家電製品ミニレビュー

東芝「uLos(ウルオス) CAF-KP40X」

~小さくて軽いのにしっかり働く! 新機構満載の加湿空気清浄機

小さくて丸い加湿空気清浄機

東芝ホームアプライアンスの加湿空気清浄機「uLos(ウルオス) CAF-KP40X」

 1年の中でも最も寒くて、乾燥が気になるこの季節。室内の空気環境にも気を使う時期だ。ここ数年で空気清浄機の普及率も一気に上がってきて、メーカーも様々な工夫を施した新製品を投入しているが、ことデザインや外観に関しては「どれも変わり映えしないなぁ」というのが正直なところだった。特に最近の空気清浄機は、加湿機能を搭載しているタイプが主流になってきたこともあって、サイズはかなり大きめ。エアコンなどの据え付けタイプを除けば、家中で一番大きい家電製品といっても過言ではない。

 それが、昨年東芝ホームアプライアンスが全く新しい形の加湿空気清浄機「uLos(ウルオス) CAF-KP40X」を発売した。円形のデザインに高さは約46cmと従来の約半分ほど。当然「このサイズで大丈夫なの?」という疑問が出てくる。何はともあれ、使ってみないと分からない……という訳で早速自宅で試してみた。

メーカー東芝ホームアプライアンス
製品名uLos(ウルオス) CAF-KP40X
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格26,600円

フィルターの形、ファンの配置場所、集じん方法、全てが斬新!

 CAF-KP40Xは、適用床面積18畳の加湿空気清浄機だ。ホコリセンサーとニオイセンサーが搭載されていて、センサーがホコリやニオイを検知すると自動で運転を制御する機能や、湿度センサーで室内の湿度を計測し、本体のモニターランプで表示する機能のほか、除菌効果やアレル物質抑制効果があるという東芝独自のピコイオンも搭載されている。

 と、基本的な機能だけを聞くと、一般的な加湿空気清浄機と変わらないが、実は新しい機構が山ほど搭載された画期的な製品なのだ。

本体正面。見た目だけでいうと、加湿空気清浄機にはとても見えないデザインとサイズだ
本体側面
本体背面
操作パネルは本体上部に設けられている
上部には取っ手が付いている

1.フィルターの配置場所が新しい

 まずは、空気清浄機の要ともいえるフィルターが一般的な空気清浄機とはかなり違っている。自宅に空気清浄機をお持ちの方なら分かるだろうが、一般的な空気清浄機は、正面パネルの裏に集塵フィルター、消臭フィルターなど2枚から3枚のフィルターを配置、その奥にファンを設置している。加湿機能付きの空気清浄機の場合、さらに加湿フィルター、加湿タンク、水タンクなども必要になるのだから、本体サイズが大きくなるのも無理はない。

 一方、ウルオスではこれまで本体サイズを小さくするために、本体中央のファンを取り囲むように円形の加湿・空気清浄機フィルターを配置。水タンクまで円形にしてしまった。その結果、本体サイズは430×190×455mm(幅×奥行き×高さ)で、本体重量は約7.5kg。一般的な加湿空気清浄機の約半分の大きさを実現している。

前面パネルを外したところ。中央の黒い部分は脱臭フィルター
中央のファンを取り囲むように加湿、空気清浄機フィルターが配置されている
水タンクも円形だ

2.集じん方法が新しい

前面パネルと本体の間から空気を取り込み、本体側面のメッシュ部分から空気を送り出している

 フィルター構造を従来の長方形から円形に大幅に変更しているのだから、当然、集じん方法もファンの構造も従来とは大きく異なっている。一般的な空気清浄機では本体下部あるいは側面から空気を取り込んで、本体上部から空気を出す構造が多いのに対して、ウルオスでは、空気を正面から取り込み360度全周に送り出している。また、その方法もユニークだ。これまでの空気清浄機では、空気を吸い込む時にフィルターを通していたが、ウルオスでは空気を外に出す時にフィルターを通している。

 ちなみに、ファンの種類も一般的な空気清浄機とは異なる。一般的な空気清浄機では、効率よく空気清浄を行なうために、送風により室内に気流を起こして空気を循環させている。そのため、空気の送風を強力に行なう「シロッコファン」を採用している場合が多い。冬場に、空気清浄機を使っていると、「風が寒い」と感じることがないだろうか。あれは、空気清浄機が室内に気流を起こすために、意図的に強い送風をしているからなのだ。

 一方ウルオスでは、送風よりも吸引を重視し、独自の「ターボフロアファン」を採用。気流などを起こさない柔らかい風を本体外周から送風している。これまでの空気清浄機の常識からいうと、全く違う路線を走っているわけだが、東芝では、従来の空気清浄機のように本体下部だけでなく、全周から吸引しているので、無理に気流を起こす必要なく、効率的に集じんできるとしている。

 ウルオス独特の形は、何もデザイン性だけを重視したわけではなく、独自の構造に沿っデザインなのだ。実は詳しい機構についてはこれでもずいぶん割愛している。さらに詳しく知りたい方は是非、コチラの記事をチェックしていただきたい。

とにかく静かでつけている感じがしない!

自宅のリビングに置いたところ。威圧感がない曲線デザインで、置く場所を選ばない

 かなり前置きが長くなってしまったが、ここからは実際に使った感想をまとめていきたい。まず、部屋に置いた時の印象が圧倒的に小さい。これまでの加湿空気清浄機は、本体サイズがかなり大きめで威圧感があったので、置き場所に困ることが多かったが、ウルオスなら、植木の横のちょっとしたスペースにも躊躇なく置ける。

 使い始め時の注意としては、初めてスイッチを入れる時の室内環境に気をつけることだ。ウルオスでは、運転開始後、5分間室内の空気を検知し、その間の空気をきれいな状態として本体に記憶するという。室内になんらかのニオイなどが残っていたり、空気が汚れた状態で運転開始すると、自動運転の際のモニター切り替えや動作が鈍くなってしまう場合があるので気をつけたい。我が家では、窓を開けて掃除機をかけてからスイッチをオンにした。

 ウルオスでできる運転は、空気清浄を行なう「空清」運転と、加湿空気清浄運転を行なう「加湿空清」運転の2種類。空清運転では、「静音/中/強/おやすみ/自動」の5モード、加湿空清運転では湿度が「低め/標準/高め」の3段階で設定できるほか、「おやすみ/自動」が用意されている。

 操作は至ってシンプルで、漢字で表記された「空清」ボタンと「加湿空清」ボタンを押すだけ。モードの切替もそれぞれのボタンを押して行なう。唯一戸惑ったのは、電源の入りボタンが設けられていないこと。ウルオスでは「空清」ボタンと「加湿空清」ボタン、それぞれが電源ボタンの役割も備えている。

 乾燥が気になるこの季節、我が家では加湿空清の高めを設定して使っていた。ウルオスでは、湿度センサーが室内の湿度に応じて自動的に運転を制御し、設定された湿度に自動運転する。高め設定の制御湿度は約65%、低め設定では約45%、標準設定では室温に応じて設定湿度が異なるが約50~60%の間で設定される。

空気がきれいな状態で使い始める
室内の空気環境は、本体上部のエアモニターで表示される
加湿空清モードでは設定ごとに制御湿度が異なる。高め設定の制御湿度は約65%、低め設定では約45%、標準設定では室温に応じて設定湿度が異なるが約50~60%の間で設定

 使い始めてまず驚いたのが、運転音がとにかく小さいということ。運転しているかどうか思わず確認してしまうほど、運転音が小さく、生活の邪魔になるということは一度もなかった。

 センサーが反応した場合も同様だった。ウルオスでは、ホコリセンサーとニオイセンサーが室内の空気環境を検知して、空気清浄運転を自動で制御する。本体上部のエアモニターで、室内の空気状態を表示するのだが、モニターの色が赤(汚い状態)になっても、それほど運転音が気にならなかったのには驚いた。もちろん、通常運転時に比べると、風を吸い込む音が大きくはなっているが、これまで使ってきた空気清浄機に比べると遙かに静か。これまでの空気清浄機が「ブオォオオオオ」という音がしていたとすると、ウルオスは「ウィィイイン」という程度。

 これは、気流を起こさずに送風するという独自の機構が関係している。実際ウルオスの近くにいても、ウルオスから出てくる風が気になったり、送風による寒さを感じたことは一度もない。また、本体に搭載されている「ターボフロアファン」は、DCモーターを採用し、軸受け部に振動を防止するための工夫が施されるなど、東芝の高機能扇風機「サイエント」と同等の静音技術が搭載されているという。これも静かさの秘密だろう。

水タンクに水を入れた状態で本体にセットしたところ

 加湿性能にも満足している。1時間あたりの加湿量は最大約400ml。加湿機能の適用畳数は木造和室で7畳、プレハブ洋室で11畳となっている。マンションの4階にある自宅は、比較的気密性が良いのか、湿度が50%を下回ることはほとんどないのだが、室内の湿度が常に60%以上というのはやはり快適。特に冬場は、湿度を保つことで、暖房効果も高まるので、加湿効果を実感しやすい。

 付属の水タンクの容量は約2.6L。我が家では24時間つけっぱなしにして使って約2日半ほど持った。

気流を起こさないから、反応がやや遅い印象も

 静かで、コンパクトでいうことなし! のウルオスだが、その静かさゆえに「本当に室内の空気をきれいにしてくれているのかな」という不安が生じたのも確かだ。従来の空気清浄機は、送風により室内に気流を起こして、室内の空気を循環していたので、空気清浄機本体から少し離れたところで何らかのニオイが発生した場合でも、比較的直ぐに反応し、運転を切り替えていた。ウルオスでは気流などを起こさず、本体外周から周辺の空気を吸い込むという方式なので、少し離れた場所でニオイが発生しても反応がやや遅かったように思う。

 たとえば、自宅のリビングで鍋料理をした時、一般的な空気清浄機なら鍋を開始して1分も経たないうちにすぐに強力運転に切り替わっていたのが、ウルオスでは2~3分ほど経たないとセンサーが反応しないということがあった。室内で人が立ち動いている時は、割とすぐにセンサーが反応するので、「やっぱり室内の空気を循環させた方がいいんじゃないかな」という気にもなった。花粉やアレルギーがあって「とにかく強力に部屋の中の空気を入れ換えたい」という人にはもしかしたら物足りないかもしれない。

 個人的には、確かに反応は遅いものの、センサーが反応しないわけではないので、問題ないと感じている。

 日常的に使っていて、気になったのは、水タンクの形と設置方法だ。ドーナツ型のタンクは直径がかなり大きく、マンションの洗面台ギリギリのサイズ。なんとか洗面台に収まったものの、今度は水道の蛇口の高さと合わなかった。我が家の洗面台の場合、蛇口部分が伸びるタイプだったので、なんとか給水できたが、洗面所のタイプによっては入らないということもあるだろう。

水タンクはかなり大きめで、洗面所にやっと入るサイズ
蛇口部分を伸ばさないと給水できなかった
前面パネルの固定部分。両手で取り外さないといけないので、それなりに手間がかかる

 また、本体の前面パネルを取り外さないと水タンクを取り出せないという仕様も、少々不便に感じた。パネルは両手で持たないと取り外しできない仕様で、はめるときにも少しコツがいる。本体サイズを小さくするために、仕方なかったとはおもうのだが、水タンクの大きさと本体の大きさが肉薄しているため、とにかくぎちぎちに詰まっているという印象なのだ。日常的に取り出す機会が多い場所なので、パネルを片手で開閉できるようにするなど、今後の改善に期待したいところだ。

ファンの羽根までバッチリ掃除できる

 ここまでで、ウルオスのその独自性は理解していただけただろうか。ただし、ウルオスがすごいのはこれだけではない。ウルオスは、これまで全く手入れできなかったファンを取り外して、拭き掃除できるようにしたという画期的な製品なのだ。

 空気清浄機のお手入れをしたことがある人ならわかるだろう。フィルターはもちろん、本体にも細かいホコリがびっしりと付着していることを。本体外側でさえそうなんだから、内側はどうなっているか……というのは、ちょっと考えたくない。というのも、実は、これまでの空気清浄機は内部のファンのお手入れは一切できなかった。日常的なお手入れと言えばフィルターや加湿タンクの水洗いくらいなもの。チラリと見えはするけれど、手には触れない遠い存在だったのだ。

 そもそもファンというのは、空気清浄機本体の一番奥に配置されているもの。そのファンを取り出して手入れすることができるというのだから、本体はまるでプラモデルのように分解することができる。

本体はここまで分解して手入れできる
説明書の絵柄を見ながら、正確に組み立てしたい

 まず、2週間に1回ほど日常的な手入れを行なう脱臭フィルターのお手入れから。今回は約3週間使い続けたこともあって、表面にホコリがびっしりと付着していたが、掃除機でホコリを吸い取ると、あっという間に元通りになった。脱臭フィルターの周りのセンサー部や、パネルの吸込口にもホコリがかなり付着しているので、ここも掃除機で掃除する。

ホコリガびっしりと付着した脱臭フィルター
掃除機でホコリを吸い取る。ブラシ付きのアタッチメントがあると便利
あっという間に元通りきれいになった
吸い込み口に溜まったホコリも掃除機で吸い取る
センサー部にもホコリが溜まりやすい

 表面パネルの次に配置されているのは、ネジ止めで固定されているフィルターフレームだ。ここを外すと、加湿するときに使う円形の気化フィルターと加湿トレイ、これまた円形の空気清浄フィルターセットが現れる。加湿トレイは2週間に1回程度、気化フィルターは3カ月に1回程度の水洗いが推奨されている。

 加湿トレイはゴムパッキンなども取り外し可能で、本当に隅々まで掃除することができる。また、加湿トレイ内に設置されている水の菌の繁殖を抑える「抗菌ガラス」が意外に優れもの。加湿器の給水トレイというのは、手入れを怠ると、直ぐにぬめりや茶色い水垢などが発生してしまうが、ウルオスは約3週間使い続けていたのにもかかわらず、ぬめりがほとんどなく、掃除しやすかった。

ネジ止めされているフィルターフレームを取り外す。ネジは手で簡単に取り外しできる
ファンと、加湿トレイ、気化フィルター、空気清浄フィルターが配置されている
加湿トレイは水洗いする
パッキンなども取り外して洗える
気化フィルターは3カ月に1回程度の手入れ
本体から取り外して、水洗いする

 空気清浄フィルターは、1カ月に1回程度、フィルター表面に付着した埃を取り除く。ウルオスの場合、吸い込んだ空気を送り出す時に空気清浄フィルターを通すため、一般的な空気清浄機に比べてホコリの付着は少なかった。

円形の空気清浄フィルター。それほどホコリは付着していなかった
掃除機で表面のホコリを取り除く

 ここまで来たら、ついにファンのお手入れだ。ウルオスの「ターボフロアファン」は、透明で、中央部分がネジで固定されている。ぱっと見は、全く汚れていないように見えたが、指で触ると表面にはうっすらとホコリが付着していた。固く絞った雑巾で表面を拭き取ると、しっかり汚れが取れた。ファンの羽根ひとつひとつまでしっかり拭き掃除できるのは、ウルオスならでは。

透明な「ターボフロアファン」はそれほど汚れているように見えなかったが、指で触るとホコリガ付着した
ファンの羽根ひとつひとつまでしっかり拭き掃除できる
組み立てた後に、部品が1つ余ってしまうという事態に……

 お手入れできる場所が増えたことで、掃除にはそれなりに時間がかかるが、ブラックボックスだった空気清浄機の内部までしっかり掃除出来るというのは今までなかったことで、気持ちいい。

 1つ、気をつけたいのは、部品の場所などを忘れないようにしたいということ。とにかく、細かく分解できるので、組み立てる時に苦労する。実際、私も組み立て後に部品が1つ外に残っているという事態が発生。慌てて取扱説明書を熟読してことなきを得たものの、組み立てを間違えると、正しく運転できない場合もあるので、くれぐれも注意したい。

24時間365日つけっぱなしにするヘビーユーザーにお勧め

 フィルターの配置場所、ファンの種類、集じん方法、空気清浄機の基本機能全てを一新した画期的な製品。これまでの加湿空気清浄機のイメージを大きく覆したサイズや本体デザインは、やはり魅力的だ。機構や仕組みが新しいので、本文はかなり長くなってしまったが、機能自体は基本に忠実で使いやすい。

 最近の高機能タイプの加湿空気清浄機は、送風口が動いたり、前面パネルが動いたり、様々な付加価値機能が搭載されているが、それに比べるとウルオスはかなりシンプルで使いやすい。運転音が静かで、無駄な気流も起こさないので、加湿空気清浄機をつけっぱなしにして使うヘビーユーザーに特にお薦めだ。

阿部 夏子