やじうまミニレビュー
アスク「ETON Boost Turbine 2000」
~手回しハンドルが一体になった緊急時用モバイルバッテリー
by 正藤 慶一(2013/1/25 00:00)
コンセントやパソコンに繋がなくても、スマートフォンなどのモバイル機器が充電できる外部電源「モバイルバッテリー」。発売当初は給電するだけの単機能な商品が多かったが、最近ではLEDライトが付いていたり、太陽光で内蔵バッテリーを充電するなど、多機能化が進んでいる。
今回紹介する「ETON Boost Turbine(イートン ブースト タービン 以下、イートン) 2000」も、特徴的な機能を備えたモバイルバッテリーだ。本体にはハンドル型のダイナモが付いており、これをグルグルと回すことで、内蔵バッテリーが“自家発電”できるというのだ。こうしたハンドル付きモバイルバッテリーは他社でもあるが、まだまだ数が少ないので、試してみよう。
メーカー | アスク |
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製品名 | ETON Boost Turbine 2000 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 5,506円 |
本製品に内蔵されているリチウムイオン電池の容量は、製品名にもある通り2,000mAh。最近では10,000mAhオーバーのモバイルバッテリーもある中、やや少なめ。しかし、本体サイズは56×25×127mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは198gと、容量よりも大きく、がっしりしていた。
ちなみに、以前レビューしたパナソニックのモバイルバッテリー「QE-PL102」は、容量2,700mAhに対し、70×40×24mm(同)。体積で比べると、イートンが約178立方cm、QE-PL102が67立方cmと、桁が違うほどの差がある。ついでに体積1立方cm当たりの電池容量も算出すると、イートンが11.25mAh/立方cm、QE-PL102が40.18mAh/立方cmとなった。ナリが大きい割に容量が少ない理由はおそらく、本体にハンドルが直付けされているため、そのぶん電池のスペースが確保できないのだろう。
ハンドルのほかには、出力・入力用のUSB端子も用意されている。入力端子はmicro USBで、付属のUSB-micro USBケーブルを使ってパソコンなどに接続すれば、ハンドルを回さなくても内蔵バッテリーが充電できる。充電時間は約2時間半。対する出力端子はUSB A型で、1Aの出力が可能となっている。
この2つの端子の間には、4つの青いランプが点灯するインジケーターと、その下のボタンも搭載されている。モバイル機器に繋いだ状態でボタンをを押すと給電がスタートするほか、何も繋いでいない場合は、残量を4段階で示す。また、手回し充電時にも点灯し、ちゃんと充電ができているかを示す。
まずはモバイルバッテリーとしての基本機能を見るため、本製品を満充電させ、スマートフォンに繋いでみた。私のスマートフォンは2011年製「ARROWS Z ISW11F」(標準バッテリーの容量は1,460mAh)だったが、測定開始時の残量44%から、約1時間半で100%になった。残量確認ボタンを押すと、まったくランプが点かなかったため、もう残量はカラのようだった。
続いて、ハンドルを回して自家発電に挑戦。ハンドルは結構重く、回すと「ウインウイン」という機械音がする。2分以上ハンドルを回す事で約10分程度の待ち受け、1分程度の通話が可能という。
とりあえず5分間だけ回してみる。ハンドルを毎秒2周、均等なタイミングで回すのが効率が良いとのことだが、これが結構たいへん。本体は大きいので握りやすいが、何しろハンドルの回転がズッシリと重いため、1分と経たずにヘトヘトになる。結局、ハンドルを毎秒2周なんてキッチリとしたことはできず、休みながらなんとか5分間回した。ボタンを押しても、インジケーターは光らなかったが、ちゃんと充電できたのか!?
さっそくARROWS Zに差しこんで充電してみると、残量が77%から78%に増えたところで充電がストップ。頑張って回してたった1%のプラスというのは少ない気もするが、休み休みやっていたので仕方がない。むしろ電気も何も使わず、ハンドルを回すだけで発電できたということの方がうれしかった。緊急時にはたった1%だけでも、通話やブラウザ閲覧などで役に立つこともあるだろう。
ひと通り使ってみたが、普段使いと非常時の備えの兼用として良さそうだ。大きさは気になるが、大きめのバッグなら大した面積は取らない。また、ハンドルと本体が一体化されているため、どちらかを紛失する心配もない。ガッチリしているので、本体の耐久性もありそうだ。
ただし、容量がスマートフォン1回分と少ないうえ、それにしては実売価格が5,000円前後と割高なので、購入するのにためらってしまう。発電機能を備えることで高価になるのは仕方がないが、できればもうすこしバリエーションを増やしてほしい。例えばスマートフォンが複数台充電できるよう容量を増やした“大容量タイプ”や、逆に容量を減らしてハンドルや持ち手部分を大きくするなどダイナモ発電に特化した“非常用タイプ”、給電ケーブルまで一体化した“オールINタイプ”などのラインナップがあれば、もっと買いやすくなるだろう。
普段から手放せないモバイル機器は、非常時にはもっと手放せなくなる。スマートフォンよりも電気を食わないフィーチャーフォンユーザーにお勧めしたい。