家電製品ミニレビュー
キッチンや水回りで使え、スピーカーにもなるパナの据え置きラジオがオススメ
2017年7月21日 07:00
新旧織り交ぜた多種多様な音楽、生活情報、楽しいトークなどを提供してくれるラジオは、リスナーとの距離感が身近に感じられることもあり、デジタル化がますます加速する中でも廃れずに親しまれている。そこで、パナソニックの「FM/AM 2バンドラジオ RF-200BT」を紹介しよう。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | FM/AM 2バンドラジオ「RF-200BT」 |
実勢価格 | 10,670円(Amazon) |
主な特徴として、IPX3相当の防滴仕様でキッチンや洗面所などの水回りでも気兼ねなく使えることが挙げられる。Bluetoothに対応し、手持ちのスマートフォンなどの音源もワイヤレスで再生可能。AMラジオの受信障害を緩和するワイドFM(FM補完放送)にも対応している。
抜群の安定感。操作ボタン類が上部にまとめられている
本体の大きさは90×100×140mm(幅×奥行×高さ)で、重さは約0.7㎏。直方体に近いスッキリとしたデザインだ。
操作ボタン類の全てが上部にまとめられているので、本体を置いたまま指先だけでラクに操作できる。適度な本体の重さと底に組み込まれた4つのシリコンが相まって、操作中も滑りにくく安定感は抜群だ。
電源は付属のACアダプターの他、単三形乾電池3本にも対応する。電池持続時間は、パナソニックアルカリ乾電池の場合、ラジオ視聴なら約8時間となっている。
プリセット機能を搭載。放送局名もハッキリ表示
使用する前に地域を選んで放送局を登録する「地域設定」する必要がある。だが操作は簡単だ。
操作パネルの[地域設定]ボタンを押し→ラジオを利用する地域を[▽選局/選択△]ボタンを押して選択し [決定]ボタンを押す。続けて登録されている都道府県(都市)を、[▽選局/選択△]を押して選び[決定]ボタンを押すだけだ。本体正面のディスプレイを確認しながら進められる。
例として東京都内を地域設定として登録すると、AMは7局、FMは10局が周波数の低い順にプリセットに自動的に割り振られた。プリセットできる数は、AM、FMとも最大各10局ずつで、合計20局だ。
視聴は電源を入れたら操作パネル右下の[FM/AM/Bt切替]を押し、「FM」または「AM」を選択し、プリセットボタンの[1]~[5]を押せば選局できる。ボタンは[1]〜[5]までしかないが、6~10のプリセットを選ぶには[プリセット局5+]ボタンを押し、続けて[1]~[5]を押す(例:プリセット8を視聴するなら、[プリセット局5+]に続き[3]を押す)。
もちろん、プリセットボタンに頼らずに、[▽選局/選択△]ボタンを押せば、手動のチューニングも可能な他、電波状況や好みに合わせて、プリセットボタンに登録された放送局の変更もできる。
設定方法は、登録したい放送局を受信し、任意のプリセット番号のボタンを長押しして[決定]ボタンを押すだけで簡単に変更できる。先に地域設定をしておけば、プリセット番号が変わっても正しい放送局名を表示してくれる。
視聴中のディスプレイには、放送局名と周波数の他、プリセット番号、電波状況(FMのみ)なども表示されるので、現在どの放送局を視聴しているのか一目でわかりやすい。音量も、音量つまみを操作すると15段階のゲージが表示され、目視でも調節しやすい。
すこぶる良い音質! ワイドFMも便利!
実際にラジオを聴いて驚くのは音質の良さだ。本機に組み込まれているスピーカーは、5cmのコーン型のフルレンジ1個のモノラル音声。にもかかわらず、特にFM放送はアナウンサーの声は明瞭で歯切れ良く、とても聴き取りやすい。音楽も音の輪郭がクリアで音に厚みが感じられ、十二分に楽しめる。
音の響きと広がりも良い。例えて言うと、デスク上で心地良い音量に調整して、約4m離れても、放送のトーク内容がしっかり聴き取れるほど音がクリアに届く印象だった。さらに、音量を最小に絞っても明瞭さは失われず、とても聴き取りやすかった。
音質は明瞭で、水道の音などの生活音にかき消されにくいので、大音量にしなくても、放送がしっかり楽しめる。必要以上に音量を上げなくてすむので、長時間聴き続けていても疲れを感じにくかった。
嬉しいのはワイドFMに対応している点だ。我が家は都心に建つ鉄筋鉄骨RCタイプの集合住宅ゆえ、AMラジオの受信状態がとても悪い。特に900KHz以上の放送はノイズだらけで、とても視聴に耐えられるものではなかった。
ところが先の地域設定をしただけで、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送の在京AM局が、FM補完放送として自動的にプリセットされる。その音質はAM放送とは比べ物にならないほど高音質でクリア! いままで諦めていたAM放送が心ゆくまで楽しめる。
Bluetooth対応時も音質は良い。スマートフォンなどに入っている音源も、モノラルながら高音質に楽しめる。本機とスマートフォンのペアリング(登録作業)は、取扱説明書通りに進めればあっという間にできるほど簡単だった。
Bluetoothの選択は、[5]ボタンの右隣にある[▶/‖ Bluetooth(マーク)]ボタンを押すか、[FM/AM/Bt切替]ボタンを押して簡単にできる。一旦ペアリングしてしまえば、自動的にスマートフォンと接続される。
防滴仕様の本機なので、スマートフォンを濡らしてしまう心配もなく、キッチンや洗面所でも好きな音楽がたっぷり楽しめるだろう。再生/停止も本機側で操作できる。
もともと音の良いラジオだが、次の項で触れる設定メニューから、「標準」、「ソフト」、「クリア」、「音楽」、「ニュース」の5種類から(FMとBluetooth接続時のみ)好みの音質が選べるのも気が利いている。
タイマーなど、その他の機能も充実
一般的なラジオと違い、使い勝手が向上する各種機能も充実しているのも本機の特徴だろう。主な機能として、アラーム、スリープタイマー、音質、時計の他、ディスプレイの明るさ・表示方法も調整できる。
設定は、操作パネルの[メニュー]ボタンを押し、[▽選局/選択△]で各機能を選び、[決定]ボタンを押してそれぞれを設定、または調節する流れとなる。設定や調整の過程が逐一ディスプレイに表示されるので、順を追って行けば簡単にできるだろう。
特に、「30」「60」「90」「120」分刻みのスリープタイマーと、1分刻みで設定できるアラームは、寝室の目覚まし時計も兼ねたラジオとしてもおおいに魅力的だ。アラーム音源として、ブザーもプリセットされた特定の放送局も選択でき、アラーム音量さえも設定できる。設定時刻になると、徐々に音量がアップするタイプのアラームだ。
ラジオは専用機で視聴したい
単にラジオ放送を聴くだけなら、スマートフォンのアプリでノイズレスの放送が楽しめるかもしれない。だが、音声が流れてくるまで時間がかかり、放送はタイムラグが生じ、バッファ待ちの音切れも起こる。どうしても「その場しのぎ」感が拭えない上、ラジオを聴くのにスマホやPCを操作するのが煩わしくていまひとつ楽しめずにいた。
このレビューを書くにあたり、久しぶりに本製品のような専用機でラジオを聴き続けて感じたのは、ラジオが本来持つ「今を伝えるライブ感」が淀みなく伝わってくる事だった。ラジオは生放送番組が多く、1秒の時差も無い放送を聴くにつれ、まるで共に時を過ごすような親しみと温もりが感じられ、思わず「ラジオっていいなぁ」と、呟いてしまったほどだ。
数多あるラジオの中で、本製品はなかなか高額な部類に入る。だが、音質が高くて使い勝手が良く、多くの場所に気兼ねなく置けるラジオとして、価格に見合う価値を十分に味わえた。テレビもスマホも消して、生活の営みに寄り添うようなラジオ放送を、改めて心ゆくまで楽しんではいかがだろう。