家電製品ミニレビュー

三洋電機「エネループポータブルソーラー」

~太陽電池でUSB電源を充電
by 伊達 浩二
三洋電機「エネループポータブルソーラー SSL-SBWL3AS」

 三洋電機が得意とする分野として、充電池と太陽電池がある。

 充電池については、エネループのブランドでよく知られているし、ハイブリッド/電気自動車用充電池への投資も進んでいる。また、太陽電池についても独自の「HIT太陽電池」は高い効率を誇り、住宅用製品として多数出荷されている。いずれも環境・エナジー先進メーカーという三洋電機のイメージを代表する製品だ。

 この2つ製品を、1つにまとめ、個人でも簡単に使える製品として仕上げられたのが「eneloop portable solar(エネループポータブルソーラー)」だ。簡単に言えば、HIT太陽電池で発電した電気を、リチウムイオン充電池に溜め、USB端子経由で携帯電話などを充電する製品だ。

 ポータブルソーラーには、太陽電池パネルが1枚のシングルタイプと、2枚のツインタイプがある。今回は充電時間が少しでも短いようにツインタイプの「SSL-SBWL3AS」を購入した。


メーカー三洋電機
製品名エネループポータブルソーラー SSL-SBWL3AS
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格12,420円

 自宅に届いた箱は、軽めの辞書ぐらいの大きさと重さだった。本体以外の備品はあまり多くない。

パッケージの内容。左にある吸盤とヒモはガラスやドアなどにぶら下げるためのもの。吸盤だけで下げる時は、落下防止用に2つ使うことが推奨されている太陽電池をたたんだ状態開くと2つの太陽電池が表われる

 ポータブルソーラー本体は、折りたたんだ状態では、20cm四方ぐらいの大きさだ。太陽電池というのはシリコンでできているので、重いものかと思っていたが、実は軽かった。ポータブルソーラー全体で約420gしかない。どおりで付属品に固定用の吸盤がついてくるわけだ。落下は怖いが、わりとどこにでもぶら下げられそうな軽さだ。

 本体を広げると、2枚の太陽電池が表われる。背面側はファスナーで囲まれたポケットになっていて、ここにリチウムイオン充電池を入れ、本体から直に生えているUSBケーブルを挿すと充電できる仕組みだ。その他の備品もここに入れておける。

30cm定規と並べると大きさがわかる裏面のファスナーを開けると、充電用のUSBケーブルが見える
そのケーブルにリチウムイオン充電池をセットするファスナーの中に、機器に接続するためのUSBケーブルも入れておける

 付属のリチウムイオン充電池は「KBC-L3A」という型番だ。これは以前から販売されている「eneloop mobile booster」の「KBC-L3」と同じ筐体だ。L3はUSB電源で充電し、USB電源で出力するという製品だった。内蔵電池は3.7Vで2,500mAhの容量を持ち、USB経由の充電時間は約7時間、出力は約2時間という仕様だった。このあたりの仕様もL3Aと共通だ。

 さっそく、直射日光の当たる南向きのベランダにポータブルソーラーを設置する。後はただ待っているだけで、充電される。しかし、どれぐらい待てば良いのか。取扱説明書では、約1.5日待つとある。1.5日といえば36時間だから、USB経由で充電するのに対して約5倍時間がかかることになる。やはり無から有を生み出すというのは大変なことなのだ。ちなみに、シングルタイプだと3日かかる。

ベランダで太陽に向けて設置する狭いベランダなので、置き場所には苦労する。ちょっと油断するとこういう風に太陽電池に影が差してしまう
 実際に試してみると、8月の晴れた日に太陽電池全体に光が当たるように調整していても、バッテリの青色LEDが点灯して満充電を知らせてくれるまではほぼ丸1日かかる。ただし、使いかけの状態であれば、数時間で満充電になっていることが多いので、継ぎ足しながら使えば不自由はない。

 充電が終わったら、充電池を取り出す。ポータブルソーラー全体が直射日光で熱くなっているので、触るときは、ちょっと注意した方が良い。

 取り出した充電池にUSBケーブルをつなぎiPhone 3G Sを充電してみる。数十分ほど待つと、無事に充電できた。太陽電池で発電した電力でiPhoneが動いているのは、ちょっと嬉しい。何か、これまで経験したことのないことができたという気がする。
iPhone 3G Sの充電に使っている

 なお、私の環境では、iPhoneのバッテリを使い果たしている状態では、うまく充電できないことがあった。iPhoneの電池残量がある程度あり、KBC-L3Aが満タンの時は、いつでも問題なく充電できているので実用上問題はないのだが、一応、書いておく。

 さて、私がリチウムイオン充電池を使う場合、いつも充電器1台あたり充電池2個を用意し、交互に充電しながら使うようにしている。常に充電器には満充電になった電池が用意されており、電池がなくなったら交換するという方式だ。特に、今回は満充電までの時間が長いので、有効な方法だろう。

単体販売されているKBC-L3は、ポータブルソーラーでは使用できない

 そう思って、持っていた「KBC-L3」と組み合わせ、充電池2台体制で使おうとしたのだが、なんと保証範囲外だった。ポータブルソーラーの取扱説明書とは別に小さい紙が入っていて、「KBC-L3A」でないと使ってはいけないとあるのだ。製品情報ページなどから推察すると「A」型番の方は入力される電力が不安定でも充電できるように回路が改良されているらしい。現時点ではL3Aは単体販売されていないようで、見つけることができなかった。早く市場に登場して欲しいものだ。

 8月中は、充電池が心細くなった頃に1日充電して満充電に戻るというサイクルで、無事に使用し続けていた。しかし、9月に入ると慣れてきてしまって電池の“とりこみ”を忘れてしまい、ベランダに出しっぱなしになることもあった。洗濯物をとりこむときのように“とりこむ”習慣をつけると良いのかもしれない。

 実用性だけから言えば、エネループソーラーで充電するよりもUSBを使って充電した方が、ずっと簡単で便利だ。しかし使い続けているのは“なんかいいことしている”とか“電源もないのに、いつの間にか充電できていて楽しい”と感じているからだ。

 冷静に考えれば、実用性はあまり高くないと思うのだが、我が家が一戸建ての家ならば、屋根に太陽電池を載せてしまいたいと思い初めてしまうような魔力がソーラーにはある。いろいろなことを考えてみるきっかけとして、また、変わった遊び道具として推薦したい。






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2009年10月1日 00:00