家電製品ミニレビュー

大丈夫だという慢心が一大事に! 熱中症に対する気持ちが引き締まるタニタ「コンディションセンサー」

 温度差も激しく、体がなかなかついていかない日々だけれど、そんな中、タニタのコンディションセンサー『TC-200』 という熱中症センサーを試してみることに。とはいえ、私はほぼエアコンの付いた涼しい部屋でしか過ごさないし、日中の仕事も内勤で外に出ることもない。「センサーが全く作動しないかも!?」と思うほど、正直言うと熱中症には一番無縁な人間じゃないかと思っていた。

コンディションセンサーの部品
メーカー名タニタ
製品名コンディションセンサー TC-200
価格(編集部調べ)2,000円(Amazon)

 熱中症センサーを開けると、センサー本体と電池、吊り下げて使うためのアタッチメントが付いている。電池を入れるためのドライバーも同封されているので、届いたら道具も用意せずにすぐに使える。横置きにして使うのはNGなので、吊り下げ用アタッチメントを本体に取り付けて、家の中ではフックなどに吊り下げ、持ち歩く際はバッグやズボンのベルト通しなどに引っ掛けて使う。

 私は平日日中は出かけているので、普段使っているリュックに吊り下げて使う事にした。ちょっと大きいので、パッと見キャラクターのキーホルダーをつけている人みたいに見えて、見た目は少々悪い(笑)。

 画面表示はとてもシンプル。大きめの液晶に状態を表す顔のイラストと文字が表示される。年配の方を意識されているのか文字表示も大きい。ブザーの音量は大・小・無と3段階に設定できる。さすが危険を知らせるセンサーなだけあって、ブザーの音も「警告音!」という感じの音がして、鳴るとドキッとする。持ち運ぶ場合、周りに配慮して「無」で使うことにする。せっかくの警告音だけれど持ち運ぶ場合は仕方がない。

組み立てるという程でも無い。電池を入れてアタッチメントを取り付けて完成
普段使っているリュックに取り付けて持ち運んで使うことにする

 私は普段、家電などを使うときもほとんど取扱説明書を読んだりしないのだけれど、このセンサーの取扱説明書には、「熱中症とは」という詳しい説明や、「熱中症予防指針(日本生気象学会出典)」という、注意すべき生活活動の目安や注意事項などが書いてあり、それを読むだけでも非常にタメになる。

取扱説明書には読むだけでタメになることがしっかり書いてある

 環境省熱中症予防情報サイトなんてものが存在することも、この取扱説明書を見て初めて知った。知っていることで防げることもたくさんあるので、多くの人に一度読んで欲しいと思った。使い方も含めて17ページという小さな冊子の取扱説明書だけれど、とても分かりやすくまとまっていて、ちょっと感心してしまった。普段ほとんど読まない取扱説明書なのに、しっかり読み込んでいざ実践!

 普段の通勤。私は朝の7時半頃に家を出る。真夏でもまだ日差しも強く無い時間帯だ。いつも通り駅まで歩き、ホームで地下鉄を待っている時にセンサーを見てみると「注意」と表示されている。注意は「一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働には発生する危険性がある。」とのこと。通勤には問題が無さそう。犬を飼っていた頃は日が高くならないこの時間に散歩に行くことが多かったけれど、一緒にボールで遊んだり走ったりするなら気を付けなければいけないんだなぁと思った。

朝の涼しい時間帯も外を歩くと「注意」と表示される
気温だけでは無く、熱中症になりやすいか暑熱指数に従って注意レベルは表示される
センサーの注意レベルは5段階。大きな文字と顔のイラストでわかりやすい

 あと、この状態で危険になるとしたら、重度の二日酔いの時かな(笑)。すでに体が脱水状態になっている可能性が高いので、出歩く時はどんな時間どんな天候でも気を付けなければいけない。気を付けるべきは熱中症自体よりも、二日酔いになるほど飲んでしまうことだと思うけれど……(笑)。

 「普段出歩かないし、エアコン入れっぱなしだし」と思っていたけれど、かなり出不精な私が外で作業する時がそういえば1つあった。趣味でベランダ栽培などをしているので、庭というかベランダに出ている時間が結構長いのだ。マンションの1階で、通常のベランダよりも広めの小さな庭みたいになっている我が家のベランダ。

外に出る時や犬の散歩の時などは、ズボンのベルト通しに吊るして使う。結構な大きさ

 先日は8月の真っ只中に草刈りをした。暑くなりそうな日だったけれど、以前から「やるぞ」と決めていた草刈りだったので、午前中の日が昇りきる前に作業をしたのだけれど、それでも正直大後悔。暑くて暑くてやってられない! センサーはずっとレベル4の「厳重警戒レベル」を表示しているし、5分作業しては家の中でお茶飲みながら15分だらける、といった感じだった。

ベルト通しに付けていると草刈りなどの作業には邪魔なので、結局ハンガーに吊るすことに

 「今日草刈りして暑くてたまらなかったー!」なぁんて人に話したら、「ダメだよ! 危ないよ!」と普段屋外で仕事をすることが多い人に叱られた。「こんな日に草刈りとかすると、暑くてたまらないし、暑い中作業していると早く終わらせたくなって、休まず連続で作業してしまいがちなんだよね。そうやって熱中症になる人が多いよ」と言われた。なるほど、私の場合は「あとちょっと頑張るぞ!」なんて根性がなかったために熱中症を免れたのかもしれない。自分の我慢強く無い部分が逆に功を奏したのだ。センサーの言うことを聞いて最初から「やらない」が正解だったかもしれないと反省した。

 毎年ニュースになるのが、車の中に放置されて熱中症になってしまう事故。ニュースにならないだけで、犬などのペットも合わせるとかなりの数が発生していると思われる。先日買い物に行った時に、センサーはどう反応するんだろう? と思って、車から降りる前にちょっと試してみた。移動中車の中はエアコンも効いてセンサーもにこやかな状態。その時は夕方の涼しくなりかけた時間帯。そして停めた場所は日陰となっていた。ちょっと実験には適さないかな?とも思いつつ、駐車してエンジンを切ってからしばらく車内にとどまってみた。

車のエンジンを切ってたったの5分後には警戒レベルに

 エンジンを切って5分でレベル3の「警戒レベル」になって、さらに5分後のたった10分で「厳重警戒レベル」になったのだ。予想以上の車内の暑くなりかたに驚いた。「すぐ戻るから」と車内に子供やペットを置いて、ちょっとした用事を済ませるだけで本当に危険なんだと再認識する。出かけた帰り道に「1つだけ買いたいものがあった」とスーパーに寄ったり、夏に車で出かけている時に、忘れ物に気づいて家にちょっと戻ったりすることってありがちなシチュエーションだと思う。そんな時にいちいち子供やペットを連れ出すのは大変だし、短時間だからと中に置いたままにすることって、「まぁ大丈夫」と思ってしまいがちだけれど、全然大丈夫じゃないのだ!

エンジンを切って10分後、厳重警戒レベルになった。中にいる私も暑い!

 夕方の日陰の駐車場でもこの状態なんだから、昼間の炎天下の屋外の駐車場だったら危険どころではない。そこでたまたま電話なんて掛かってきて、予定よりもたった5分時間が延びてしまったら……などと考えるとゾッとする。

 「まぁ大丈夫か」という自分の感覚は、センサーというもので可視化されると、どれだけいい加減なものなのかが認識されるので、センサーの役割は大きいと感じた。

 私は暑がりなのと、体温調整が苦手で熱がこもりやすい体質なので、家の中ではしっかりとエアコンを効かせている。このため、家で警戒レベルが上がることはほとんどない。職場では、自席が結構エアコン直撃の寒い席で、上着を羽織るほどだったりするので、職場でも同じく警戒レベルが上がることはほとんどない。

 家に帰ると、ダラダラとテレビを見てしまって無駄に時間を過ごしてしまうので、息抜きを兼ねて時々帰りにカフェに寄ったりする私。そこでお茶を飲みながら本を読んだりするのだけれど、先日も同じようにカフェでお茶しながらメールチェックしつつ、そろそろ帰ろうと思いバッグを持ち上げようとした時、センサーの表示を見てちょっと驚いた。特に暑くも無く快適に過ごしていたカフェのはずだけれど、センサーがレベル2の「警戒レベル」を表示していたのだ。「警戒レベル」は中等以上の生活活動で起こる危険性ということで、運動などしなければ大きな問題はないものの、これが家で起こりうる危険性なのだと思う。

快適に過ごしていたつもりが、センサーからは警戒が出ていた

 自身で「暑い」という認識もなく、家事という結構な運動をしていると気付かないうちに熱中症になってしまうかもしれないのだ。特にお年寄りに起こりがちな現象だと思う。そんな時は暑さも喉の渇きも自覚なく、水分補給も不十分かもしれない。「全然大丈夫」と思っている時でもなってしまうのが熱中症。喉の渇きなど、自分の体からのサインだけを信じるのではなく、定期的に必ず水分を補給するなどの対策を取って、予防を心がけたいところだ。寝ている時はさらに意識できないので、寝室にセンサーを吊るすなどして、アラームがなるようにしておきたい。

例え家の中でも、熱中症になる危険性はあるなと気づいた。

 このコンディションセンサーを1カ月ほど使ってみて、熱中症に対しての意識が俄然上がった。「私は大丈夫」が一番危ないのかもしれないと反省もした。可視化するという大切さも分かった気がする。

 このセンサーの最適な使用方法は、赤ちゃんやお年寄りのいるご家庭で部屋に吊り下げて使う方法だと思う。ブザーの警告音はとても有効だと思うし、自分が見落としがちな家の中の状態を、センサーで可視化してすることで危険を察知することができる。言葉にできない赤ちゃんや、「これ位の暑さならたいしたことない」とか「これくらいでエアコン入れるの勿体無い」と思ってしまう我慢強い高齢者ほど、熱中症のリスクが高いということをもっと認識するべきだ。口を酸っぱくして言っても「大丈夫だよー」と言う親御さんをお持ちの方は、プレゼントしてあげるのもいいかもしれない。子供が言っても聞かないけれど、お医者さんとセンサーの言うことなら聞いてくれるかもしれない(笑)。

 まずは熱中症に対する意識改革から。自衛できるところは自衛して、元気にこの暑い夏を乗り越えて欲しいなと思うのであります。

 ただ、私のように持ち運んで使う場合は、吊り下げタイプのセンサーを、「今ここは大丈夫かな?」といちいちチェックするのを忘れがちだし、正直面倒臭い。だからモバイル用センサーとしてIoT家電になって欲しいなと思った。持ち歩く場合はブザー音を出すわけにもいかないので、手持ちのスマホにポップアップなどで「あなた今危ないよ!」と教えて欲しいのだ。むしろそれ位じゃないと、宝のもちぐされとなってなかなか活用できない! そしてモバイル用にはもう少し小型化して貰えると嬉しい。さらにさらに歩数計などのアプリと連動しても面白くて毎日必ず持ち運ぶのになぁ。なぁんて欲望は尽きないのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まない30代後半。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。