し、非常時にニッケル水素電池を使用する想定だ。

電源関係の操作部分。充電池/手回しと乾電池の切換えなど
付属のケーブルは2本。左は充電用USBケーブルでUSBと携帯電話用の端子が集約されている。右はイヤフォン
USBケーブルは本体裏面のフタの中に収納できるが、ちょっと狭い

 ニッケル水素電池の充電は、USB端子からの充電と、内蔵されている手回しハンドルによる発電、別売のACアダプタの3通りが用意されている。パソコンなどのUSB端子からの充電時間は約4時間、ACアダプタからの充電時間は約5時間だ。手回し発電は発電量が限られているので満充電にするのは難しい。

 携帯電話/スマートフォンに給電できるのは、ニッケル水素電池のみで、乾電池からは給電できない。ニッケル水素電池の容量は公開されていないが、2012年夏に発売されたスマートフォンで「おおよそ20%〜30%程度の供給が可能」としている。この時期のスマートフォンの電池容量の平均は約1,500mAhぐらいなので、多めに見ても500mAhぐらいだろう。モバイルバッテリーとしては小さめな容量だ。

 充電できる携帯電話/スマートフォンの一覧は、Webサイト上でPDFファイルが公開されている。ただ、情報は2012年9月現在とやや古い。また、携帯電話とスマートフォンが分けられていないので、機種が探しにくい。

 このリストによれば、対応機種は携帯電話が多く、スマートフォンは機種が限られているようだ。やはり、最近のスマートフォンは、単純なUSB充電ではなく、高速充電モードの搭載などでバッテリー側にも安定と多機能を要求するものが多いので対応機種が限られるのだろう。たとえば、電源の安定性にシビアなiPhoneは、このリストには入っていない。

 逆に、手元にあったWILLCOM WX01Kや、旧機種の携帯電話は問題なく充電できた。もともと、フィーチャーフォンと呼ばれる一般的な携帯電話とスマートフォンでは、消費電力もバッテリ容量も大きく異なる。容量と対応機種から判断すると、「スマートフォン対応」という言葉に、あまり大きな期待はしない方が良いだろう。

 なお、スマートフォンの充電用としては容量の小さいニッケル水素電池だが、時計/ラジオ/LEDライト/非常用ブザーの電源としては十分に活用できる。この3つの機能では、それぞれ約1年/約12時間/約20時間/約3時間使用できる。なお、この時間はアルカリ乾電池で使用した場合のちょうど3分の1にあたる。

 なお、ニッケル水素電池の充放電回数は約500回とされている。こういう用途の製品としては十分な回数だろう。

よくできた手回し充電機能

 手回し充電機能は、とても良くできている。まず、本体とハンドル部分の両方がしっかりしているので、ハンドルを回す時に思い切って回すことができる。もう1つ良いのは、ハンドルを回しているときに、ニッケル水素電池の充電容量が液晶で確認できることだ。

本体と一体になった大きな取っ手がデザインのポイント
本体の取っ手をがっしりつかんで、しっかりした構造のハンドルをグルグル回す
電源を「充電池/手回し」に切り替えると、充電池の残量が3段階で表示される。手回し発電を行なうと充電していることを示す矢印が表示される

 長時間、手回し充電を行なっていると、この作業がどれだけ意味のあることなのか分からなくなって、徒労感にとらわれてしまうことが多い。しかし、簡単なものだが、容量が増えるという目安があるだけで、ハンドルを回す気力が湧いてくるのだ。

 ハンドルの構造といい、この充電容量の目安といい、この製品を設計した人は、自分で手回し充電を試していると推察できる。残念なことだが、絶対自分で試していないだろうと確信できる製品も少なくないのだ。

 なお、ハンドルを1秒間に2回転のペースで2分間回すと、ラジオが約15分、LEDライトが約25分、携帯電話の通話が約2分、待ち受けが約30分できるとしている。2分間ぐらいがんばって回すと、一応の機能が使えるという目安になるだろう。

LEDライトと非常用ブザー

 防災用品として、まだ触れていなかった機能に、LEDライトと非常用ブザーがある。

 LEDライトは、本体の左側面にLEDがあり、ハンドルの部分に電源スイッチがある。スイッチはプッシュ式で、1度押すと点灯し、もう1度押すと消灯する。明るさの調整などはない。LEDは白色の0.1Wで、明るさはほどほど、照明範囲も広くない。ただ、ボタンやハンドルの位置関係が良く考えられていて、持ち歩きながら、前方を照らすのが苦にならない。

 とりあえず就寝中に地震が起きて、足元のスリッパや出口のドアを探すような用途であれば、十分な機能を持っている。

LEDライトを点灯した状態
LEDライトの光は指向性が強い。明るさはほどほどだが、部屋からの脱出などには十分だ

 非常用ブザーは、倒れた家具などの下敷きになって動けない場合などに鳴らすものだ。本体裏面に赤い大きなボタンがある。かなり大きな音量があるので、試すときは注意してほしい。ボタンを1回押すと「ピュルルルルル」という感じの電子音が鳴り、もう1度押すと止まる。

いつもそこにあるのが一番安心

 SQ764Wは、枕元に置く目覚まし時計としてよくできており、多機能防災グッズとても十分な機能を備えている。枕元に、これが1台あれば、とりあえず安心で、使い方も難しくない。

 あえて言えば、緊急地震速報の受信機能が、あればなお良いと思うが、それを備えると常時FM波を受信しなければならず、バッテリー寿命や電源の選択などに影響してしまうので、これはこれで良いのだと思う。

 万が一、乾電池が消耗していても、内蔵のニッケル水素電池によって、ラジオが12時間、LEDライトが20時間使用できる。とりあえず、最初の一昼夜を過ごすことはできるだろう。

 携帯電話の充電機能については、やや物足りないが、一般的な携帯電話であれば充電機能も十分に実用になる。使っている電話がスマートフォンの場合は、別途モバイルバッテリーを準備した方が良い。

 改良を希望したい点としては、ラジオの感度を向上させてほしい。マンションやオフィスビルなど、電波状態が悪い場所が増えているので、もう少し多くの局が聞けるようにしてほしい。難しい面もあるとは思うが、非常用ということを考えると、廉価な単体ラジオなみの受信能力は備えて欲しい。

 個人的に気に入った点は、すっきりとして使いやすいデザインと、使う気にさせる手回し充電機能だ。

 東日本大震災のあとで、実際に手回し充電機能付きラジオを使用した方が、Amazonのユーザーレビューをたくさん書かれていたが、ハンドルの強度や、充電の効率など問題を指摘する声も多かった。

 しかし、SQ764Wの手回し充電機能は、この手の製品の代表格である「ソニー ICF-B03」と共に、使い物になる製品だと感じた。

(伊達 浩二)