やじうまミニレビュー
パナソニック「手回し充電ラジオ RF-TJ10」
~スムーズに手回しできる、LEDライト付き防災ラジオ
by 片岡 義明(2013/9/20 00:00)
手回し充電機能やライトが付いた多機能防災ラジオが各社から発売されているが、パナソニックが8月30日に発売した「手回し充電ラジオ RF-TJ10」も、そのような防災ラジオの1つだ。
主な機能はFM/AMラジオとLEDライト、サイレンのほか、本体背面のハンドルを回して手回し充電することにより、内蔵充電池や携帯電話/スマートフォンへの充電が可能となっている。
メーカー | パナソニック |
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製品名 | RF-TJ10 |
価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 3,985円 |
本体サイズは140.4×52.0×54.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約288g(乾電池含む)と、防災ラジオとしては小さめだ。この手のラジオには珍しく、本体カラーのバリエーションがホワイト、ブルー、ピンクの3種類も用意されている。デザインも女性が使っても違和感のない柔らかみのある形だ。
内蔵充電池はニッケル水素電池の4本パックで、総容量は300mAh。乾電池による使用も可能で、単4形乾電池を3本使用する。ロッドアンテナは伸ばした状態で実測35cm。
操作ボタンのほとんどは上部に配置されており、電源ボタンおよびFM/AM切り替えボタン、そして選局と音量それぞれに「+/-」ボタンが用意されている。このほかにライトとサイレンの切り替えスイッチ、ホールドスイッチ、そして充電池と乾電池の切り替えスイッチも装備。ホールドスイッチを入れると電源および音量、FM/AM切り替え、選局のボタンを受け付けなくなるが、サイレンおよびライトはホールド中にも使用できる。
この手のラジオにホールドスイッチが搭載されているのは珍しいが、カバンの中に入れて持ち運ぶような際にも、ホールドスイッチを入れておけば、不用意に電源が入る心配が無くて便利だ。
ライトはとくに明るいわけではないが、夜道を歩く際に手に持って前を照らすには問題のない明るさだ。サイレンについては、以前紹介されたソニーのICF-B88が非常用の笛をセットしているのに対して、RF-TJ10の場合はスイッチを入れればサイレンが鳴るので、電源さえ確保できればこちらのほうが楽だ。
ただし、ライトとサイレンのスイッチが1つになっているのは、誤作動する可能性がある。サイレンの音は大きいので、意図しない時に鳴らないように、独立したスイッチにして欲しい。
手回しハンドルはスムーズに回しやすい
手回し充電を行なう際は、充電用ハンドルを引き出して回せば、受電ランプが点灯して充電中であることを知らせる。このとき、充電池/乾電池の切り替えスイッチがどちらの位置に入っていても構わない。
ハンドルの回転方向はどちらの方向でもOKで、長時間連続で回し続けると故障する可能性があるため、2~3分間回したら1分程度の休みを挟むように注意書きが記されている。ハンドルの回転は変な引っかかりもなく実にスムーズで回しやすい。
ライトの横のカバーを外すと携帯電話を充電するためのUSB端子がある。手回し充電の際、ここになにも接続しなければ内蔵充電池に充電されて、USBケーブルで携帯電話/スマートフォンに接続すれば、それらの端末への充電となる。なお、この手のラジオには携帯電話への充電コネクタが付属する場合が多いが、RF-TJ10の場合はコネクタ類は何も付属しない。
注意していただきたいのは、内蔵充電池および携帯電話/スマートフォンへの充電は、手回し充電以外の方法で行なうことはできない点。たとえば内蔵充電池をパソコンやUSB-ACアダプタから充電したり、携帯電話/スマートフォンを内蔵充電池や乾電池から充電したりすることはできない。
ソニーのICF-B88やセイコークロックのKR885Nなどの防災ラジオは、内蔵充電池をUSB経由で充電することが可能で、携帯電話/スマートフォンを内蔵充電池から充電することも可能となっており、モバイルバッテリーとしても使える。さらにICF-B88の場合は乾電池から携帯電話/スマートフォンへの充電も可能だが、RF-TJ10の場合はそのような使い方は一切できず、この点は少し物足りない。
手回し充電によるiPhone 5への充電を試してみたが、「充電機能はこのアクセサリではサポートされていません」というエラーメッセージが出て充電できなかった。一方、auの「Xperia acro IS11S」への充電は可能で、充電を32%の状態から1%増やして33%にするのに、手回し充電のハンドルを2分10秒回す必要があった。手回し充電である程度まとまった容量を充電しようと思うと、かなり長時間回さなければならないので、あくまでも緊急時に短時間の通信や通話を行なうためのものと考えたほうがいいと思う。
ちなみにラジオの使用時間については、ディスプレイに電池消耗の警告サインが表示されてから1分間手回し充電を行ない、ラジオを聞いたところ約7 分で再び警告サインが表示された。説明書によると、パナソニックアルカリ乾電池を使用した場合は約24時間と記載されている。
液晶ディスプレイの使用感は、周波数のデジタル表示が大きめでかなり見やすい。音量ボタンや選局ボタンを押したあとは、数秒間バックライトが点灯するので、暗い場所でも視認性は抜群だ。
また、電源ボタンも蓄光ボタンとなっており、暗い場所でもすぐに押せるよう配慮されている。スピーカーはディスプレイを挟んで2つ搭載されているが、ステレオではなくモノラル再生となる。また、モノラル出力ではあるがヘッドホン端子も搭載する。
カラーバリエーションも豊富で、すっきりとしたデザインは魅力だが、ラジオにプリセット機能がないので日常的には少々使いづらい。また、前述したように携帯電話/スマートフォンへの充電を手回し充電でしか行なえないのは他メーカーの防災ラジオと比べると見劣りする。購入する場合は、これらの点を踏まえて検討していただきたい。